2009年10月5日



”温かいご飯”は定時制の『宝』

廃止なんてとんでもない!

行政は、一番弱い立場の生徒をしっかりと支える役目を果たせ!


 8月25日の校長会で、県教委は現在18校の定時制で行われている給食について見直し、来年4月からは2校を除いて「学食」または「弁当」に移行するという案を提示した。見直しの基準として、
 @在籍生徒数の内3分の1以上がとっている(喫食率33・3%)、
 A委託を希望する業者がある、
 B学校給食衛生管理基準を満たしている(施設条件)をあげている。

 給食の見直し・廃止はここ数年間全国的に進んでいる。1997年に出された自治事務次官通知「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針」に基づく地方行革の一環である。しかし、8月総選挙でめ政権交代以降、「構造改革」の見直しが進み始めた。いまなぜ、あわてて廃止・縮小しようとするのか。時間をかけて、今の生徒にあった制度に改善すべきである。


生徒にとって給食とは

 K君は毎月必ず給食を頼んでいる。教室でぽろっと 「うち、ご飯作ってくれないから」と言ったことがある。母子家庭のK君の母親は仕事が忙しく、彼は昼食には自分でチャーハンなどを作ることがあるようだが、ちやんとしたおかずを作れるわけではない。給食は彼が唯一栄養を考えてとることができる食事である。

  卒業したSさんは、在学中からアルバイトをしながら1人暮らしをしていた。仕事と学校、時には家族が入院してその世話までもこなした彼女は4年間欠かさず給食を食べていた1人である。 Y君は喫煙の常習犯で反抗的、生徒指導担当からはさじを投げられていたが、食堂に行くたびに給食のおばさんに「あんたはいい子なんだから」と励まされ、とうとう担任も危ぶんでいた”卒業証書”を手にした。


“温かいご飯”で頬がゆるむ

 定時制にはさまざまなものを背負った子どもたちが通ってくる。経済的な厳しさ、家庭の支援のなさ、自己自身への自信のなさ、そして学校や社会への反発。4月に入学してきた生徒たちと信頼関係を築いていくのは容易なことではない。しかし、こわもてのワルも、隙を見せまいと頑なになっている子も”温かいご飯”を食べるときには頬が緩む。「最近どう?」「仕事は忙しい?」そんなたわいもない会話から少しずつ関係を作っていく。たった20分程度の給食時間ではあるが定時制教育の中で給食が果たしてきた役割は大きい。
 

経済効率優先は論外  給食制度本来の役割を果たすべき

 県教委は、夜間定時制の給食制度を見直すとして2010年4月からの給食廃止を打ち出してきた。理由は「学校給食衛生管理基準が改正されたので各校の厨房が基準を満たせないため」と説明した。また、「生徒の生活環境が変わり有職生徒が減少したこと、学校周辺にコンビニができたことで給食の喫食率が下がってきたこと」などもあげていた。

 しかし、県は交渉を積み重ねるなかで、「実はいちばん大きいのは財政問題だ」と廃止の理由を変更してきた。「1日あたり1000人毎度の喫食数ではニーズがあるとはいえない」「費用対効果の面で財政当局を説得できない」と言うが、「1000人も給食を必要としているじやないか!」が現場の感覚である。バイトや派遣という不安定な雇用形態だからこそ時間に追われ、唯一のまともな食事は給食だけの生徒、仕事を終わってギリギリこ駆け込んでくる生徒にとって給食は夜間の学びを支えるために最重要だ。給食があったから4年間なんとか高校に通い続けることができたという生徒は少なくない。

 ”ニーズがない”という口実で容赦なく切捨てていくことは、その命綱を断ち切ることと同じ。経済効率ではなく、いちばん弱い立場でいちばん支援を必要としている生徒をしっかりと支える役目を、教育行政は果たすべきだ。

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