2013年8月5日
「学校にローアンの風を」連続講座に参加してB
「労安法」を教育現場でどのように活かすか
ー 各地の教育現場における取り組み ー
第3回の講座は、川口市や越谷市、東京の小学校の学校現場における労働安全衛生の取り組み活動など、3氏の方々からの実践活動報告がありました。
川口市教職員組合の労働安全衛生の取り組み Mさん
1992年に市教育委員会は、ようやく、「教職員組合の労安要求書」に対して、「この法律は教職員に適用される」ことを認め、これが運動の拡がりの端緒となった。この回答以来、「労安要求書」をもとに継続的に交渉が始まった。その中で、特に重要なのは、産業医の配置と活動が認められたことだった。具体的には、25名の産業医を配置し、1名が4校を巡回した。その結果、学期に一回、学校を巡視することなど、教職員の医療面での安全の保障ともいうべき体制が確立できた。産業医の仕事の内容として、職場の巡回の他に、健康講話や個別健康相談などが盛り込まれている。
労働安全衛生の取り組みは、法律の学習や息の長い職場での運動など、「3年で一人前、20年で本物になる」と感じているとMさんは述べておられた。
神奈川では、産業医は学校医をあて、産業医に読み替えている。このような体制を改めて、川口市のように、医療面での充実が求められている。
とにかく、労安体制をつくろう Sさん
私たちの現場では、この問題をどうするか仲間と考えたとき、進んでいる地区の真似をして一つ一つ進めていけば、どこの地区でも必ず労安体制を作ることができるという結論に達した。当初、50人以下の学校では無理だという管理職の攻撃にあったが、2008年に豊島区学校衛生委員会を立ち上げ、委員会の指導に基づいて、下記のような諸点から、活動方針を進めていった。
@ 職員の健康管理・健康の実態把握に務める。
A 病欠・休職・現職死の実態について調査し、審議する。
B 現場の作業環境管理について調べる。
C 職員の作業について職員の声を聞く。
D 衛生推進委員会の実施
E 衛生管理医による学校巡視と職場環境チェックリストの作成
F 今後の課題について討議する。
神奈川では、教職員の安全衛生の学校現場からの取り組みがまだまだ遅れていると実感した。
越谷の学校安全体制をどうつくり、すすめてきたか Oさん
まず初めに、市が労働安全衛生法に基づいて、全学校に衛生委員会を設置することにやっと踏み込んだ。大切なことは、労働安全衛生法に関して、学ぶことと、粘り強く継続して取り組むことだ。
次に、市との対話に努めた。私たちは、労安の学習、学習教材や資料作りに努力した。その中で、教職員と市の職員と同じ労働安全法に関するパンフや条文を読み合わせする機会を設けた。その結果、市は今までと違って、言い逃れができなくなるなど、一定の成果が上がった。
市が法律に基づく要求を拒否する場合、市との交渉を粘り強く続け、法律上の手続に基づく措置要求・申告・訴訟まで進めた。
神奈川県では、年間約30人の副校長、教頭に限定して衛生管理者、同推進者の資格を取得させているが、(現在約60%)この限定は法的に問題があり、希望する一般職員にも資格取得の権利を広げるべきである。