ベット

 

                  松前早咲様

 

オレの名前は進藤ヒカル。

小学6年生。

得意な教科は体育、図工。

ずっと座って話を聞いて受ける授業は苦手だ。

部屋でゲームをしていると熱中して夜遅くなる事が時々ある。

だから、学校で椅子に座ったまま先生の話を聞いているとそれが子守唄の代わりになってよく寝る。

当然、先生の話なんかは聞いていない。

家でも予習をしているワケもないから成績は下がる一方だ。

そして、その結果が目に見える形になって表れるのがテストだ。

 

 

この間先生から返してもらったテストの点数は自分でいうのも何だがスゴイ点数だった。

 

 

いつもはオレに甘いお母さんも鬼のように怒ってオレの生命線ともいえるお小遣いをくれなかった。

成績が上がるまではお小遣い停止。

自分でも酷い点数だと判っていたから、反論出来なかった。

だけど、お小遣いが無いと何も買えない。

来月には待ちにまったソフトの続編が出る。

その為に何としても、お小遣いが欲しかった。

 

 

 

夜にだらだらとTVを見ていて思いついた事がある。

最近はあるTV番組の影響で古いものが高値で取引をされている。

じいちゃんちの倉に何かお宝が眠っているかもしれない。

その中からよさそうなのを拝借して、それを売ればお小遣いくらいになるかもしれない。

オレはじいちゃんちの倉に入る決心をした。

 

 

 

嫌がるオレのあとを無理につけてきた幼馴染のあかりと2人でじいちゃんちの倉に入った。

倉の中はホコリだらけで、何が良いのかさっぱり分からなかった。

古めかしい碁盤を見つけ年期もありそうだし、これから高く売れるかもしれない。

そう思って碁盤の上にあったホコリを払うと、妙な声が聞こえた。

近くにいたあかりには聞こえていないらしい。

空耳かと思ったが違っていた。

 

 

 

そうして、オレの意識に佐為が宿った。