2002年10月12日
川崎市立高校再編計画案に対して、シンポジウムで反対・見直しの声多数
「夜間定時制をなくさないで」 保護者・生徒・卒業生が訴える
さる10月6日、川崎市の生涯学習プラザにおいて、「川崎市立高校の再編を考えるシンポジウム」が開かれました。
午後2時の開始時刻前から、天気のよい、日曜の午後にもかかわらず出席者が押し寄せ、参加者の総勢は77名となりました。
まず、この間「川崎市立高校再編を考える会準備会」を立ち上げ、今回のシンポジウムを計画してきた世話人の一人である市立高校定時制教員から、挨拶がありました。その後、パネラーからの報告が行われました。
まず、川崎総合科学高校定時制の教員が現在の定時制生徒の状況について、ほぼ半数近い生徒が不登校の生徒で、この不登校の生徒が夜間定時制に入学すると、小規模なクラスの人間関係の中で、生き生きと学校生活をおくっており、通知票を見せ合う場面もあるとのことでした。これが、計画されている3部制の定時制で単位制が導入されると、生徒がバラバラになるのではないか、さらに現在は自転車通学が一番多いが、定時制が2校になると通うことができるのか心配だと話されました。
次に、川崎市立中学の教員がいかに中学3年生の時の進路指導が大変であるかを報告され、各中学校で何人か定時制に入学する子がいること、その子にとっては定時制が本当になくてはならない学校であることを話されました。
三番目は、この春まで「よこはま定時制父母の会」の代表であった、定時制卒業生の保護者から、横浜市教委が如何に定時制の良さを理解しようとしないか、また経済効率が悪いなどの考えでどのように乱暴な定時制つぶしを行ったのかということが報告され、川崎では絶対に横浜と同じ事態を招いてはいけないと訴えました。
最後に、川崎市立橘高校全日制の教員がこの間の川崎市教委との話し合いの経過と「川崎市立高校再編計画」の問題点を報告しました。
その後、フロアーから、総合科学高校定時制生徒のお母さん、市立定時制の生徒会長、市立川崎高校定時制の卒業生など、参加者15名から次々と「夜間定時制をつぶしてはいけない」「行政だけに働きかけるのではなく、広く市民に今回の計画の問題点を訴え、見直しを求めていこう」という発言がなされました。
最後に、主催者から「川崎市立高校再編を考える会」結成と入会の訴えが行われ、シンポジウムは終了しました。
以下に、この「訴え」を資料として紹介します。
仮称「川崎市立高校の再編を考える会」結成のよびかけ
本日はお忙しいなかを、川崎市立高校再編を考えるシンポジウムにお集まりいただき、本当に有り難うございました。
夏休み中から準備は始めたのですが、慣れない仕事が多く、モタモタしている間に日が迫ってしまい、大変たどたどしい準備でしたが、多数の父母・生徒・卒業生・市民・教職員などの方々の参加・協力を得たことをに感謝し、準備をしてきた者として一同大変うれしく思っております。
さて、戦前戦後から川崎市の中等教育を支えてきた、市立高校5校(川崎・川崎総合科学・商業・橘・高津)と同5校の定時制の「振興計画」(案)が出されました。
そのなかで、当面、統廃合の方向が明らかにされた、,定時制5校を2校にするとい計画に対して、本日のシンポジウムでも、様々な角度から「定時制高校の果たしている今日的役割の確認と意義」が明らかにされ、それを「一方的に統廃合することの不当性と問題点」が指摘され、この「『小さくて、ゆっくりの、温かな学校』を守り、さらに良いものにしていこう」ということが話し合われました。
しかしながら、川崎市立高校の定時制には、川崎市立高校の全日制や横浜市立高校定時制と違い、PTAなど父母組織がありません。この「統廃合計画」が実行に移されようとしているとき、定時制高校を守る父母・市民の組織がありません。教職員や生徒・卒業生の声や運動だけでは、この計画に進行をやめさせたり、定時制高校をさらに良いものにしていくことは、とても難しいと思われます。
そこで、仮称「川崎市立高校の再編を考える会」(名称や目的・規約などの詳細は後日の発足準備の会で検討する)を、皆さまの参加のもとにつくり、今後、教職員組合や生徒・卒業生の運動と協力・共同しながら運動を進めていければと考え、仮称「川崎市立高校の再編を考える会」の結成を呼びかけたいと思います。
多くの方のご賛同をお願いいたします。