1014年12月26日
県民財産を食いつぶす『県立高校改革』
「県立高校改革推進計画」から「県立高校改革基本計画(素案)」へ (上)
「再編統廃合」を眼目に2000年度から2011年度まで実施された「県立高校改革推進計画」(以下「推進計画」)は、全日制高校進学率を全国最下位に転落させた。
それから3年余。県教育委員会は不名誉なこの結果を反省も総括もすることなく、今度は「県立高校改革基本計画(素案)」(以下「基本計画」)を進めようとしている。そこで、この反教育的だった「推進計画」を批判し、「基本計画」の危うさと、教育行政のあるべき姿を指摘したい。
受験生の志望・希望を断ち切った、高校リストラ「推進計画」
「推進計画」実施直前の99年10月、常任委員会で県教委が「再編」に伴う歳出分も含め財政削減試算を提示したが、県の財政削減削の取り組みに反すると一喝され、「『推進計画』も県と同じ方向で」と受け容れる一幕があった。
このエピソードが示すように、この「推進計画」の素性は、国が行政「安上がり」政策を推進する下で、県が先進的に財政リストラ計画―『行政システム改善計画』など、次々と推進してきた点にある。その標的の一つが「推進計画」であり、「教育・学校予算」だったというわけである。
28校を14校に半減する「前期計画」は、直ちに神奈川の進学を受験地獄にしてしまった。県教委公約の「計画進学率94%」は、02年には30年前の水準90%に転落して吹っ飛ぶ。夜間定時制に殺到する大量の不合格者を吸収するため天てこ舞いで、定数35名を40名にするなどしたが生徒は溢れかえり、半数近くが「全日制断念組」となる事態になったのである。
184億円の高校跡地を74億円で売却 進学率は全国最下位に
受験生たちの被ったこの犠牲の一方で、削減高校の「跡地」はどうなっていたであろうか。特に売却された5校について調査した結果を報告する。
売却先は、私学、自治体、医療法人、土地開発公社で、平均約23億円の値引きである。
3年毎に更新される現勢価格を記載した『県有財産表』(台帳)に拠れば、5校の台帳価格総計は約187億円で、その売却価格の総計は約74億円となっている。台帳価格の60%、約113億円のダンピング価格での売却である。県はこの売却価格を成果のように「収入」(『県立高校改革推進計画10年間の課題と成果』より)と総括している。声高に「財政立て直し」の「旗」を振りかざし、現場の教育費用も徹底して搾る一方で,特定者に県有(県民)財産を確信犯的に約113億円の利益譲渡をするという、こんな背任行為を働いていたのである。これが行政スキャンダルでなくて何であろうか。
県行財政に、受験生たちの歪められ断ち切られていく「志望」が念頭にあったとは思えない。