2014年11月11日


来年度生徒募集計画 公立42,900人、私立13,600人、進学率89.6%
 これでは全国平均の92%にほど遠く、全国最低レベルは変わらない
定時制・通信制への不本意入学者をなくすためにも
公立44,400人、私立13,800人で全国平均の92%台に


 8月28日、第3回公私協議会が開かれました。それを受けて9月8日、第2回公私立高等学校設置者会議が開かれ、来年度の高等学校生徒募集計画(公立高校及び私立高校の生徒募集の目標値)が決められました。公立中学卒業者数が、70491人から69746人へと745人減少するなか、今年度比で公立は300人減(43200→42900)、私立は200人減(13800→13600)と、合計500人募集数を減らしています(想定される全日制進学率は89.6%程度)。

 2014年3月の全日制進学率は89.2%。昨年の88.8%より0.4%増加したものの、全国46位。全国最低レベルはまだ変わりません。来年度は全日制計画進学率を昨年10月の希望率と同じ92.1%にし、公立44400人、私立13800人を受け入れて、2000人以上にもなる定時制・通信制への不本意入学者を「徐々に」ではなく、「ただちに」解消し、全日制に受け入れることが必要です。


全日制進学率は全国最低位の89.2% せめて全国平均92%台の実現を

 全日制進学率は2011年度には88.0%に落ち込んで全国最下位(全国47位)となりましたが、その後年々わずかずつ改善の方向に進み2014年3月は89.2%(右グラフ)。しかし、まだ2000人以上の人達が全日制をあきらめて定時制や通信制に行かざるを得ない状況は変わりません。全国平均の92%、東京92%、埼玉93%、千葉94%と比べると大きく立ち後れています(左表)。



 神奈川でも1973年からの100校計画以降、中卒者が9〜12万人もいた80年代も含めて、高校改革前まではほぼ91〜92%を維持していました(97年は92.5%)。


 2000年からの高校改革開始以降10年間の低下は目を覆うばかりです。1990年代までは91〜92%を実現していた全日制進学率が2000年からの高校改革(25校削減)で、1997年の92.5%をピークに、2010年の88.0%(中卒者68,711人)へと4.5%も落ち込んでしまいました。今では近隣の埼玉、千葉と比べると4%以上、全国平均と比べてもほぼ3%の開きがあります。


他県より極端に低い全日制進学率は  日本国憲法の精神に反する!

 埼玉、千葉など近隣県との全日制進学率の差は3〜4%。人数にすると2,000人〜2,800人(学校数にして9〜12校)。これだけの若者が、神奈川県民であるというだけで、他県でなら保障されている全日制への進学ができない状態にあります。

 日本国憲法前文は「わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、・・・」と、日本全国で平等に人権を確保することをうたっていますが、神奈川の今の状態はまさに学習権という人権の侵害であり、「徐々に改善」などでは許されない「ただちに」解決すべき課題だという認識が必要です。


全日制希望率の低下は「進路希望の多様化」ではない!
経済悪化による家計の貧困化と「公立を減らせば私立が増える」という誤った政策の結果

 2000年から2010年までの高校改革で25校の県立高校削減が行われ、2000年には92%近くあった全日制進学率(実績)は2010年には88%へと約4%も低下しました。さらにそこで重要なのはその間、全日制希望率が下がり続けたということです。また、定時制・通信制の希望率はその間わずかずつ増加しました(下のグラフ参照)。

 全日制希望が下がり、定時や通信の希望が増えたことについて、県当局は「進路希望の多様化」と説明しました。しかし、この説明には重大な誤りがあります。家計の貧困化で私学進学が難しくなったのと、県立高校削減によって公立枠をせばめ私学志願へ誘導するという誤った政策が進学率低下を招いています。

 定時制・通信制希望が増えたから全日制希望が減ったのではありません。全日制実績が年々低下し続けたために、入りにくくなった全日制希望をあきらめて定時制・通信制希望へと変えていかざるを得なかったというのが、中学校や塾での進路指導を受けている生徒から見た実態です。




定時・通信の不本意入学者2,000人以上  高校統廃合(削減)はやめて、来年度は92%の全日制進学率実現を

 神奈川の定時制・通信制への不本意入学者は異常に多い。県の調査でも中学3年時の10月の希望調査では定時制と通信制を希望する生徒の合計は3.2%であるのに対し、3月になって実際に進学した数は7.8%、2倍以上にもなります。全日制に入れなかった生徒たちの大半が定時制や通信制に進学します。その結果、定時制・通信制進学者の半分以上が不本意入学となっています。



 今年の6月、新たな高校改革の報告書(「県立高校の将来像」)が出され、「少子化による高校統廃合」を答申しています。教育長も来年度以降に向けて新たな統廃合を含む改革計画に着手すると発表しました。しかし、「全国平均並みの全日制進学率」を確保するだけで、新たに8校分(約2,000人)も必要となります。高校削減はやめて、一刻も早く全国平均並の全日制進学率を実現しなければなりません。

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