2011年7月24日

 「かながわ定時制通信制教育を考える会」が昨年(2010年)、本会会報『ニュース』106号(10月9日付)に掲載した主張を紹介します。

2010年10月9日

『公立6割』(9月10日設置者会議合意)を即時廃棄し、公立高校募集枠の増加を!

2010年度の全日制進学率は、過去最低の88.2%!
 全日制希望は91.2%なのに、88.2%しかなかった入学枠

私学が枠を作れないなら
 公立枠を増やして進学希望を保障するのは県の義務
 −10月19日、県教委で2011年度公立高校生徒募集計画を審議・決定の見込−


  最後の計画進学率は93.5%(2005年) (県は2006年から計画進学率の公開をやめている)

2010年の計画進学率(想定値)は88.4%  入学枠は希望率91.4%に設定すべきだ

  県内公立中学からの県内私学への進学者は、2004年度の21.5%から年々減少を続けて2009年度には18.8%にまで減少していたが、今年(2010年度)から学費無償化(私学生徒への修学支援金)が始まったために6年ぶりに増加し、昨年比で0.6%(1039人)増の13,307人となった。しかし、公立枠を6割に抑えたために、全日制進学率は88.2%と、かつてない最低の水準に落ち込んでしまった。

 「公立枠を6割に抑えて私学入学者を確保する」というのが県の政策というなら、公立枠をへらした分を私学で確実に受け入れることが必要だ。そのためには私学の定数枠も確保し、さらに学費補助などの経済的な支援策を充実させなければならない。しかし今年の春の入試では、その枠さえ準備されていなかった。

県は、私学生徒への学費補助を2009年度の水準にもどし、さらに増額・充実させるべきだ

 今年度から「学費無償化」にともない、公立では年額11,800円の授業料を「徴収しないこと」としたが、私学生徒には国の制度実施にともない、各県でもその趣旨を生かして従来の学費補助の充実を図るよう求められている。

 しかし、県より金額の大きい国の制度が始まることをいいことに、神奈川県では2009年度までの県の「学費補助」について大幅な減額を行った。所得区分の2番目の「住民税所得割非課税世帯」に対する補助額は、国が生活保護世帯と同額としているの対し、県は昨年までは149,000円出していたものを12万円近く減額して3万円としている。他に、「797万円未満」の区分でも、約15,000円の削減があり、こちらで、昨年度までは増額14億円ほどだった学費補助が今年度は11億円程度に減額されていると見られる。

 これは、学費無償化制度の趣旨に全く反した行為である。「公立枠を制限して私学へ誘導する」という県知事・設置者会議の「身勝手な方針」からみても矛盾している。「生活保護世帯には授業料全額を補助」という長野県など他県と比べるとその隔たりは大きい。
 

「公立枠6割」の設置者会議合意は破綻
 2011年度の公立募集枠は、せめて62%程度(今年と同人数募集)に

 10月19日(2010年)に県教育委員会議が開かれ、来年度(2011年年度)の公立高校生と募集計画が決定される予定である。8月6日の公私立高等学校協議会、9月10日の公私立高等学校設置者会議では、来年度の公立募集枠を60%とすることで「合意」した。
 
 しかし、会議の中では「希望しても全日制に入れない大量の生徒」、「定時制・通信制入学者の異常な増加と学習条件の悪化」などの深刻な問題について全く議論されることなく、「公私協調」が強調されて終わっている。「猿芝居」、「談合」と言われても仕方がない。

 教育委員、教育局の方々には、次世代のために英断をもって、「公立枠62%程度」の実現を求めたい。

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