2012年12月18日


ハーモニースクール、
 フロンティアスクールって何だ?

 10月12日、県教委は定時制高校についての「愛称」を公表した。今後、定時制高校全体を「ハーモニースクール」、多部制定時制高校(昼間定時制)を「フロンティアスクール」と呼ぶとのことである。「定時制」というと「なんとなく非常に暗いイメージなので、新しい愛称をつける」という。しかし、県知事が「定時制は暗いイメージ」というのは無責任もはなはだしい。不本意入学の増加などで「定時制」が「全日制」に比べて「暗い」というなら、「愛称」でごまかすのではなく、全日制の募集定数を、不本意入学が解消するまで増やし、定時制全体の教育条件を改善することこそ必要ではないのか。

愛称」よりも、全日制募集定数の拡大と
定時制の適正規模(1学年2クラス)など 教育条件の改善

 10月12日、教育委員会議の10月定例会が開催された。会議では、2013年の県立高校生徒募集計画、横浜港南方面多部制定時制高校設置計画案などの審議のあと、「定時制高校の愛称について」が報告された。「定時制高校の愛称」については、2011年9月7日開催の設置者会議での黒岩知事の発言がきっかけとなっている(下記参照)。その後、2012年2月になって、横浜港南方面多部制定時制高校基本構想案公表に合わせて、定時制高校の愛称も公募された。それらを経て今回の報告・発表となっている。

2011年度第2回~奈川県公私立高等学校設置者会議
 黒岩知事の発言(2011年9月7日)

・・・そのような中で、定時制というもののあり方について私も議論をしていたのですけれども、「定時制」というとなんとなく非常に暗いイメージで捉えられる。ただ、物は考え方次第でありまして、定時制というものを全く違う見方をしてみてはどうなのかと。フレキシブルに自分の学びの時間を創造できるのだということ、そういう打ち出し方をすれば全然違った風に見えてくるのではないかと思うのです・・・(~奈川県ホームページより抜粋)

 しかし、なぜ定時制に愛称をつけなければいけないのか。定時制につけるならばなぜ全日制には愛称をつけないのかとの疑念はぬぐえない。

 会議でも委員から、「フロンティアスクールというのは横浜市立の横浜サイエンスフロンティア高等学校(2009年開校)と混同される恐れはないのか」、「定時制全体をハーモニースクール、その中の多部制定時制だけをフロンティアスクールというのはわかりにくい。『ハーモニースクールのフロンティアスクール』なんて言ってもよくわからない」などの懸念も出されている。

 ともかく、いま知事や県当局がなすべきことは「愛称」の決定や普及ではない。中学を卒業し、希望していた全日制にもいけず、やむなく定時制や通信制に行かざるを得ない生徒が2000人以上も存在する状態は20年前の神奈川にはなかった事であり、現在も他県ではあり得ないことである。このことを真正面から受け止めて、いち早く改善策を実行することこそ県当局のなすべきことであろう。

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