2012年9月29日
新シリーズ 定時制生徒は、いま (2)
私を支えてくれた人
県立高校定時制4年生
私は高校に入る前からいろいろと親にも先生にも迷惑をかけてきました。もちろん高校にも入れるなんて思ってもいませんでした。そして二次募集で○○高校定時制を受け、合格することができました。
けれども入学してからも私は中学校の頃の自分から抜け出すことができず、先生たちに歯向かうことばかりでした。数ヶ月たったころ私は、人間関係から、ある問題を起こしてしまいました。学校では厳しい指導を受け、担任や、親に迷惑をかけてしまいました。
こんなふうに高校一年の時は、ぐれてばかりの私でしたが、ある一人の先生と出会いました。その先生はどんな生徒でもまっすぐにぶつかっていく先生で、私にもまっすぐにぶつかってきました。はじめはウザイとか言って暴言を吐いたり、授業も抜け出したりして困らせることばかりしていました。しかし、その先生は会うたびに話しかけてくれる先生だったので、私も話すうちに仲良くなり、何でも話せるようになりました。
私がまた問題を起こした時、先生は何も言わずに私に一枚の紙を渡しました。その紙をひらいてみると、短い文でしたが、こんなことが書かれていました。「人を好きになるということは、人を信頼するということです。人を信頼するとき、その人の心と向き合います。失敗はたくさんしていいんです。でも、ウソは人と人との関係を壊します。たくさん失敗し大きく成長することを期待しています。何かあったら来なさい。」
私はその手紙を読んで、はじめて人から信頼されたんだと気付きました。今までの自分の視野が狭すぎたのだと気付かされ、友達との接し方、親に対する接し方を一から考え始めるようになりました。まわりに、人にもっと気を使おう、もっと親切にしようと考えるようになりました。
私は今4年生で、先生方や、クラスの皆とも溶け込めて毎日楽しく学校に通っています。卒業まであとほんのわずかです。これからも自分を必要として信じてくれる人たちを大切にしていきたいと思っています。
私を支えてくれたH先生、本当にありがとうございました。
(毎年12月に行われている、神奈川県高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会で発表された「生活体験文」を、本人の了解をえて紹介させていただきました)