2022年8月7日
 「かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会」は6月20日、神奈川県教育委員会教育長に「すべての子どもたちが安心して高校教育を受けられるように『県立高校改革実施計画』を見直すようもとめる要請書」を提出しました。
神奈川県教育委員会
 教育長 花田 忠雄 様

    

すべての子どもたちが安心して高校教育を受けられるように
「県立高校改革実施計画」を見直すようもとめる要請書



 2022年6月20日
かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会

<懇談会団体>
横浜市立定時制高校の灯を消さない会    代表  高坂 賢一
  かながわ定時制通信制教育を考える会    代表  保永 博行
定時制高校を守る市民の会かわさき    代表  浅野 栄子
  不登校の親の会(こだまの会    代表  馬場 千鶴
教育委員会を傍聴する会   代表  土志田栄子
港南区・教育を語る会   代表  田崎秀一郎
県民要求を実現する連絡会  事務局長 倉形 洋一
  新日本婦人の会神奈川県本部    会長  田中由美子
神奈川県教育運動連絡センタ-   事務局長 宮田 雅己

 2021年12月21日提出の県立高校改革に関する要請書について、2022年2月9日にご回答頂きありがとうございました。その回答を吟味いたしましたが、私どもの求める要請の真意がご理解いただけていない部分がありますので、第3期計画発表を前に、重ねて要請書を提出します。すべての子どもたちが安心して高校教育を受けられますように、「県立高校改革実施計画」の見直しをよろしくお願いいたします。


1, 全日制高校および定時制高校の統廃合を行わないこと

 計画策定時(2014−2015年1月)と現在では諸条件が変わっています。

① 計画終了年度の公立中学卒業予定者数の想定が、当方の計算では計画策定時より1,700人程度増加している(2015年1月と2020年8月の推計値を比較)。計画完了年度の公立中学卒業予定者数は、計画策定時には63,195人(2027年3月 計画開始の2016年度より10.8%減)であったが、2020年8月の推計値では64,984人で8.1%減と算出されます。
 最新のデータにもとづいて学級数を計算し、必要な学校数を計算して県民に示すこと。

② 貴委員会が余剰教室と見なす教室の各学校における活用実態を調査して、その有用性を確認してその実態を県民に明らかにすること。

③ 2021年度から小学2年生からの35人学級が学年進行で始まりました。2029年度には高校に及びますが、40人学級が35人学級になると、その年度以降は必要クラス数が14.3%増加する計算になります。仮にそれを実施するに必要な学級数、学校数を積算して県民に示し、その場合でも高校削減は可能か明らかにすること。

④ コロナ禍で「身体的距離1-2m」が重要視され、現在の教室サイズでは40人学級に無理が生じていることがこのコロナ禍で実証されました。この点からも教室数には余裕をもって高校数を確保しておくことが求められているとは考えられませんか。

⑤ コロナ禍によって雇用・営業等の社会状況も大きく変化し、生徒家庭の経済的格差が拡がり、県立高校の重要度が増していることも考えて余裕のある計画とすべきです。

⑥ 最新のデータを活用して、2029年度から高校での「35人学級」をも想定して、さらに全日制進学率を「93.5%以上」とする当面の目標も計画に算入して、2029年度の必要学級数、学校数、教職員数を算定して県民に示してください。

⑦ 全県の夜間の交通事情を考慮して、全県どこでも夜間定時制高校に通える状態を堅持する前提で、高校改革の計画を立てる必要があります。

⑧ すべての子どもたちが将来にわたって安心して高校教育を受けられる条件を考えるならば、これ以上の高校削減には無理があると考えられます。

2, 高校での35人学級に取りかかり、20人学級実現に向けて、少人数学級の段階的実施計画を策定すること(全県一律にこだわらず、可能な高校から取組を始めること)

① 義務制から始まっている35人学級が学年進行だと2029年4月から高校に及びます。
(高校改革実施計画Ⅲ期終了の翌年の入学生から適用となります)

  こうした時代の流れも想定して、それにも応えられる高校数を確保しておく計画とする必要があります。

② 現行の40人学級が35人学級になると、必要学級数は「14%増」になります。
(6学級は7学級、8学級は10学級、単年度で増加)

③ 2029年度に「学力向上進学校 5校」およびその「エントリー校 13校」を40人学級募集とし、他をすべて35人学級募集としたときの必要クラス数は全県で1001となり、全県立高校を一律に35人学級にしたときは1021クラスと計算されます(添付資料参照)。

④ 横浜北東・川崎地区では32クラス増となり、高校数が大きく不足します。

⑤ 専門高校は35人学級、定時制は20人学級としてはじめる選択肢もあリます。

⑥ 貴委員会は「40人学級より少ない人数で教育活動を行っている取組」や「少人数教育による学習の機会を増やしていく」などの現場対応の必要性、有効性を回答の中でも評価し、認めています。それを拡大していくことも可能な計画とすべきです。

⑦ 以上のように考えるとこれ以上の高校削減は不可能ではないでしょうか。

3, 全日制高校進学率93.5%以上を早急に実現すること

① 全日制進学率を現行の90.8%から2.7%引き上げるとすると、入学者を1700人程度、40人学級としても43学級、6校から7校分 増やさないといけません。この面からも、これ以上の高校削減には無理があると考えるのが将来を見通した計画といえます。

② 「全日制高校進学率93.5%以上」を実現するために必要な一学年8学級以下の適正規模の高校数はどれぐらいになるのかを算定して県民に示すこと。

③ 私どもの計算では、これ以上の高校削減は不可能であると考えます。

4, 高校教育の完全無償化を実現すること

① 県費図書費を大幅増額し、私費図書費を他県並みに廃止とすること。
(生徒一人当たり年額2000円程度)

② 私費の「教育振興費」徴収を廃止し、その分県費を増額すること。
(生徒一人当たり年額10000円程度)

③ ICT教育充実のために必要な費用(たとえばタブレットなど)は完全に公費とすること。
 新型コロナウィルス感染症の拡大により、世界中で感染防止のため、ロックアウトや学校の休校が行われました。
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