シリーズ  今、定時制高校では E

           不登校だった生徒が、
                登校できるようになる定時制


  横浜のA校定時制では、中学校で不登校や登校拒否であった子が、新入生の約3分の1を占めています。そのうち7〜8割の生徒は、定時制では登校できるようになり、卒業していきます。

 今年度(96年度)の1年生のあるクラスには、新入生35人のうち、中学3年時に年間半分以上欠席していた生徒が9人います。下表は、その9人の中学時と高1年時(1、2学期)の欠席日数のデータです。
                

        A      B      C      D      E      F      G      H      I  
 中学1年    167   221   156    12   230    15    26     2   104
 中学2年   236   217   216   164   183    19   112    99   112
 中学3年   219   163   162   156   139   128   108   100    90
 高校1年     1     0   休学    32    28    14   休学     0     2

  9人のうち、残念ながら2人は、現在(97年1月)休学していますが、7人(78%)は普通に登校できています。特に、欠席日数2日以内の生徒が、4人もいるのが注目されます。この7人は、1年の2学期までこの調子であることを考えれば、このまま不登校を克服して、卒業できる可能性が高いといえます。

       多様な生徒が少人数で、ゆっくり学んでいる定時制
                   それが、不登校を克服する道


 中学で不登校であって、A校定時制にきた生徒の多くが、登校できるようになる理由としては、次のことがあげられると思います。

 
(1)定時制には、性格の上でも学力の上でも、年齢でも仕事でも、多様な生徒が学んでおり、個性
    が
強いことが当たり前の環境です。

  (2)中学や全日制に比べ、全校の生徒数が少なく、一学級の生徒数も比較的少ないので、教員と
    生徒との間で、きめ細かい交流や学習指導が行われています。

  (3)1日4時間で、4年間かけてゆっくり学ぶというペースが、不登校であった生徒にあっています。

  現在、経済効率を理由にして、このような貴重な学びの場である定時制を、統廃合していく動きが強まっています。しかし、効率優先、競争本位の教育からはじき飛ばされた子に、高校教育を保障している定時制の役割は、多くの人に知られており、広く県民から期待されています。安易な、機械的一方的な統廃合を許さず、定時制教育の充実を求めていきたいと思っています。

                                    
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