私は、その考察をするのに、真空中のマックスウエル・ヘルツ方程式と、真空の電磁エネルギーのマックスウエル表式と、 そしてさらにつぎような原理に基づいた:----
物理系の状態変化の法則は、参照とする互いに相対的に均一な動きをする2つの座標系間の変換によらない (相対性の原理)。
これらの原理(*)と、私の基礎として、以前の推論の次の結果を用いる:---
平面波の光が座標系(x,y,z)についてエネルギー l をもち、光線の方向(wave-normal)が、系の x 軸と角度Φをなすとする。 もし、我々が新しい系(ξ,η,ζ)を導入し、それが(x,y,z) 系に対して均一な並進運動をして、その座標系の動きの方向は x軸にそって速度 v をもつとする。そのとき、この光は、系(ξ,η,ζ)によって測定すると次のエネルギー量をもつ。
l* = l (1 - v/c cosΦ)/ √(1 - v^2/c^2)
* 光速の一定の原理は、もちろんマックスウエル方程式に含まれている。
座標系(x,y,z) に対して静止した物体があり、そのエネルギーを(座標系(x,y,z) に対して)E0 とし、上記のように速度 v で動く系(ξ,η,ζ)に対するエネルギーを H0 とする。
物体は x 軸と角度 Φ をなす方向に 1/2 L のエネルギーの光の平面波を出し、同時に等量の光を反対方向にも出す。 その間、物体は系(x,y,z) に対して静止したままである。エネルギーの原理は、この過程に適用しなければならない。 そして事実、(相対性原理によって、)両方の座標系に関してである。もし、その物体の光の放出の後のエネルギーを系(x,y,z) と 系(ξ,η,ζ)とに対してそれぞれ E1 と H1 と呼ぶなら、上で与えられた関係を採用して次を得る。
E0= E1 + 1/2 L + 1/2 L
H0= H1 + 1/2 L (1 - v/c cosΦ)/√(1-v^2/c^2) + 1/2 L (1 + v/c cosΦ)/√(1-v^2/c^2)
= H1 + L /√(1-v^2/c^2)
これらの式間の差によって次を得る。
H0 - E0 - (H1 - E1) = L { 1/√(1 - v^2/c^2) - 1 }
この表式の中にある、ふたつの H - E の差の形式は、物理的な重要性をもつ。H と E は、同一の物体の、互いに相対運動をする ふたつの座標系に対してのエネルギー値であり、物体はふたつの座標系のひとつ (系(x,y,z)) に静止している。 このように、H - E の差は運動エネルギーと付加的な定数 C だけ異なることができる。C は、エネルギーH と E との任意付加定数に依存する。
H0 - E0 = K0 + C
H1 - E1 = K1 + C
一方、C は光の放射の前後で変化しない。それゆえ、
K0 - K1 = L { 1/√(1 - v^2/c^2) - 1 }
系(ξ,η,ζ)とに対する物体の運動エネルギーは、光の放出の結果、減少する。その減少の量は、物体の特性に依らない。 さらに、K0 - K1 の差は、電子の運動エネルギーのように速度に依存する。4次以上の大きさを無視し、つぎにように置くことができる。
K0 - K1 = 1/2 Lv^2/c^2
式から直接に次を得る。
もし、物体がエネルギー L を放射の形で失うならば、その質量は L/c^2 だけ減少する。
物体から引き出されたエネルギーは、放射のエネルギーと明らかに違わない事実は、我々を次のより一般的な結論に導く。
物体の質量は、そのエネルギー内容によって測定される。エネルギーが L だけ変化すると、質量は同じ意味で L/9 × 10^20 だけ変化する。 ここで、エネルギーは erg 、質量は gram で測定されたものとする。
エネルギー内容の変化が大きな比率である物体、(例えばラジウム塩)を使って、理論が成功裏に実証されるかもしれないということは、 不可能なことではない。
もし、その理論が事実と関連をもつならば、発散物体と吸収物体の間で、放射は、慣性を運ぶのである。