電子の運動力学について:

序章、第1章、第9章
アンリ・ポアンカレ(*)

訳 片山泰男
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序章

最初に思われることは、光の光行差と関係する光学的電気的現象とが、地球の絶対運動、又は他の天体に対するその運動でなく、むしろ エーテルに対するその運動を決定する手段を、我々に用意するだろうということである。フレネルは、このアイデアを追求したがすぐに、 地球の運動が光の屈折と反射の法則を変更しないことを認識した。同様な実験、水に満たされた望遠鏡のような、そして全てのそれらを 考慮した項の光行差が1次より大きくないものは否定的結果だけをもたらした。そして、説明はすぐに見出された。しかし、光行差の2次 に依存する項に敏感な実験を考えたマイケルソンは、次々に失敗した。

実験によって地球の絶対運動を検出することのこの不可能性は、自然の一般法則かもしれないということが表われてきて、我々は自然に、 この法則を受容するようになり、それを我々は、"相対性の仮説" と呼び、そして、制限なく受け入れるのである。この仮説がどうであれ、 今まで実験と合致したものは、後により大きい精度の実験で確証されるか、反証されてもよい、どちらにせよ、その結末を確認することは 興味深いことである。

ある実験がローレンツ(Lorentz)とフィッツジェラルド(FitzGerald)によって提案され、彼らは地球の運動の方向に異常の2乗に比例する 全ての物体の短縮の仮説を導入する。この短縮、我々が "ローレンツ短縮" と呼ぶだろうものは、マイケルソンの実験とその他の今まで の全ての実行されたものを説明するだろう。しかしながら、もし、我々が完全に一般的に相対性の仮説を受け入れようとするなら、 その仮説は不十分になるだろう。

ローレンツは、そこで彼の仮説をを拡張し修正して、この仮説に完全に合致を得ようとした。これが彼が "光の速度より小さな速度をもつ 物体系のなかの電磁現象" (アムステルダムアカデミー学会誌、5/27 1904)という題名の彼の著作のなかで成し遂げたことである。

その問いの重要性は、私を説得し翻ってそれを取り上げる;すなわち、全ての重要点について、私がローレンツ氏のそれらと合意することが できた結果である。私は単に、それらのいくつかの詳細に、修正と拡張を導くだけである。これより先、我々はその違いをみるだろうが、 それは2次的な重要性である。

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* Scott Walter によって翻訳された、"Rendiconti del Circolo Matematico di Palermo" 21, 1906, 129-176。 J. Renn (編集)の"The Genesis of General Relativity" Vol. 3: Theories of Gravitation in the Twilight of Classical Physics; Part I (Boston Studies in the Philosophy of Science 201)。Springer 出版。常微分と偏微分とに"d"を使用することを含め、元の記述は忠実に再現された。 翻訳者の脚注は括弧付きで呼ぶ。ポアンカレの伝記の他の翻訳は、C. W. Kilmister (Special Theory of Relativity, Oxford: Pergamon, 1970, 145-185)と、H. M. Schwartz (American Journal of Physics 39:1287-1294; 40:862-872, 1282-1287) を見よ。

原文: Henri Poincaré, Rend. Circ. Mat. Palermo 21, 129 (1906) "On the dynamics of the electron", translated by Scott Walter. ("Rendiconti del Circolo Matematico di Palermo 21, 1906, 129176")


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ローレンツのアイデアは、このように纏めることができる: 全体の系への平行移動を、どの観測可能な現象も変更することなく、印象付ける ことができるなら、それは、電磁的媒体の方程式が、それを我々がローレンツ変換と呼ぶだろう、ある変換に対して不変であるからである。 それに関して、一方は静止し他方は平行移動している二つの系が、相互の正確なイメージになる。

ランジュバン(Langevin *)) は、ローレンツの考えを修正しようと思った;すなわち、両方の著者にとって、動く電子は、平坦化した楕円体 の形をとる。ローレンツには、楕円体の2つの軸は一定のままで、一方、ランジュバンには、楕円体の体積が一定のままである。二人の科学者はまた、 これら二つの仮説がカウフマン(Kaufmann)の実験によって、元のアブラハム(Abraham)の仮説(剛体球電子)と、同程度に確証されることを示した。

ランジュバンの理論の利点は、それが電磁的な力と結合としか必要としないことであった;それは、しかし、相対性の仮定と共存しない。 これは、ローレンツが示し、そして私が今度は異なった方法を使って見出したことである。それは、群論の原理を呼び出す。

我々は、それゆえ、ローレンツの理論に戻らなければならない。しかし、もし我々がこれを行い、耐えがたい矛盾を避けようと欲するなら、 我々は、短縮と2軸の一定の両方を説明する特別な力の存在を仮定しなければならない。私はこの力を決定しようとして、その仕事が電子の 体積変化に比例する、変形でき圧縮できる電子への一定の外部圧力として理解できるかもしれないことを見出した。

もし、カウフマンの実験の覚醒のなかで一般に受容されるように、物質の慣性が排他的に電磁的起原であるなら、そして、(今、私がいった この一定の圧力は別として) 全ての力が電磁的起原をもつなら、相対性の仮説は、完全な厳密さで確立されえる。これが最少作用の原理に 基づいた最も単純な計算によって私の示すことである。

しかし、それが全てではない。上で引用された著作のなかで、ローレンツは彼の仮説を、電磁的起原でない力があったとしても、まだ有効である ような方法で、拡張する必要があると判断した。ローレンツに従えば、全ての力はローレンツ変換によって(そしてその結果、平行移動によって)、 電磁的力と同じ方法で影響を受ける。

この仮説をより詳しく検証することは重要であった、とくにその修正を解明するには、重力の法則を適用しなければならないだろう。

全てのなかで最初に見出したことは、重力の伝播が、即時的でなく、光速で起きることを仮定する必要があることである。人は次の ように考えるかもしれない。これは、その仮説を拒絶するのに十分な理由である、なぜなら、ラプラス(Laplace)は、これが、 あり得ないことを示したからである。しかし、実際にはこの伝播の効果は、異なった理由によって大半が補償され、提案された法則と 天体観測との間に矛盾がないようになっているのである。

ローレンツの条件を満たし、天体の速度が十分小さく、光の速度の2乗に関して、(距離と加速の積だけでなく)その2乗を無視すること を我々に許すときはいつでも、ニュートンの法則に還元するような、法則を見出すことは可能だろうか?

この問いに対して我々は、後に見るように、肯定的に反応しなくてはならない。

この方法で修正されたものは、天体観測と両立する法則になるか?

ちょっと見ではそう見えるが、その問いは拡張された議論の後に解決されるだろう。

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* ランジュバンは、先に同じアイデアに進んだ、ボンのブッチェラー(Bucherer)に、謝辞をしている。(Bucherer,"Mathematische Einfuhrung in die Elektronentheorie"August, 1904, Teubner,Leipzig をみよ)


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そのとき、この議論が新しい仮説に有利に解決されていれば、我々が何を結論しないといけないかを、想像しよう。もし、引力の伝搬が 光速によって起きるなら、それは、幸運な偶然ではあり得ない。そうでなく、それは、エーテルの機能による理由に違いない。そのとき、 我々は、この機能の性質が、関係する他の流体の機能に、一貫した説明を試みなければならないだろう。

我々は単純に、よい偶然だけによって互いに合致する式の並置によって満足することはできない。これらの式は、いわば、互いに貫通して いなければならない。この合致の理由が認知されたと信じられ、そして、それが予言されていたという幻想に足るだけその信念が強いとき にだけ、精神は満足するだろう。

しかし、その問いは、異なった観点から見ることができる。アナロジーを経へてより良く示される。プトレマイオスの系を反映した、 前コペルニクスの天文学者を想像しよう。彼は、全ての惑星に二つのうちの1つー周転円か異なるかーの円が同時に交差するだろう。 この事実は、偶然によるものではあり得ない、そしてその結果、全ての惑星の間に神秘的な結合があると我々は想像できるだけである。

コペルニクスは、しかしながら、この表面的な結合を、固定されていると考えられた座標軸への単純な変更によって破壊した。 それぞれの惑星は今は、単独の円で記述され、そして軌道の周期は、独立になった (ケプラーが、壊されたと信じられた結合を 再び打ち立てるまでは)。

何か類似のことが、ここに起きることが可能である。もし、我々が相対性の仮説を受容しようとするなら、我々は同じ数を重力の法則のなかと 電磁気学の法則のなかに見出すだろう、ー光の速度ーを、そして我々は、何を起原とした何であれ、全ての他の力のなかにそれを再び見出すだろう。 物事の状態は2つの方法のうちの1つで説明される:宇宙の全てが電磁的起原をもつか、又はこの側面、ー全ての物理現象によっていわば分け与えられたー それは、我々の測定方法による何かによって、単に付帯徴候として。我々は測定をどう捉えるのか? 最初の反応は、次のようだろう:我々は運搬する 固体の物体を、剛体とみなして、他のものの上におく。しかし、現在の理論のなか、ローレンツ短縮を受容するなら、もはやそれは真実でない。 この理論のなかでは、定義により、もし光で横断するとき同じ時間ならば二つの長さが等しいのである。

多分、我々がこの定義を放棄しようとすると、ローレンツの理論は、コペルニクスの介在によってプトレミーの体系がそうされたように、完全に 放棄されるだろう。いつの日にかそれが起きるとしても、ローレンツの努力が無駄であったと証明しない。なぜなら、人がどう考えるかによらず、 プトレミーはコペルニクスに役立ったからである。

私も、これらの数少ない部分的結果を出版するのに躊躇しない。このまさに電磁的ー陰極線の発見が全体理論を脅かす瞬間であってさえ。

§1. ローレンツ変換

ローレンツは、式のなかの4πの係数をなくすためにある単位系を採用した。私も同じことをしよう。 さらに光速を1にする長さと時間の単位を選択する。これらの条件の下に電気的変位に f,g,h、磁気の強さに α,β,γ、 ベクトルポテンシャルに F,G,H、スカラーポテンシャルにΨ、電荷密度に ρ、電子の速度に ξ,η,ζ、そして、電流は u,v,wによって示す。基本的な式は次になる:


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u= df/dt + ρξ= dγ/dy - dβ/dz, α= dH/dy - dG/dz, f= -dF/dt - dΨ/dx,

dα/dt= dg/dz - dh/dy, dρ/dt + Σ dρξ/dx= 0, Σdf/dx = ρ, dΨ/dt + Σ dF/dx = 0, .............(1)

□= △- d^2/dt^2 = Σ d^2/dx^2 - d^2/dt^2, □Ψ= -ρ, □F = -ρξ

体積dxdydzの物質の要素的粒子は、力学的力によって作用され、その成分は、次式から導かれる。

X= ρf + ρ(ηγ- ζβ) ...............(2)

これらの方程式は、ローレンツによって発見された注目すべき変換を受容し、それはそれがなぜ、どの実験も 我々に宇宙の絶対運動を知らせないかを説明するという事実にその興味を負う。次に置く:

x'= kl(x + εt), t'= kl(t+εx), y'= ly, z'= lz, ................(3)

ここで、l、εは,ふたつの任意の定数で、次のようなものである。

k= 1/√(1-ε^2).

いま、もし我々が次式を置けば、

□'= Σ d^2/dx'^2 - d^2/dt'^2

我々は、次をもつ:

□'= □l^-2

ある球が、均一な平行移動のなか電子にそって運ばれるとし、そして、運動する球の方程式は:

(x - ξt)^2 + (y - ηt)^2 + (z - ζt)^2 = r^2,

そして、球の体積は4/3 π r^3である[1]。

その変換は、球を楕円体にし、その式は容易に見出される。我々は、容易に(3)から導く:

x= k/l (x'-ξt'), t= k/l (t'-ξx'), y= y'/l, z= z'/l. .................(3')

楕円体の方程式は、そのとき次になる:

k^2 (x'-εt'-ξt'+εξx')^2 + (y'-ηkt'+ηkεx')^2 + (z'-ζkt'+ζkεx')^2 = l^2 r^2.

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[1] 元は"4/3 π r^2"と読める。


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そして、次の体積をもつ、

4/3 π r^3 l^3/k(1+ξε)

もし、我々が電子の電荷を変換によって不変を望むなら、そしてもし、新しい電荷密度をρ'で示すなら、次を見出す:

ρ'= k/l^3 (ρ+ερξ)

新しい速度成分 ξ',η',ζ' は何か? 我々は次をもつ:

ξ'= dx'/dt'= d(x+εt)/d(t+εx)= (ξ+ε)/(1+εξ),

η'= dy'/dt'= dy/kd(t+εx) = η/k(1+εξ), ζ'= ζ/k(1+εξ)

それゆえ、

ρ'ξ'= k/l^3 (ρξ+ερ), ρ'η'= 1/l^3 ρη, ρ'ζ'= 1/l^3 ρζ. ...............(4')

ここが、私が最初にローレンツとの違いを指摘しなければならない所である。私の記述法ではローレンツは次を与えた。(1.c. page 813, 式7と8):

ρ'= 1/kl^3 ρ, ξ'= k^2(ξ+ε), η'= kη, ζ'= kζ

この方法で我々が回復する式は:

ρ'ξ'= k/l^3 (ρξ+ερ), ρ'η'= 1/l^3 ρη, ρ'ζ'= 1/l^3 ρζ;

ρ'の値が違っているのに。

式(4)と(4')とが次の連続の条件を満たすことに注意するのは重要である。

dρ'/dt' + Σdρ'ξ'/dx' = 0.

これを見るのにλを未決定の係数とし、Dを次のヤコビアンとする。

t + λρ, x + λρξ, y + λρη, z + λρζ .......................(5)

y,x,y,z に関しては、次が続く:

D= D0 + D1λ + D2λ^2 + D3λ^3 + D4 λ^4

そして、D0= 1. D1= dρ/dt + Σdρξ/dx = 0

λ'= l^4 ρ'; [2] そして、4元の関数、

t' + λ'ρ', x' + λ'ρ'ξ', y' + λ'ρ'η', z' + λ'ρ'ζ' ..........(5')

は、古い変数と新しい変数の関係と同じ線形関係によって関数(5)に関係する。ゆえに、もし我々が D'で新しい変数に対する 関数(5')のヤコビアンを示すなら、次が続く:

D'= D, D'= D0' + D1'λ' + ... + D4'λ'^4

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[2] 元の記述は、" λ'= l^2ρ' "。


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そして、それゆえ、; [3]

D0'= D0 + 1, D1'= l^-4 D1= 0= dρ'/dt' + Σdρ'ξ'/dx'. Q.E.D

ローレンツ仮説の下では、ρ'が異なる値をもつから、この条件は満たされない。

我々は、次の条件を満たすような、新しいベクトルとスカラーポテンシャルを定義するだろう。

□'Ψ'= -ρ', □'F'= -ρ'ξ' ...................(6)

これから、我々は演繹する:

Ψ'= k/l (Ψ+εF), F'= k/l (F+εΨ), G'= 1/l G, H'= 1/l H. ...................(7)

これらの式は、ローレンツの式とは目立って違っている、採用した定義から、違いは究極的に渡っているが。

新しい、電気的、磁気的な場は、次式を満たすために今、選ばれる。

f'= -dF'/dt' - dΨ'/dx', α'= dH'/dy' - dG'/dz'. .........................(8)

容易に次をみる:

d/dt'= k/l (d/dt - ε d/dx), d/dx'= k/l (d/dx - εd/dt), d/dy'= 1/l d/dy, d/dz' = 1/l d/dz.

そして、我々はそれゆえ、次式を演繹する:

f'= 1/l^2 f, g'= k/l^2 (g+εγ), h'= k/l^2 (h-εβ),

α'= 1/l^2 α, β'= k/l^2 (β-εh), γ'= k/l^2 (γ+εg). .........................(9)

式は、ローレンツの式に同一である。

我々の変換は、式(1)を変えない。事実、(6),(8)だけでなく連続の条件は、すでに式(1) (プライム(')を無視している) に特徴付けられている。

(6)と連続の条件を結合し、我々は得る:

dΨ'/dt' + Σ dF'/dx'= 0. ..............................(10)

それは、我々に次の設立を残す:

df'/dt'+ρ'ξ' = dγ'/dy' - dβ'/dz'. dα'dt'= dg'/dz' - dh'/dy', Σdf'/dx' = ρ'

そして、これらが(6),(8),そして(10)の必要な結末であることは容易にみられる。

我々は、いま、変換前後の力を比較しなければならない。

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[3]元は、"D1'= l^-2 D1"と読める。


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X,Y,Zを変換に先行する力とし、そしてX',Y',Z'を変換後の力とする。両方の力は単位体積あたりである。X'が変換前と同じ方程式 を満足するために、我々は次をもたねばならない:

X'= ρ'f' + ρ'(η'γ' - ζ'β'),

Y'= ρ'g' + ρ'(ζ'α' - ζ'γ'),

Z'= ρ'h' + ρ'(ξ'β' - η'α'),

または、全ての量をそれらの(4),(4')そして(9)に入れ換え、(2)に照らして考えれば:

X'= k/l^5 (X + εΣXξ),

Y'= 1/l^5 Y, .........................(11)

Z'= 1/l^5 Z.

X_1,Y_1,Z_1 によって単位体積あたりの力の成分を表示する代わり、我々はいま、これらの項を単位の電子電荷あたりの力を表すようにさせ、 そして、我々はX'_1,Y'_1,Z'_1を変換後の後者の力を表すようにさせる。次が続く:

X'_1= l/l^5 ρ/ρ' (X_1 + ε Σ X_1 ξ),

Y'_1= l/l^5 ρ/ρ' Y_1, .........................(11')

Z'_1= l/l^5 ρ/ρ' Z_1.

ローレンツが見出したのは(頁 813、式(10) 異なる表記で):

X_1= l^2 X'_1 - l^2 ε (η'g' + ζ'h'),

Y_1= l^2/k Y'_1 + l^2 ε/k ξ'g', .........................(11")

Z_1= l^2/k Z'_1 + l^2 ε/k ξ'h'.

さらに、進む前に、この重大な違いの源を特定することが重要である。それは明らかに、一方、電気的、磁気的場の式では同じであるのに、 ξ',η',ζ'の式が同じでない事実から出ている。

もし、電子の慣性が排他的に電磁的起原なら、そしてもし、電子が電磁的力だけの支配下にあるなら、そのとき平衡状態は次を必要とする:

X= Y= Z= 0

電子の内部において、である。

(11)に従って、これらの関係は次と等価である。

X'= Y'= Z'= 0


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電子の平衡状態は、それゆえ、その変換によって変わらない。

不幸にも、そのような単純な仮説は、許されない。事実、もし我々が、ξ= η= ζ= 0 を仮定すれば、状態 X= Y= Z= 0 は必然的に f= g= h= 0 を導き、そして、その結果、Σdf/dx= 0 つまり、ρ= 0 である。最も一般的な場合に類似の結果が得られる。我々は、 そのとき、電磁的力に加えて、非電磁的力、又は結合が存在することを認めなければならない。それゆえ、我々は、これらの力又は これらの結合が電子の平衡がその変換によって乱されないために満たさなければならない状態を特定する必要がある。これは、 次下章の目的であろう。

§9. 重力に関する仮説

こうして、ローレンツの理論は、絶対運動の検出の不可能性を完全に説明するかもしれない、もし、全ての力が電磁的起原であるなら。

しかし、電磁的起原に帰すことのできない他の力が存在する、例えば重力のような。それは、事実、起きてよい、ふたつの物体系が 等しい電磁場を、すなわち、帯電体と電流に同じ作用を働かせ、そして同時に、これらふたつの系がニュートン的質量には、同じ重力的 な作用を働かせないことは。重力場は、それゆえ、電磁場とは全く別である。ローレンツは、それゆえ、"どのような起原であっても、 力は、そしてとりわけ重力は、平行移動(または、もしお望みなら、ローレンツ変換)によって電磁力と同じ方法で影響を受ける" という 仮定をもって、彼の仮説を拡張することを余儀なくされた。

いまは、この仮説の詳細に分け入り、より近付いて検討することが適切である。もし、我々がニュートン力が、このようなローレンツ変換に よって、影響を受けることを望むなら、我々は、考慮中の瞬間の吸引する物体と吸引される物体の相対位置だけに依存するとは、もはや考える ことはできない。力は、ふたつの物体の速度にも依存しなければならない。それだけではない:瞬間tに吸引される物体に作用している力は、 この同じ瞬間tのこの物体の位置と速度に依存するが、また、吸引する物体の位置と速度にも依存するだろうが、それは、瞬間tのではなく、 より早い時刻のであり、それは重力の伝播に何らかの時間を要するようにである。

今、吸引される物体の瞬間t0の位置の座標をx0,y0,z0とし、ξ,η,ζをこの瞬間の速度成分とする; また、対応する時刻t0+tの吸引する物体 の座標をx0+x,y0+y,z0+zとし、この時刻のその速度成分をξ1,η1,ζ1としよう。

最初に、我々は、次の関係をもたねばならない。

φ(t,x,y,z, ξ,η,ζ, ξ1,η1,ζ1) = 0 ..................(1)

時刻tを定義するために。この関係は、重力作用の伝播の法則を定義するだろう。(私は、全方向に等速度の伝播に、決して自ら制限をしない。)

いま、時刻t0;[4]にX1,Y1,Z1を吸引される物体へ働く作用の3成分とし、我々はX1,Y1,Z1を以下の関数として表したい。

t,x,y,z,ξ,η,ζ,ξ1,η1,ζ1 .....................(2)

どのような条件が満足されなければならないか?

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[4]元は、"al'instant t"と読む。


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1。条件(1)はローレンツ群の変換によって変わってはならない。

2。成分X1,Y1,Z1は、ローレンツ群の変換によって、電磁力と同じ方法で、影響を受けなければならない。同じ文字によって指示され、 すなわち、1章の(11')に従って。

3。ふたつの物体が静止しているとき、通常の法則が再現されなくてはならない。

後者の場合、関係(1)は消える。なぜなら、もしふたつの物体が静止しているとき、時間tは役割をもたないからである。

この形式で提示された問題は、明らかに非決定的である。我々は、それゆえ、満足する最高度の他の相補的な条件を探すだろう。

4。天文学的観測は、ニュートンの法則からの感度の高い外れを示すとは思えないから、我々は2物体が速度の小さいとき最少に異なる解 を選択するだろう。

5。我々は、tがつねに負であるような方法に物事を配置する努力をするだろう。我々は、重力の効果は伝播にある時間を必要とすること を想像するが、どのように、この効果が、吸引する物体によって"まだ到達しない"位置に依存えるか理解することは難しいだろう。

そこでは問題の非決定性が消えるような場合がある;ふたつの物体が相互に相対的に静止している、すなわち、そこでは、

ξ= ξ1, η= η1, ζ= ζ1;

これは、それゆえ、我々が最初に検討するだろう場合である。これらの速度が一定で、ふたつの物体が共通の均一な直線移動に結ばれて いることのように。

我々は、x軸が移動に平行であると仮定してよい。η= ζ= 0 であるように、そして、ε= -ξにするだろう。

もし、我々がこれらの条件の下でローレンツ変換を適用するなら、変換後にふたつの物体は静止しているだろう。そして、次が続く:

ξ'= η'= ζ'= 0.

成分X1,Y1,Z1は、そのとき、ニュートンの法則に合致しなければならない。そして我々は次をもつだろう。定数の係数だけを除いて、

X1'= -x/r'^3, Y1'= -y/r'^3, Z1'= -z/r'^3, r'^2= x'^2 + y'^2 + z'^2. ..............(3)

しかし、1章に従って我々は次をもつ:

x'= k(x+εt), y'= y, z'= z, t'= k(t+εx).

ρ'/ρ= k(1+ξε)= k(1-ε^2)= 1/k, ΣX1ξ= -X1ε,

X1'= kρ/ρ' (X1+εΣX1ξ)= k^2 X1 (1-ε^2)= X1

Y1'= kρ/ρ'Y1= kY1

Z1'= kZ1.

我々は追加に:

x + εt= x - ξt, r'^2 = k^2 (x - ξt)^2 + y^2 + z^2


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そして、

X1= -k(x-ξt)/r'^3, Y1= -y/kr'^3, Z1= -z/kr'^3 ......................(4)

それはこう書ける:

X1= dV/dx, Y1= dV/dy, Z1= dV/dz, V= 1/kr'. ......................(4')

非決定性はまだ残っている、我々はtの値に関する仮説をしていないから。すなわち伝送速度、そしてxがtの関数であることが側にある。 しかしながら、我々の式のなかに表われる項、x-ξt,y,z は、tによらない。 (*訳者注:ポテンシャルVの式を1/r'とし、その微分である重力を1/r'^3とするのは誤り。)

もし、ふたつの物体が一緒に平行移動しているなら、吸引される物体に作用する力は、楕円体に垂直に働き、その中心には吸引物体がある ことを我々は、みる。

さらに進んで、我々はローレンツ群の不変量をさがす必要がある。

我々が知るのは、この群(l=1と仮定)の置換は、線形な置換であり、2乗形式を変わらずに残すことである。

x^2 + y^2 + z^2 - t^2

そこにまた置く:

ξ= δx/δt, η= δy/δt, ζ= δz/δt,

ξ1= δ1x/δ1t, η1= δ1y/δ1t, ζ1= δ1z/δ1t;

ローレンツ変換は、δx,δy,δz,δt と δ1x,δ1y,δ1z,δ1t とに x,y,z,t と同じ線形の置換を受けさせることを我々は見る。

次式を

x, y, z, t√-1

δx, δy, δz, δt√-1

δ1x, δ1y, δ1z, δ1t√-1

4次元空間の3点P,P',P"の座標とみなそう。我々が見るのは、ローレンツ変換がこの空間のなかでの固定と仮定する原点についての 単なる回転であることである。それゆえ、原点とは別々に考えられた3点 P,P',P"の間の6つの距離以外に、我々は不変量に違いを 見ないだろう。または望めば、次の2表式以外に。

x^2 + y^2 + z^2 - t^2, xδx + yδy + zδz - tδt

または、3点 P,P',P"の任意の置換から演繹される類似の形式の4表式、

しかし、我々が探すのは、10変数(2)の関数である不変量である。それゆえ、6変数の組み合わせの間に、これら10変数だけに依存する ものを探さなければならない。すなわち、δx,δy,δz,δt と δ1x,δ1y,δ1z,δ1t との両方に関して0次の同質性のものである。 我々にはそのとき4つの異なる不変量が残された:

Σx^2 - t^2, (t-Σxξ)/√(1-Σξ^2), (t-Σxξ1)/√(1-Σξ1^2), (1-Σξξ1)/√((1-Σξ^2)(1-Σξ1^2)) .........(5)


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次に、どのように力の成分が変換されるかを見よう;我々は1章の式(11)を思い出す。それは、今考慮中のX1,Y1,Z1を参照せず、 単位体積あたりの力X,Y,Zを参照する。

さらに我々は示すと、

T=ΣXξ;

我々は式(11)が次に書けることをみる(l=1):

X'= k(X+εT), T'= k(T+εX),

Y'= Y, Z'= Z; .................(6)

そのような方法で、X,Y,Z,T が x,y,z,t と同じ変換を受ける、結果として群の不変量は、

ΣX^2 - T^2, ΣXx - Tt, ΣXδx - Tδt, ΣXδ1x - Tδ1t

しかしながら、我々の必要とするのは、X,Y,Z でなく、X1,Y1,Z1 であり、それと、

T1= ΣX1ξ.

我々は次をみる、

X1/X = Y1/Y = Z1/Z = T1/T = 1/ρ.

それゆえ、ローレンツ変換は、X,Y,Z,T に対してと同じ手法で、X1,Y1,Z1,T1 に働くだろう、但し、これらの式は、 さらに次を乗算されるだろうことである。

ρ/ρ' = 1/k(1+ξε) = δt/δt'.

同様に、ローレンツ変換は、δx,δy,δz,δt に対してと同じ手法で、ξ,η,ζ,1に働くだろう、但し、これらの式は、 さらに次の同じ係数を乗算されるだろうことである。

δt/δt'= 1/k(1+ξε).

次に、我々は X,Y,Z,T√-1 を4番目の点Qの座標として考える; そして、不変量はそのとき5点の互いの距離の関数であるだろう。

0,P,P',P",Q

そして、これらの関数の間に、一方、次に関して、我々は0次の同質性であるものだけを保持しなければならない。

X, Y, Z, T, δx, δy, δz, δt

(変数は、さらに、X1,Y1,Z1,T1,ξ,η,ζ,1 に置き換えられ)、そして、他方、次に関して[5]:

δ1x, δ1y, δ1z, δ1t

(変数は、さらに、ξ1,η1,ζ1,1 に置き換えられる)。

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[5]元は "δ1x, δ1y, δ1z, 1" と読める


≪=BACK TOP∧ NEXT=≫

こうして、4つの不変量を超えて、新しい4つの異なる不変量を我々は見出す:

(ΣX1^2-T1^2)/(1-Σξ^2), (ΣX1x-T1t)/√(1-Σξ^2), (ΣX1ξ1-T1)/(√(1-Σξ^2)√(1-Σξ1^2)), (ΣX1ξ-T1)/(1-Σξ^2) .....(7)

後者の不変量は、T1の定義からつねに0である。

これらの項が設定された。どのような条件が満足させられなければならないか?

1。(1)の第1項、伝播速度を決定するものは、(5)式の4不変量の関数でなければならない。 仮説の財産は明らかに楽しめる、それのうちふたつだけ我々は検証する。

A) 我々は次をもつ。

Σx^2 - t^2 = r^2 - t^2 = 0

t= +- r であるところから、そして、t が負でないといけないから、t= -r。これは、伝播速度が光速に等しいことを意味する。 それは、まず、この仮説を明らかに拒絶すべきと思わせる。しかし、ラプラスは有限の伝播速度の仮説を検証してcetris non mutatis "等しく不必要" という; ここでは、反対にこの仮説は、他の多くと連合して、それらの間に多かれ少なかれ補償を実行する。ローレンツ変換の応用は、すでに、 この多くの例で我々に用意されている。

B) 我々は次をもつ。

(t-Σxξ1)/√(1-Σξ^2)= 0, t= Σxξ1,

伝播速度は、それゆえ、光の速度よりずっと速い。しかし、ある場合には、t は正であり得、それは我々が上述したように、ほとんど 許すことのできないように見える。我々はそれゆえ、仮説(A) に留まる。

2。4不変量(7)は、(5)の不変量の関数であるべき。

3。ふたつの物体が絶対静止のとき、X1,Y1,Z1 はニュートンの法則によって与えられる値をもたないといけない。そして、もし、相対的 に静止なら、値は(4)で与えられる。

絶対静止の場合、最初の2つの不変量(7)は、次に還元されなくてはならない。

ΣX1^2, ΣX1x,

または、ニュートンの法則によって、次になる、

1/r^4, -1/r;

これに加えて、仮説(A)に従って、(5)の第2と第3の不変量は次になる:

(-r-Σxξ)/√(1-Σξ^2), (-r-Σxξ1)/√(1-Σξ1^2),

それは、絶対静止では、

-r, -r.

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[6] 元は "t pourrait etre negatif"。


≪=BACK TOP∧ NEXT=≫

それゆえ、我々は、例えば、(7)のふたつの不変量が次に還元されることを許してよい。

(1-Σξ1^2)^2/(r+Σxξ1)^4 , -√(1-Σξ1^2)/(r+Σxξ1).

他の組み合わせも可能であるが。

これらの組み合わせの間に選択がなされねばならない。そしてさらに、X1,Y1,Z1を定義するために第3の方程式を必要とする。 その選択を作成するなかで我々はニュートンの法則に可能なだけ近付くよう試みるべきである。我々が速度ξ,ηなどの2乗を無視するとき 何が起きるか見てみよう(まだ、t= -rとして)。(5)の4不変量は次になる:

0, -r-Σxξ, -r-Σxξ1, 1

そして、(7)の4不変量は、次になる:

ΣX1^2, ΣX1(x+ξr), ΣX1(ξ1-ξ), 0

ニュートンの法則を比較をする前に、もうひとつの変換が必要である。我々が x0+x,y0+y,z0+z を、t0+tの瞬間の吸引する物体の座標として そしてr=√Σx^2 を考慮するなかで、ニュートンの法則とともに、我々は、t0の瞬間の吸引する(?)物体の座標、x0+x1,y0+y1,z0+z1と距離r1=√Σx^2 を考慮せねばならない。

我々は、伝播に要する時間tの2乗を無視してよい。そして進んで、結果的に、運動が均一であるかのように;我々はそのとき次をもつ:

x= x1+ξ1t, y= y1+η1t, z= z1+ζ1t, r(r-r1)=Σxξ1t;

または、t= -r であるから、

x= x1-ξ1r, y= y1-η1r, z= z1-ζ1r, r= r1-Σxξ1;

我々の4不変量(5)は、次になる:

0, -r1+Σx(ξ1-ξ), -r1, 1

そして、我々の4不変量(7)は、次になる:

ΣX1^2, ΣX1[x1+(ξ-ξ1)r1], ΣX1(ξ1-ξ), 0

これらの表式の2番目で私はr1をrの代わりに書いた。なぜなら、rは、ξ-ξ1によってかけ算され、そして、私はξの2乗を無視するから。

これら4不変量(7)には、ニュートンの法則は、次をもたらす:

1/r1^4, -1/r1 - (Σx1(ξ-ξ1))/r1^2, (Σx1(ξ-ξ1))/r1^3, 0.

それゆえ、もし我々が2番目と3番目の不変量(5)をAとBで表すなら、そして、不変量(7)の最初の3つを、M,N,P で表すなら、我々は、 ニュートンの法則を速度の2乗のなかの1次のオーダーの項まで満たすだろう。次の設定をすることで:

M= 1/B^4, N= +A/B^2, P= (A-B)/B^3 ...........................(8)

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[7] 元は、(7)の代わりに(4)をもつ。


≪=BACK TOP∧ NEXT=≫

この解は、ユニークでない。Cを4番目の不変量(5)とし;C-1 がξの2乗のオーダーで、それは、(A-B)^2 と同じである。

解(8)はまずは、最も単純に表している。しかしながら、それは採用されてよいのではない。実際、M,N,Pが X1,Y1,Z1の関数であり、 T1= ΣX1ξ であり、X1,Y1,Z1の値は、これら3つの式(8)から引き出すことができる、しかし、ある場合にはこれらの値は虚数になる。

困難をさけるために、違った手法に我々は進むだろう。次を置く:

k0= 1/√(1-Σξ^2), k1= 1/√(1-Σξ1^2),

それは、次の記述のアナロジーとして正当化できる。

k= 1/√(1-Σξ^2)

それは、ローレンツ置換のなかで特徴であった。

この場合には、そして-r=tという条件に照らされて、不変量(5)は、次になる:

0, A= -k0(r+Σxξ), B= -k1(r+Σxξ1), C= k0k1(1-Σξξ1).

さらに、我々は、次の量のシステムに注意する:

x, y, z, -r=t,

k0X1, k0Y1, k0Z1, k0T1,

k0ξ, k0η, k0ζ, k0,

k1ξ1, k1η1, k1ζ1, k1,

それらにローレンツ群の変換が適用されたとき、それらは同じ線形の置換を受ける。そこに我々は導かれて次を置く:

X1= xα/k0 + ξβ + ξ1 k1/k0 γ

Y1= yα/k0 + ηβ + η1 k1/k0 γ

Z1= zα/k0 + ζβ + ζ1 k1/k0 γ ......................(9)

T1= -rα/k0 + β + k1/k0 γ

もし、α,β,γが不変量なら、X1,Y1,Z1,T1 は基本条件を満たすだろうことは明らかである。 すなわち、ローレンツ変換は、それらを適切な線形の置換を受けさせる。

しかしながら、式(9)が共用されるためには、我々は次をもたなくてはならない。

X1ξ-T1= 0

それは、X1,Y1,Z1,T1 を式(9)の変数に置き換えさせ、k0^2 を掛ける。

-Aα-β-Cγ= 0 ......................(10)


≪=BACK TOP∧ NEXT=≫

我々のやりたいことは、光速の2乗と、距離と加速の積に比較して、ξ等の2乗を(上記のように)我々が無視するとき、X1,Y1,Z1の値を ニュートンの法則の行に残すことである。

我々は、次のように選択できるかもしれない、

β= 0, γ= -Aα/C.

採用された近似のオーダーに対して、我々は次を得る、

k0= k1= 1, C= 1, A= -r1+Σx(ξ1-ξ), B= -r1, x= x1+ξ1t = x1-ξ1r

(9)の第1番目の式は次になる

X1= α(x-Aξ1)

しかし、もし、ξの2乗が無視されるとき、Aξ1 は、-r1ξ1 又は -rξ1で置き換えられ、それは次をもたらす:

X1= α(x+ξ1r)= αx1

ニュートンの法則は、次をもたらす。

X1= -x1/r1^3.

その結果、我々は、採用された近似のオーダーにおいて、不変量αの値を、-1/r1^3に還元するように選択しなければならない。それは、1/B^3である。 方程式(9)は、次になるだろう:

X1= x/k0B^3- ξ1 k1/k0 A/B^3C,

Y1= y/k0B^3- η1 k1/k0 A/B^3C,

Z1= z/k0B^3- η1 k1/k0 A/B^3C, ......................(11)

T1= -r/k0B^3- k1/k0 A/B^3C,

我々が最初に注意するのは、訂正された引力は、2成分をもつことであり:ひとつは、2物体の位置を繋ぐベクトルに平行であり、他のひとつは、 吸引する物体の速度に平行である。

我々が、吸引する物体の位置または速度に言及するとき、これは、重力波の出発した瞬間における位置または速度を意味しており、反対に吸引 される物体にとっては、これは、重力波が到達した瞬間の位置または速度を意味していること、を忘れてはならない。

私は、これらの式の議論をさらに探し押し進めることにおいて、初歩的であることを信じている;それゆえ、私は自身を制限し、次の少しの注意を する。

1。解(11)は、ユニークでない; 我々は、事実、グローバルな係数 1/B^3 を次に置き換えてもよい。

1/B^3 + (C-1) f1(A,B,C) + (A-B)^2 f2(A,B,C)


≪=BACK TOP∧ NEXT=≫

ここで、f1とf2は、A,B,Cの任意の関数である。代わりに、我々は、βの設定を0にして無しに済ませてもよいが、条件(10)と、 αにはξに関して2次であり、βとγに関しては1次であるという条件を満たすようにα,β,γに何か相補的な項を加えなくてはならない。

2。(11)の第1の式は次のように書くことができ:

X1= k1/B^3C [x(1-Σξξ1)+ξ1(r+Σxξ)] ............(11')

そして、括弧の中の量は自身は次のように書ける:

(x+rξ1) + η(ξ1y-xη1) + ζ(ξ1z-xζ1). ..............(12)

式(12)の3つの括弧に対応する3つの成分に分かれるように; 最初の成分は電場による力学的力にほぼ類似し、他の2つは、磁気的場による 力に; 同義を拡張して私は最初の注意に照らして(11)の1/B^3をC/B^3 に置き換えてもよい。X1,Y1,Z1が吸引される物体の速度ξ,η,ζの 線形関数であるように。なぜなら、Cは(11')の分母から消えたから。

次に、我々は置く;

k1(x + rξ1)= λ, k1(y + rη1)= μ, k1(z + rζ1)= ν, k1(η1z-ζ1y)= λ', k1(ζ1x-ξ1z)= μ', k1(ξ1y-xη1)= ν', ...............(13)

そして、C は(11')の分母から消えたから、次が続く:

X1= λ/B^3 - (ην'- ζμ')/B^3 ,

Y1= μ/B^3 - (ζλ'- ξν')/B^3 , ......................(14)

Z1= ν/B^3 - (ξμ'- ηλ')/B^3 ;

そして、我々はさらにもつ:

B^2= Σλ^2 - Σλ'^2 .....................(15)

いま、λ,μ,ν 又は λ/B^3,μ/B^3,ν/B^3 は、源の電場で、λ',μ',ν' 又は、むしろ λ'/B^3,μ'/B^3,ν'/B^3 は、源の磁場である。

3。相対性の仮説は、解(11)又は解(14)、最初の注意を基にして導かれたそれらの間の全ての解のどれかの解を我々に採用せよと主張する。 しかしながら、答えるべき最初の問いは、これらの解が、天体観測と両立するかどうかである。ξ^2 のオーダーのニュートンの法則からの 導出、すなわち、もしあっても、ξのオーダーの10000倍も小さい。すなわち、もしも、伝播が光の速度で実行されても。centris non mutatis "等しく不必要" ; その結果、それが余りに大き過ぎないことを望むのは正当である。この問いを解決するには、しかし、さらなる議論が必要であろう。

パリ、7月 1905年 H.ポアンカレ