2002年8月16日


川崎市教委、市立定時制5校を2校に削減する、統廃合計画案を発表

  川崎市教育委員会は、この5月に「川崎市立高等学校教育振興計画(案)」を発表した。以下に、その概要を資料として紹介するが、定時制に関しては、現在市内にある市立の定時制5校を一挙に2校にまで削減し、統廃合しようとする計画となっている。再編成される2校のうち、1校は三部制(T部は午前、U部は午後、V部は夜間)で、今年の定時制入試で多数の不合格者を出し、問題となった横浜総合高校とまったく同じスタイルの定時制である。他の1校は、夜間を中心に学習するとされている。

  統廃合後の入学者総数は、現在と同程度の1学年11クラスとしている。しかし、3部制の定時制、特に夜間部をのぞいたT部、U部は昼間定時制であり、全日制的性格を持っている。そのため、全日制を希望している人が殺到し、本来定時制で学ぶことを希望している人が閉め出される恐れがある。これは、横浜市立定時制の統廃合(3校の定時制を募集停止)と3部制定時制である横浜総合高校新設によって、今年度の定時制入試で現実に起こったことである。

  市教委は、6月に中原市民館で、7月には多摩市民館と教育文化会館で振興計画(案)を提起し、広く市民、県民から意見を聴く市民説明会を実施した。そこでは、定時制の保護者をはじめ、定時制教職員、「よこはま定時制父母の会」の父母、市民などから統廃合に反対する多くの意見が出された。

  いくつか紹介すると、@働きながら学ぶことを希望する人が定時制に入れなくなるのではないか、A2校になると通学に時間がかかり働きながら通うことはできなくなるのではないか、B2校とも単位制の定時制にするというが、定時制はクラスでの触れあいが大切なのであり、単位制は定時制にはなじまない、C3部制の定時制をつくるからと行って夜間の定時制をなくしてはいけない、D昼間定時制は全日制的なのだから、今年横浜で起こった異例な事態がもう一度川崎で起こってしまう、E2校になると障害者や外国籍の人、不登校の人など、いわゆる弱者といわれる人が定時制から閉め出されてしまう、などなど本当に夜間定時制をなくされては困るんだという切実な声があふれた説明会であった。

  こうした声を、川崎市教委は真摯に受け止め、教育振興計画(案)の見直しを行うべきである。 


川崎市立高等学校教育振興計画(案)の概要

T 川崎市立高等学校の歩み
U 川崎市立高等学校の現状と課題
V 川崎市立高等学校の充実・発展をめざして

2 充実・発展に向けて取り組む内容
(1)生徒の可能性を伸ばすための教育内容や教育方法の充実

◎教育課程の弾力化
 教育課程の編成にあたっては、多様な選択科目を設置し、生徒の興味・関心や進路希望に応じた教育の推進を図ります。

◎学校間連携の推進
 川崎市立高等学校に在籍している生徒同士の交流や、自校では開講されていない他校の教科・科目の履修を可能とする学校間連携等の検討を進ます。

○学校行事や部活動などの学校間連携
○教員が他校に出向くことによる授業などの交流
○生徒が他校の授業などを受講することによる学校間連携
○情報メディアを活用した授業などの交流

(2)開かれた高等学校づくりの推進
◎「学校教育推進会議」の場を通して、生徒・保護者・地域住民から学校運営や教育計画などについての意見を聴き、それらを生かした学校教育の見直しと充実を図ります。

(3)新しい視点による学校・学科・学系の創造
◎全日制過程における新しい視点による学校・学科・学系の創造

○学系の設置
○既存学科の改編・改称
○既存学科の充実
○学校規模の適正化
○単位制の長所を取り入れた教育の推進

◎定時制課程における新しい視点による学校・学科の創造

○単位制の導入と聴講制度の新設
○修業年限の弾力化
○再編成
 現在の5校の定時制課程を2校に再編成し、1校には3部制(T部は午前、U部は午後、V部は夜間)を導入し、他の1校は夜間を中心に学習。再編成後の定時制課程の入学者の総数は、現在と同じ。

(4)入学者選抜方法及び通学区域(学区)などの見直し
◎入学者選抜方法の見直し

○全日制課程普通科での推薦入学の導入
○入学者選抜方法の見直し
○転・編入学などの見直し

・同一校における転籍などの見直し
・川崎市立高等学校間での転・編入学の見直し
・中途退学者の受け入れの見直し

◎通学区域(学区)の見直し
全日制課程の普通科・専門学科および定時制課程の通学区域(学区)の見直し

(5)生徒の意欲的な活動を支援する条件づくり
◎施設・設備の充実

○バイアフリー化の促進
○長期的展望にたった施設・設備の検討

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