2009年8月13日

2009年7月6日

高校入学を断念した中学生がいる!?

           公立全日制後期入試で8,610人、定時制後期入試で276人もの不合格者
     

県知事、公私協議会・設置者会議は「合意」を検証し、

募集計画の見直しと私学学費援助の大幅増額を!


 今年も来年度の募集計画を協議する公立高校と私立高校との協議の場である「公私立高等学校協議会(公私協議会)」(5月12日)と「高等学校設置者会議、(設置者会議)」(5月27日)が開かれた。しかし、今年の後期入試では不合格者が全日制8,610人、定時制276人と、これまでで最大の数にのぼるなど、入試は過酷さを増している。

 2002年以来の定時制・通信制への不本意入学も依然として増え続けている。公立全日制募集枠の拡大と私学進学者への学費援助の大幅増額は急務の課題。次世代を担う若者を大切にする教育政策が求められてぃる。

深刻化する受験生の状況を ないがしろにしての議論は本末転倒

些未な議論に終始した公私協議会と設置者会議

 5月12日に今年度の第l回神奈川県公私立高等学校協議会(公私協)が開かれた。公私協では、県教委から来年度の入試日程および、前期入試での募集枠が提案された。入試日程は、定時制と通信制の後期試験を同一日程にすること以外は2008年度とほぼ同じ内容であった。

 前期入試での募集枠については、多くの定時制関係者は上限拡大を期待していたが、結果は川崎市立定時制のみ60%へ拡大し、あとは2008年度と同じ(クリエイティブスクールは20〜80%、それ以外は20〜50%)という内容。.川崎市立のみ拡大する理由は、川崎市に隣接する横浜市の4区には定時制が無く、横浜からの受験生が増加して川崎市内の受験生が入れない状況があり、川崎市議会でも問題になっているということであった。

 私学側からは、この4月に改編して前期入試枠を鋸吼上限で実施したクリエイティブスクール(田奈、釜利谷、大楠の県立3校)の入試や川崎市立定時制の前期入試での募集枠の拡大に質問と意見が集中した。

 5月27日には、12日の公私協を受けて、松沢知事が招集する神奈川県高等学校設置者会議(設置者会議)の今年度第1回目の会合が開かれた。公私協議会とほぼ同様の議論がくり返され、私学側からは、公立高校の前期募集枠の拡大についての強い懸念が表明される中で、入試日程および前期入試募集枠についての県教委提案が了承された。
  

資料:2009年5月27日設置者会議での発言から>
 

 クリエイティブスクールが前期入試で80%枠にした結果について検証してほしい.
 学校現場は「よい子j「扱いやすい子」を取りたがる。結果がそうなっているなら計画当初の趣旨と異なり「信義制Jに反する。長欠者のためのクリエイティブスクールだったはず。横浜市内の2校(田奈、釜利谷)は、かつての課題集中校とは一変したのではないか。
 『素行が悪かった子』は面接すればわかる。長欠数などは考慮したのか。今の状況から見ると80%にする理由が見あたらない。1ヶ月もすれば検証できるはず。7月の入試要項発表の前にデータを整理し、検証すぺきだ。

今すべきことは、入試全体の検証

・高校入学を断念した中学生はいないのか

・私学進学者を増やすのに必要な学費援助額は

・公立枠60.3%を60.0%こ減らしていいのか

 今年の公立高校入試は昨年にも増して過酷なものとなってきた。後期入試でみると、全日制での不合格者は8,610人、定時制は276人。それぞれ昨年に比べて全日1,586人、定時122人も増加している。これらの受験生はその後、いったい何処へ行ったのか。私立高校に進学できたのか。それとも私立のサポート校などへ進学したのだろうか。来年度に期待して準備している生徒もいると聞く。進学を断念した生徒はいないのだろうか。

 5月12日の公私協議会の最後に事務局から「次回の会議は8月、来年度募集定数の確認が内容」とあった。昨年9月の「設置者会議了承事項」によると、来年度の公立募集枠の比率については「協議は要しない」という。5月の会議では「検証」という言葉が飛び交ったが、入試改善のためにも入試全体の結果の検証をすべきである。

 2009年度の募集計画の結果何が起こっているのか、生徒はどんな状況になっているのか、全日制進学率を93%程度に戻すには何が必要なのか、2,000人にもなる私学の「空枠」をなくすにはどれだけの学費援助が必要なのかなど検討すべきことは山ほどある。中学卒業予定者が今年より3,000人以上も増える中で公立枠を60.3%から60.0%へ縮小することを検討もなしに実施するというのは傲慢きわまりない。
   

自分が大切にされていると実感したとき、生徒は安心して学び、本領を発揮する

いまこそ、「米百俵」を!

 定時制の生徒との生活の中で感じることがある。成功経験の少ない生徒にとって、「学ぶj ということは他人に自分の弱点を見せることで「恥ずかしいこと」でもある。しかし、一人ひとりと丁寧に接する中で次第に心を開いていく。少しぐらい失敗しても決定的にダメと拒否されることはないという安心感があってこそ、学びの場はつくられる。

 経済的困難や自分にはいかんともしがたい社会的枠組み、そういった条件で若者の学びの場を奪ってはならない。教育は格差解消のためのもっとも大事なセイフティネットである。若者に安心して学べる場をいかにして提供するか。大人社会の決意、知事・県当局をはじめとする行政関係者、公私立学校など教育関係者の見識、度量と力量が試されている。

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