らんま1/2 親子編 

第7話 また一人乱馬を忘れられぬ女


シャンプーは前回の騒動以来、乱馬を必要以上に追わなくなり早乙女家には平和?が訪れていた
しかしその平和な時間も束の間…また新たな問題が生じようとしていた…
それはなんの変哲もない冬の寒い日の学校帰りのことだった…

「ねぇねぇ、お父さん♪」
「ことね…外ではお兄ちゃんだろ …はぁ」
乱馬はもうもはや日常語となった言葉を返しつつ、ため息をはいた
「あっ!ゴメン…つい」
この言葉もまた、日常語である
「すまない・・俺が普通の身体だったら、娘に迷惑かけなくてすむのにな…」
「そんなの気にしないで♪それよりさっき言おうとしてたことなんだけどさ、お好み焼き食べに行かない?」
「お好み焼き!?」
(そう言えばうっちゃん今は何をしてるのかな?)
乱馬はふいに自分の結婚式の日に突然消えた第二の幼馴染"久遠時右京の事を思い浮かべた
彼は彼女のことも好きだった…むしろあかねと一緒に暮らして無かったら彼女と結婚していたかもしれない
(ちゃんと飯食ってるのかな?) 彼がこのようにしんみりした気分になっえいるのも束の間
「今日からOPENの店があるの♪だから早くいこいこvv」
「あぅ!首根っこつかむなって///!」
乱馬はことねに引っ張られる様に連れていかれた

「ところでいつになったら着くんだ?」
乱馬が口を開いたのはことねに強制送還されてから1時間がたった時だった
「おかしいなぁ…もうとっくに着いてるはずなんだけど」
乱馬はそのことねの言葉にふと不安がよぎった…
それはお好み焼き屋につかないという小さい不安ではなく
ことねが自分の子供でないかもしれないというとてつもなく大きい不安である
その根拠は今のことねの発言は方向音痴の人がする発言であるということ
方向音痴は良牙の特権であるということ
良牙とあかねが関係をもつという可能性が否定できないということだ
「お父さん!いくらなんでも、もうすぐ死にますみたいな顔しなくても…」
「あ!わりぃわりぃ」
(俺は何考えてるんだ、ことねは俺とあかねの大切な娘だ…それ以外のことなんてあるわけねぇ)

突然!

「あれぇ!もしかして乱ちゃんか?」
後ろから聞き覚えのある声が乱馬の耳に入りこんだ
(まさか…右京か)
とたんに乱馬の顔はあかねの料理を初めて食した時の20%ぐらいの度合で青ざめた
それは彼女は会いたかった人ではあるが、会わない方がいい人でもあるから…
このような状況において、自分の勘違いであったことは皆無であり、予感的中であったことは星の数だから

乱馬は勘違いと願う様に後ろを振り返った

そこには巨大なヘラをかついだ女性が…いた

つまり勘違いではなかったということだ

しかしまだ状況は悪とはいえない、今自分は少年の姿であり本来あるべきの中年早乙女乱馬ではないのだから
他の人々に対してと同じように中年早乙女乱馬の息子として振舞えばたいしたトラブルは起こらない
起こったとしてもコネで就職した会社が潰れてしまうぐらいのレベルのものだろう

彼は作り笑顔を作り、あたかも初対面かのように礼儀正しく会釈し・・

「はじめまして、僕は早乙女乱馬の息子です」

挨拶をした

その言葉はいい終わるやいなや右京の動きがピタリとまった

そして3秒後…

「あ〜はっはっはっはっはっぁっはっは〜あ〜はっはっはっは〜」

彼女は笑い出した

「何がおかしんでぃ!」
「あ〜はっは〜…だって、どこに"僕は早乙女乱馬の息子です"なんてうさんくさい挨拶する奴がいるっちゅーねん?
もうウチおかしくて、おかしくて…あーはっはっはっ〜」
「でもよ、俺がもし本物の早乙女乱馬だったら今はもう少年のわけねぇーだろ!?」
乱馬はまるでストーブに何時間もあたっていたかのように顔を真っ赤にさせて叫んだ
…その発言が致命的なミスになるということに気づかずに

「お父さん…それじゃ自分が早乙女乱馬っていってるみたいなもんだよ…」

(……………………)

「しまったぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「年をとっても乱ちゃんの頭の悪さは直ってない見たいやなぁ…」
「うるせぇよ!…でもよ、最初から知ってたみたいな感じなのはなんでだ?」
「実はなぁげんまに…」

バキっ!!
「あいた!」

右京が言い終わるやいなや乱馬は草むらに隠れていたげんまを見つけ、蹴りを見舞った

「やっぱり!お前の仕業か!?わけを聞かせてもらおうか親父?」
「実は右京のやつがお好み焼きをオゴってくれるというもんでな…」

バキッ!!

「あ〜れ〜!!」
…げんまは空の藻屑となった…

「ところでうっちゃん…なんでまた戻ってきたんだ?」
「ウチが戻ってくるの迷惑か?…」
「いや!そんなことないよ、そんなことねぇけどよ…突然いなくなったから、もう戻ってこないんじゃないかって」
「ウチはな、乱ちゃんに見合うような女性になれるよう修行の旅に出てたんや、戻ってきたってことはな…わかるやろ?」
言い終わると右京は頬を紅葉させ、上目遣いで自分の愛する男性を見つめた、少し涙もにじんでいたかもしれない
そして何かを決心したかのように大きく深呼吸をして…そして、そして

グァキン!!!!!

自分の分身ともいえる巨大ベラをへし折った

「うっちゃん!!」

「いいんや、もうこないなもん必要ないんや…もう迷いはない…ウチ、ウチ!お好み焼きを捨て乱ちゃんの元に嫁ぐんや!
不束ものですが宜しゅうお願いします…」

(うっちゃん…しばらくみないうちに綺麗になったな…でも、でも!俺は…)

「…ゴメン…うっちゃん」

「そんなんヒドイわ!ウチはこの十数年間お好み焼きを捨て!乱ちゃんのためにいいお嫁さんになろうと努力してきたのに
ウチの何処が悪いんや!!何処であかねちゃんに負けてるんや・・ううっ…ヒック…ヒック」

そのときの彼女には号泣という二文字以外なかった…

「泣くなよ…」
「何で、何でウチじゃダメなんや?…答えてくれへんとウチ納得いかへん…ヒック」
「俺にはあかねがいるし、それに俺には娘がいるんだ」

彼は、状況をまったく読み込めずにキョトンと固まっていた・・ことねを指さした…

その瞬間

右京は涙をピタっと止め…そして

「あかねちゃんと幸せにな…さいなら」

その一言を残し風のように去っていった…後ろ一度も振り返らずに

乱馬はあまりの右京の態度の急変に驚き、口をぽかんとあけ固り…

「うっちゃん!!!」

我に返って叫んだ時にはもう右京はもう…姿すら見えなかった

「うっちゃん…」

「お父さん?今の人…」
「お前が心配する必要ないよ。うっちゃんなら大丈夫…あっ!今日あった事は母さんに内緒だぞ」
「どうして?」
「どうしてもだ、父さんとの約束だぞ」
「…う〜ん…わかった!ことねとお父さんだけの秘密ね♪」
「まっそー言うこったぁ!さて帰るか」
「うん♪」

そして家に着き…

「あっ!乱ちゃんおかえり〜♪」
「…なんで、なんで右京がいるんだよ!」
「それはアタシが聞きたいわねぇ…乱馬!これはどういうことなの!?」
あかねはいつぞや乱馬が料理をだいなしにしたときの当社比3倍ぐらい…怒っていた
それは地球の1/5を破壊するほどのエネルギーといっても過言ではないかもしれない
乱馬は蛇ににらまれた蛙のように固まり…動けなくなった

「う、うっちゃん…コレは?」
「な〜に簡単なことやわ♪ウチのお好み焼き屋開業資金あんどヘラ修理金がたまるまでこの家に住ませてもらうだけや」
「なんで俺の家なんだよ…もとはと言えば親父のせいだろ…」
「あのな乱ちゃん…ウチと乱ちゃんは許婚…つまり結婚してるも同然やろ?つまりウチをフッた乱ちゃんにはな…
責任っちゅーもんがあるんや、それとも裁判するか?そうなれば200万は払ってもらうで〜」
その時の右京の目はギンギンに光っていた…それは本気であるということの証明…

今にも爆発しそうなほど張り詰めた空気の中

ことねだけが苦笑いを浮かべていた…とさ

続く

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天道家のみなさんの家族会議

欄間:今日は長めにしてみましたわ

らんま:いい迷惑だぜ!お前の作品の展開にはついていけねぇよ

あかね:いい迷惑はこっちよ…なんでシャンプーは知らないからまだしも

ことね:まぁいいじゃない♪にぎやかになるんだから

欄間:ことねちゃん最近キャラ変わったよね

ことね:わかる?そろそろ本性だしちゃおうかなvvみたいな

らんま:ことね…本性ってじゃあ今までのことねは…

あかね:もう!あんたが余計なこと言うからよ!

欄間:俺のせいかよ!(三村風)

げんま:そうだお前のせいだ、この右京騒動も!

ら&欄&あ:それはお前のせいだ!!!!

バキ!

げんま:アポー!