物体の慣性は、そのエネルギー内容に依存するか

アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)

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Ist die Tragheit eins Korpers von seinem Energiegehalt abhangig? (Annalen der Physik, 17, 1905) から英訳され The Principle of Relativity (Dover 出版)に収録された Does the inertia of a body depend upon its energy-content? から翻訳した。


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以前の考察の結果は、ここに推論する非常に興味深い結論を導く。

私は、その考察をするのに、真空中のマックスウエル・ヘルツ方程式と、真空の電磁エネルギーのマックスウエル表式と、 そしてさらにつぎような原理に基づいた:----

物理系の状態変化の法則は、参照とする互いに相対的に均一な動きをする2つの座標系間の変換によらない (相対性の原理)。

これらの原理(*)と、私の基礎として、以前の推論の次の結果を用いる:---

平面波の光が座標系$(x,y,z)$についてエネルギー $l$ をもち、光線の方向(wave-normal)が、系の$x$軸と角度$Φ$をなすとする。 もし、我々が新しい系$(ξ,η,ζ)$を導入し、それが$(x,y,z)$ 系に対して均一な並進運動をして、その座標系の動きの方向は x軸にそって速度$v$をもつとする。そのとき、この光は、系$(ξ,η,ζ)$によって測定すると次のエネルギー量をもつ。 \[ l^* = l {1 - {v \over c} cosΦ \over\sqrt{1 - v^2/c^2}} \] * 光速の一定の原理は、もちろんマックスウエル方程式に含まれている。


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ここで$c$は光速を表す。我々はこの結果を以下において用いる。

座標系$(x,y,z)$に対して静止した物体があり、そのエネルギーを(座標系$(x,y,z)$に対して)$E_0$とし、上記のように速度$v$ で動く系$(ξ,η,ζ)$に対するエネルギーを$H_0$とする。

物体は$x$軸と角度$Φ$をなす方向に 1/2 L のエネルギーの光の平面波を出し、同時に等量の光を反対方向にも出す。 その間、物体は系$(x,y,z)$に対して静止したままである。エネルギーの原理は、この過程に適用しなければならない。 そして事実、(相対性原理によって、)両方の座標系に関してである。もし、その物体の光の放出の後のエネルギーを系$(x,y,z)$と 系$(ξ,η,ζ)$とに対してそれぞれ$E_1$と$H_1$と呼ぶなら、上で与えられた関係を採用して次を得る。 \[ \begin{align} E_0&= E_1 + {1 \over 2} L + {1 \over 2} L \\ H_0&= H_1 + {1 \over 2} L {1 - {v \over c} cosΦ \over \sqrt{1-v^2/c^2} } + {1 \over 2} L {1 + {v \over c} cosΦ \over \sqrt{1-v^2/c^2}} \\ &= H_1 + {L \over \sqrt{1-v^2/c^2}}. \end{align} \] これらの式間の差によって次を得る。 \[ H_0 - E_0 - (H_1 - E_1) = L \{{ 1 \over \sqrt{1 - v^2/c^2}} - 1 \}. \] この表式の中にある、ふたつの$H - E$の差の形式は、物理的な重要性をもつ。$H$と$E$は、同一の物体の、互いに相対運動をする ふたつの座標系に対してのエネルギー値であり、物体はふたつの座標系のひとつ (系$(x,y,z)$) に静止している。 このように、$H - E$ の差は運動エネルギーと付加的な定数$C$だけ異なることができる。$C$は、エネルギー$H$と$E$との任意付加定数に依存する。


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\[ H_0 - E_0 = K_0 + C, \\ H_1 - E_1 = K_1 + C, \]

一方、C は光の放射の前後で変化しない。それゆえ、 \[ K_0 - K_1 = L \{{ 1 \over \sqrt{1 - v^2/c^2}} - 1 \}. \] 系$(ξ,η,ζ)$とに対する物体の運動エネルギーは、光の放出の結果、減少する。その減少の量は、物体の特性に依らない。 さらに、$K_0 - K_1$ の差は、電子の運動エネルギーのように速度に依存する。4次以上の大きさを無視し、つぎにように置くことができる。 \[ K_0 - K_1 = {1 \over 2} {L \over c^2} v^2. \] 式から直接に次を得る。

もし、物体がエネルギー L を放射の形で失うならば、その質量は$L/c^2$だけ減少する。

物体から引き出されたエネルギーは、放射のエネルギーと明らかに違わない事実は、我々を次のより一般的な結論に導く。

物体の質量は、そのエネルギー内容によって測定される。エネルギーが$L$だけ変化すると、質量は同じ意味で$L/9 × 10^{20}$ だけ変化する。 ここで、エネルギーは erg 、質量は gram で測定されたものとする。

エネルギー内容の変化が大きな比率である物体、(例えばラジウム塩)を使って、理論が成功裏に実証されるかもしれないということは、 不可能なことではない。

もし、その理論が事実と関連をもつならば、発散物体と吸収物体の間で、放射は、慣性を運ぶのである。