2013年11月9日
「学校にローアンの風を」連続講座に参加して 番外2(投稿)
今の学校は「ブラック企業」ならぬ「ブラック学校」
— 民間企業労働者からみた学校の労働安全衛生(続)—
民間企業労働者S
私は前号で民間労働者の立場から教職員の月平均80時間の超過勤務が常態化している事に危惧し、一般的企業の時間外労働の取り組みと比較し、如何に教職員の時間外労働がずさんになっているかを報告いたしましたが、学校関係者のみならず私の働いている会社関係者からも教職員の超過勤務に対し、貴重な意見を頂きましたのでご報告いたします。また、長時間の勤務ながら一定の昼休みも取れない教職員の実態から民間企業との違い、日弁連の見解も含めてご報告致します。
民間企業で働く人の意見
「教職員の超過勤務が平均80時間と言うのは民間労働者からみると異常で、これから息子や孫を学校に預ける立場からすると非常に心配になる。」(製造課員)
「会社は『企業行動規範』を手引きとして社会に貢献する企業を目指している。教育現場で平均80時間の超過勤務が常態化している事は教職員管理者が何も管理していないことになる。これは『ブラック企業』ならぬ『ブラック学校』として社会的に批判を浴びても仕方がないと思う。」(総務課員)
「『生徒の事を思うと~』『部活で絶対に勝たせたいから~』とまじめに考える教職員の姿が見えます。しかし長時間の残業で教職員自身の私生活が崩壊していくのではないかと心配なります。」(技術課員)
「超過勤務で違反している教職員が社会科『公民』で労働基準法を生徒に教育するのですか? 教職員管理者や教職員自身もコンプライアンスに対する感性が鈍いのではないでしょうか。」(保安課員)
「労働組合の活動には三つの柱がある。一には組合員の働く環境を守ること、二に組合員の生活水準を引き上げること、三に組合員の雇用を守ること、なのに教職員組合は慢性的になっている教職員の超過勤務の現実に何も対応していないように見える。これでは組合の存在意義が無くなってしまうのではないでしょうか。」(組合執行役員)
以上が会社内でお聞きした各課で働く方々の意見です。基本的には公の教育現場で教職員が平均80時間の超過勤務が常態化している事の驚き、なのに教育管理者や労働組合がそのことに対処せずに放置している異常さに危惧を抱いている意見が多く出されました。
身も心も休める一定の昼休み時間がない!
前号の投稿記事を読まれた教職員の方も教育現場の昼休みについて「一日の勤務が12時間以上なのにまともな昼休みが取れない、それどころか昼食でさえも落ち着いて食べられない!」というお話をお聞きしました。
私が勤める民間企業では12時から各職場の16畳程の給湯器のある控え室で昼食をとり、昼寝や将棋をする人、また工場内施設で軽いスポーツをする人など、一度頭の中をリセットすることで午後の仕事に入ります。
以下に労働基準法の一部を改正するときの一斉休憩に対する日弁連の見解を記します。
「一斉の休憩時間は、労働が一定の長さで継続すると疲労が高まり、作業能率が低下し労働災害の発生や労働者の健康を損なうおそれがあることから、労働を中断して肉体的・精神的疲労の回復を図るためのものである。
一斉休憩は労働者が他の労働者と自由な時間を共有する事によって職場のコミュニケーションの活性化を図ることなどに配慮したものであり、一斉休憩を軽視することは適当ではない。
さらに人間の健康に適した食事時間というものは生理的に決まっており、一定の適当な時間に規則正しく食事をとる必要性がある。(1998年)」
以上で民間企業労働者からみた学校の労働安全衛生に対し述べてきましたが、民間企業労働者であろうと教職員であろうと、私たちには過去の労働史を通じて勝ち取ってきた条件の下で働く権利があります。大切に守り育てましょう!