第4話 ゴールドソーサー

 

ゴールドソーサーの夜は永遠である
正確に言うと昼という概念がないだけなのだが
永遠の夜に一組の夫婦がまさに今足を踏みいれようとしていた

「懐かしいわね〜何年ぶりかしら」
「一ヶ月ぶりだ…ちょうど一ヶ月前に喧嘩したから」

そういうと彼は少しため息をついた。
彼にとってこの空間は魅力的でもなんでもなかった
喧嘩をするたびに連れてこさせられるここには、ロクな思い出が無い

新婚の時はよかった

若干結婚3年目のクラウド氏はぼそっと呟いた、幸い彼女には聞こえなかったようだ
あの時は何もかも初々しくて、何があってもなんとかなりそうだった

「クラウド早く、早く!」

彼は無言でゴールドチケットを係員に提示した、頻繁に利用する彼らにとってこれは必需アイテムである
係員はにっこり笑いおじぎをして2人を招いた、彼とはもうすでに顔見知りだ

「まず何処行こっか?」
「エアリスの好きなところでいいよ」

いくら自分が意見を言おうとも、結局は彼女の一存で決まる事を過去の経験で彼は知っている

「うーん…じゃ、チョコボレース!」

彼の脳内に嫌な予感が過ぎった
彼女はエアロガで対抗馬全てをコース外に吹き飛ばした前科がある
何故ここまでして彼女がブラックリストに載らないのかが彼は不思議でしようがない
実は彼女にはエアロガのエアリスという称号があり、チョコボレース事務局が運営するファンクラブまであるのだ

レースが始まると突如

「いけ〜コラ!足止めんな!走れ!」

彼女は豹変する
彼はこれが苦痛だった、周りの視線が自分に集まる
…きっと尻にしかれてるのよあの旦那…内緒話もちらほらと聞こえ、恥ずかしさこの上ない
レース中の彼女に何を言っても無駄である、触らぬ神にたたりなし、彼は2時間耐えた

「次はスピードスクエア!」

アンブレラが取れるまでやらされた事はいうまでもないだろう
少なくとも20周、いや30周はしたと思う
すでにクラウドの体は言う事を聞かなくなっている状態だ
それでもその後バトルスクエアに勝ち抜き、スノボーで華麗に舞って見せた彼には尊敬の言葉を与えたい

「最後にラウンドスクエア乗って帰ろ」
「あぁ」

彼はこの時だけを楽しみにしていた
ふたりきりはいつものことだけど、このゴンドラに乗っていると時のふたりきりが特別彼は好きだった
彼女が幻想的な雰囲気と薄暗い照明の中で格別綺麗に見えるから
そしてここでする会話も彼のお気に入り

彼女はいつもこういう
「ゴメンね、ワガママ言って」

そして彼がこう答える
「それは言わない約束だろ」

ここに来た数だけ交わしたやりとり

そして彼女は少し頬を赤らめてこう言う
「クラウドといるとなんだか楽しくなって、ついつい羽目をはずしちゃうんだよね」

心の中がほんわかするってこういう事を言うんだろうな…
そして彼はさらに心の中でこう呟く

また来よう…


一ヵ月後、彼はまた苦悩し、最後に呟く

終わりよければ全てよし…
 

続く…(かもね)

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あとがき

本当は別に第4話があったのです
でもこのデーターは見つからなかったので新しく作り直しますた
カナーリ即席で書いたから結構しょぼいかも(いつも)最初と最後が矛盾してるし
機械があれば(笑)どっかの話にうまく組み込みたいと思います