1999年11月28日

県民の教育要求と「県立高校再編統廃合計画」との矛盾が今後争点となる

                          ― 県教育委員会臨時会議を傍聴して ―   

中陣唯夫(平塚商業定時制教諭)


  11月25日午後1時より、神奈川県教育委員会会議室において教育委員会臨時会議が開かれ、「県立高校改革計画について」が提案された。私は、この会議を傍聴したので、以下簡単に報告したい。

  冒頭、教育委員会より@計画案について検討経過、A計画案の進捗状況、B小田原城内高校の2002年度募集停止について、2004年度まで外国語コースに限り募集を続けるに変更ということが提示され、AとBについて説明が行われた。

  Aでは、校長(校長から保護者へ)、再編対象校の教職員、市町村教委、中学校長、中学校の進路指導教員、そして保護者への説明会、県のホームページ、「県のたより」などを通して、「再編計画」の周知徹底を図っていることを説明。また、再編対象校以外の教職員への周知徹底を図っているとともに、月例地区校長会を通して、特色作りを進めていることも報告される。

  また、対象校の新校準備委員会が校長・教頭、両校の教職員数名、県教委改革室の三者による構成で設立される予定であることが明らかにされる。そのなかで、新校のカリキュラムなどソフト面と施設・設備のハード面、移行期間の両校の連携のあり方、新校の生徒指導やクラブ活動などに関して連携を図り、準備委員会の下に調整委員会をつくることも県教委として了承したい旨の意向も出る。

  全体として、こんな内容であったが、教育委員は総論賛成、各論問わずといった「はじめに『改革推進計画』ありき」の姿勢で、その進捗を叱咤激励する性格の会議であった。 ただその中でも、委員から「統廃合ばかりがクローズアップされているようだが」とか、「廃校予定の高校の応募者が定員割れになるのではと心配する校長が多いが、そうならないようにお願いしたい」などの発言があり、「計画についての中学校側の反応は」という委員からの質問に、県が「学校形態への質問や、高校入学の枠が狭まるのではないかという質問はある」と答えざるを得なかった場面が印象に残った。

  県教委は、小森教育長を議長として年内に「県立高校改革推進会議」を発足させる。しかし、傍聴してこうしたやり取りを聞き、県民の30人学級や希望者全入を求める教育要求と「再編統廃合計画」との矛盾が、今後具体的な形を取ってますます強まり、県教育界の争点になることは避けられないと確信した。

  それにしても、この重大な臨時会議に定数5名の教育委員のうち出席は3名のみ、審議時間は正味42分。これで、90年以上の伝統をもち、同窓会「窓梅会」(会員23,000人)が母校の存続と再編計画の見直しの陳情書を出した小田原城内高校をはじめとして、県民の財産である県立高校14校が消えていく ― 「30人学級要求」なんてどこへいったのかというふうに、県立高校の一大リストラ計画が決定されるなんてことがあっていいのだろうか。多くの県民は、こうした県立高校削減計画を決して認めないだろう。

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