The Hubble Constant: A Discourse by G. A. Tammann 戻る


外部銀河の距離スケール

The Extragalactic Distance Scale
シドニー・バン・デン・バーグ (SIDNEY VAN DEN BERGH)
http://adsabs.harvard.edu/abs/1996PASP..108.1091V (訳 片山泰男: 図表とその説明、追補の翻訳を省略。)


概要:セファイド変光星が、乙女座クラスタ距離の 16.0+-1.5 Mpc を導くのに使われた。平均、髪の毛座動径速度とそして よく確立された髪の毛座/乙女座距離比と連関して、これは、ハッブルパラメータ H0= 81+- 8 km s^-1 Mpc ^-1 をもたらす。 この値と、金属欠乏球状星団から導かれた宇宙の年齢 ≧ 16.8 +- 2.1 Gyr を結びつけ、f(Ω,Λ)≧ 1.39 +-0.22 を得る。 この値は、アインシュタイン・ド・ジッター宇宙(Ω=0かつΛ= 0でf= 1 をもつ)とは、やっとぎりぎりの整合性をもつが、 アインシュタイン・ド・ジッター宇宙(Ω=1かつΛ= 0でf= 2/3 をもつ)は、3σレベルで排除されるようになる。 幾つかの最近の小さな H0 値は、銀河の線形直径のなかの大きな内在的な散らばりから、また、よく観測された超新星 Ia 型が 最大光において〜20の光度範囲を示す事実から、の結果であり得ることが示される。最近のH0の推定の代表サンプルが表1に与え られる。この表のデータからハッブルパラメータのメディアン値は、H0= 72 km s^-1 Mpc^-1 であり、それから、f(Ω,Λ)≧ 1.24 である。

"何がそれの広さで、何がそれの長さであるかをみよ。" (ザッカリア 2:2)


1. はじめに

76年前、Curtis (1921) と Shapley (1921) は、この会場で会い、星雲の本質について彼らの異なった見方を披露した。Shapley は、 我々の天の河銀河は、小さな島星雲に取り囲まれた広大な大陸であることを信じた。一方、Curtis は、渦巻星雲は、非常に遠方の 天体であって、我々の天の河系のそれと類似した大きさであるという見方を唱道した。この議論は、ハッブル(1925)がセファイド 変光星をM31とM33のなかに発見したことによって決定的に落ち着いた。Sandage (1961) の言葉で、"1900年より前には誰も (銀河が何かを)知らなかった。数少ない人々が 1920 年に知った。全ての天文学者が 1924年より後に知った。"

天文学者のコミュニティーは、現在、同様な、高い掛金の議論を、外部銀河の距離スケールについて行うことを約束した。 もし、ハッブルパラメータが、H0〜50 km s^-1 Mpc^-1 であるなら、そのときは、我々は、優雅で単純な、アインシュタイン・ ド・ジッター宇宙に住むだろう。しかしながら、もし、H0 〜 80 km s^-1 Mpc^-1 ならば、我々は、もっと複雑な(そして多分 もっと面白い)世界に存在するのである。


2. ハッブルパラメータへの年齢制限

宇宙の年齢は、最も老齢の星々のそれより小さくあることはできない。最も老齢の星のクラスタは、それゆえ、宇宙の膨張年齢に 厳しい制限を置く。最近、Bolte and Hogan (1995) は、非常に古い金属欠乏の天の河銀河の球状星団M92の主系列を、その距離が、 3角測量の視差によって決定できる、同様の金属性をもつ近傍の小矮星たちのそれにフィットさせた。

星の進化は、15.8 +-2.1 Gyrの年齢をもっての追跡が、近傍の小矮星によって較正されたM92の色ー光度図に優秀な一致を与える。 (非常に最近には、VandenBerg et al. 1996 は、15+5-3 Gyr の年齢を最も金属欠乏の天の河銀河の球状星団に与えた。) Chaboyer et al. (1996) は、95% の確率で最も古い球状星団の年齢が > 12.1 Gyrであると結論した。熱い"ビッグバン"のなかで 物質が形成し、圧縮して星になるには、≧ 1 Gyr かかるという仮定のもとに、Bolte and Hogan の仕事から次のことが導かれる。 宇宙は、t0≧ 16.8 +-2.1 Gyr でなければならない。この結論は、現在の星の進化モデルが全体として誤っている場合にだけ避け られる。RR Lyrae 星の統計的視差 (Hawley et al. 1986) は、M92に、Bolte and Hogan によって得られた値より小さい距離を もたらし(1995)。対応するクラスタの年齢は、≧ 18 Gyr (VandenBerg et al. 1996)になるだろう。全く独立した年齢推定は、 [Fe/H] = -1.54 をもつ NGC 6752 について、は、最近 Renzini et al. (1996) によって得られた。白色矮星に基づいた距離推定 を使って、これらの著者は、ヘリウム発散を含めないモデルから、クラスタ年齢 15.5 +-1.5 Gyr を、ヘリウム発散を含めた進化 モデルから 14.5 +-1.5 Gyrを得た。

天の河年齢推定の 15.8 +-2.1 Gyr (Bolte and Hogan 1995) と 15+5-3 Gyr (VandenBerg et al. 1996)は、 Truran (1996) によ って宇宙時間学から得られたモデル独立の年齢、 8.7 ≦ T_Gal (Gyr) ≦ 28.1 と整合し、Sneden et al. (1996) が超金属欠乏( Ultra-metal-poor)星 CS22892-052 内の Th/Eu 比から導いた 15+-3 Gyr と整合する。

膨張宇宙の年齢は、次の式で表現できる。

t0= f(Ω, Λ)^-1_0 ...................................(1)

ここで、f(Ω, Λ)= 2/3 標準のアインシュタイン・ド・ジッター宇宙(Ω= 1, Λ= 0) で もし、Ω= Λ= 0 なら、f(Ω, Λ)= 1 である。(1)式から次がでる。

H0(km s^-1 Mpc^-1) = 978 f t^-1 (Gyr) .............(2)

t0≧16.8 +-2.1 Gyr を式(2)に代入して、H0 ≦ 39 +- 5 km s^-1 Mpc^-1 がアインシュタイン・ド・ジッター宇宙 Ω=1, Λ= 0 について得られ、H0 ≦ 58 +- 7 km s^-1 Mpc^-1 がΩ= Λ= 0 について得られる。これらの結果は、外部銀河の距離スケールの 観測が宇宙の許されるモデルについて、厳しい制限を置くことができることを示す。


3. 遠方のスケール

銀河は、途方もなく遠い。 それらのなかの標準光源は、それゆえ、暗く、観測することが難しい。この帰結として、外銀河の距離 スケールの決定は、我々の観測の能力の最大の限界に挑戦する非常に難しい事業である。"そこに、我々は影を測り、わずかにより 実質的な地程標をもとめて測定の幽霊のように誤差の間を探索する"(Hubble 1936)。

我々は、いま、Hubble と Humason (1931) の H0 を決定しようとする最初の試みが、7-10 倍に誤っていたことを知る。遠方銀河 の最大輝度の"星々"を標準光源として使い、Hubble と Humason は、H0= 559 km s^-1 Mpc^-1 を見出した、それに伴う彼らが推定 した不確かさは、+- 10% であった。その結果、Baade (1954) は、古典的なセファイドの種別 I と W Virginis 変光星種別 II の 間の混乱が距離スケールの2倍の過小推定をもたらし、H0 〜 280 km s^-1 Mpc^-1 になった。銀河の光度関数を使うのに、Behr (1951) は、ハッブル(とバーデ)に採用された銀河の距離モデュライは、追加的なΔ(m-M)= 1.7+-1.1 mag(〜2 倍の距離に相当する) だけ増加されるべきであると示した。最終的に、Sandage (1958) は、ハッブルが遠方渦巻銀河のなかで最も明るい星とした天体の 多くが、事実、H II領域であったことを示すことができた。この訂正によって、Sandage は、ハッブルパラメータ H0 〜 75 km s^-1 Mpc^-1 に到達した。"2倍の可能な不確かさとともに"。そこに、次の 38 年間のために残ったことがある。Kennicutt et al. (1995) が最近出版したのは、最近20年間の出版された全ての H0 の値を示す教育的なプロットである。この図は、最近の決定の莫大な多数 が 50 ≦ H0 (km s^-1 Mpc^-1) ≦100 の区間に入ることを示している。この範囲の下に落ちる値の部分(ほとんどは、Sandage と彼 の協力者の)もある。遠方の距離スケール問題の最近のレビューには、読者は、Fukugita et al. (1993); Jacoby et al. (1992); そして、van den Bergh (1992, 1994) を参照されよ。多種類の異なる技術の、現代の H0 決定のサンプルは表1に示す。

表1を検査すると、H0の最小値が距離指標として Ia 型超新星(SNe Ia)の使用に基づいていることを示す。多分、それゆえに、小さな 値の H0 を唱道する者は、標準光源として SNe Ia の使用にかなりの強調を置くことは、驚くべきことではない。距離指標としての SNe Ia の適性は、この論文の 4 章で詳しく議論されるだろう。5章では銀河直径は、"標準ものさし"でないことが示されるだろう。 銀河直径から導かれた H0 の値は、それゆえ、重要性が疑われる。

スニヤエフ・ゼルドビッチ効果に基づいた H0 の推定は、最近、Inagaki et al. (1995) に大量に議論されてきた。これらの著者は、 遠方銀河の温度プロファイルの決定にある不確かさは、S-Z 効果を使う H0 値に重大な誤差を生み出すことを結論する。さらには、 クラスタは、表面輝度で選択される。 そのような選択が視線にそって長くされるクラスタを優先するバイアスを導入する。これは、 H0 の低い値に向かうバイアスを結果とする(Fukugita 1995)。このバイアスは、近傍の髪の毛座には、避けられて、S-Z 方法が H0= 74+29-24 km s^-1 Mpc^-1 を与える(Herbig et al. 1995; Meyers et al. 1995) 最近のレビューとして、読者は、Lasenby (1996) を参照。

重力レンズ観測は、ハッブルパラメータの将来の決定に大きな約束を保つ。レンズ 0957+561 光経過時間Δt における差異の不確か さは、過去数週間(Blandford 1996) の期間の間に得られた観測によってとり除かれたと見える。より基本的な困難は、0957+561の モデルへのχ^2 の値が、Grogin と Narayan (1995) によって最近与えられたものが大きいことである。それゆえ、どのようによく それらの質量モデルがレンズ天体のなかの実際の質量の分布を捉えているか、まだ明確でない。

残された H0 推定は、表1にリストされて、明確な切り分けの 2 分法が SNe Ia との間にある。それは、50- 65 km s^-1 Mpc ^-1 の範囲の H0 の値を与えるように見え、他の技術は、66≦H0≦81 km s^-1 Mpc^-1 を主にもたらす。


4. SNe Ia はよい標準光源だろうか

I 型超新星は、Kowal (1968) によって標準光源として最初に使われた。標準光源として、一般的に楽天的な SNe Ia の値の査定が ワークショップ "距離指標としての超新星" (Bartel 1985) で与えられた。例えば、Cadonau et al. (1985) は、書く、"個々の SNe Ia は、一般的に、このテンプレート光曲線から、系統的な偏移を見せない。偶発的な偏移は光学的な誤差と説明できる。 それ(光学的誤差)は、SNe Ia ではまったく厳しいものである。吸収フリーの SNe Ia のピークの光度は、また均一で、内在的な rms の散らばりが<0.3 等級である"。 少し後、それは、しかしながら、SN I には少なくとも、ふたつの物理的に異なった型が あることが発見された(例 Harkness and Wheeler 1990)。Ia 型天体(SNe Ia) は、古い星の住民に属する先祖をもつと現在、信じ られ、一方、SNe Ib/c は質量のある若い先祖から作られると考えられる。SNe Ia はよい標準光源であるという仮説に対する多分、 最も気絶するような衝撃は、暗い天体、SN 1991bg の発見だった。この超新星は、B(max)= 14.75 (Filipenko et al. 1992; Leibundgut et al. 1993) と観測され、それは、SN1957B よりも〜2.5 等級(10倍) 暗かった。それがまた、同じ(ほとんど塵なし!) の楕円銀河 NGC 4374 (= M84) に発生したのである。さらにまた、同じ年、1991年に暗いSN Ia 1991T (Phillips et al. 1992) をもたらした。非常に明るいものと暗い SNe Ia の両方の発見は、SNe Ia がよい標準光源という仮説にとって 1991 年を annus horribilis (恐ろしい年) にした。SNe Ia の標準光源としての使用に伴う基本的な問題は、生産される 56Ni の量、その他観測 できる SNe Ia の特性が、どう燃料に点火するかに敏感に依存することである(Niemeyer et al. 1996)。

ふたつの異なる "周転円"が SNe Ia が役に立つ標準光源であるという仮説を救うために提案された:(1)Branch et al.(1993) は、 これらの天体は、"正常な" SNe Ia のよい標準光源と、分光学的に固有な違うものに、分離され得ると示唆した。しかしながら、 Maza et al. (1994) は、分光学的に SNe Ia 1992bc と 1992bo は、M_B(max) が 0.8 +-0.2 等級、すなわち、明るさで2倍だけ 異なることを示した。(2) Phillips (1993) は、SNe Ia の最大光度は、減衰率に強く相関していて、SNe Ia はそれゆえ、 M_B(max) が青い光の減衰率Δm_15 によって較正された後は、標準光源として使用できるとした。Phillips は次を見出した。

M_B(max) = a + b Δm_15 ...................(3)

ここで b= -2.70。より拡張的なデータから、Hamuy et al. (1995) は、より小さな値、b= -1.62 を見出した。最終的に、Hamuy et al. (1996) は、いまよく観測可能な 29 の SNe Ia から、さらに小さな値、b= -0.79 +- 0.18 を得た。方程式(3)の万能性への信仰 は、SN 1885=S And ( de Vaucouleurs and Corwin 1985) と SN 1994D (Patat et al. 1996) が平均最大等級 vs 減衰の関係から、 大きな逸脱を示すという事実によって影を潜めた。 Riess et al. (1995, 1996) は、SNe Ia の最大光の相対光度を用意するために 多重パラメータ光曲線モデルを使った。しかしながら、 S Andromedae と SN 1994D のような、幾つかの超新星は、Riess et al. の 提案した、光度vs光曲線形関係にフィットして現れない。

Van den Bergh (1996) は、セファイド距離が知られている全ての Ia 型の 超新星の M_B(max) の値を決定した。これらのデータは、 表2に集めらた。この表は、よく観察されたIa 型超新星が、最大光の光度で〜20のある範囲を表すことを示す。この結果は、SNe Ia を外部銀河の距離スケールの較正者として使用する試みには、大きな注意が払われなければならないだろうことを明確に示す。

表2のデータは、晩期型銀河のなかの SNe Ia は、 E 型、S0型の銀河(又は渦巻銀河のバルジ)のなかのものより、平均して明るいと いう疑いの確認を現している。しかしながら、これに対する衝撃的な例外は、それは乙女座銀河クラスタのS0銀河 NGC 4526 (Patat et al. 1996) に最近起きた SN 1994D によって用意された。この天体の B0(max)= 11.58 +-0.08 である。乙女座距離モデュラス (m-M)0 = 31.02 +- 0.2 (van den Bergh 1995a) とともに、これは M_B(max)= -19.43 +- 0.22 を与える。多分、この高い光度は、 SN 1994D が、NGC 4526 のなかの輝く塵のレーンに添えられた、相対的に若い先祖をもつという事実による。もし、個のSNe Ia の その光度が、実際、先祖の年齢に相関があるならば、そのときは、SNe Ia の光度の絶対較正は、較正する銀河の選択によってバイ アスされるだろう。とくに、不規則銀河又は非常に晩期型渦巻は、平均を上回る光度の SNe Ia を含んでいるだろう。SN 1937C、 SN 1972E、SN 1981B そして SN 1990N を較正者として使って、Hamuy et al. (1996) は、H0= 64 +- 3 km s^-1 Mpc^-1 を見出した。


5. 標準物差しとしての銀河直径

Sandage (1993a) は、Sc I 型の超巨大渦巻銀河は、一定の線形直径をもつという仮定を使って H0= 43 +- 11 km s^-1 Mpc^-1 を導いた。 しかしながら、外部銀河の距離を決定するためのこの技術の正当性への疑問には、いくつか理由がある。

5.1 銀河の像

van den Bergh (1992) は、くじら座の Sc I 銀河 NGC 309 と乙女座の M100 の同じ線形スケールに印刷された KPNO 4m 望遠鏡像を示した。 これらの像は、NGC 309 は M100 の 2〜3倍大きいことを示している。これは、Sc I 銀河の直径がかなりの範囲にあることを示す。

5.2 M100 の距離

M100 が (そのなかにセファイドが観測されている) 近傍のSc I 銀河 M101 と同じ直径をもつと仮定して、Sandage (1993a) は、27.7Mpc を M100 に導いた。しかしながら、この銀河のなかのセファイドのハッブル宇宙望遠鏡による最近の観測 (Farrarese et al. 1996)は、 たった、15.8 Mpc を与える。

5.3 M31 と M33 の比較

M31 と M33 の直径のそれらと類似する分類型をもつ、大熊座/乙女座クラスタ (Tully 1988) の銀河との比較 (van den Bergh et al. 1990)、 は、(D= 725 kpcが推定されている) M31から距離 17.1+3.1-2.3 と、(D= 795 kpcが推定されている) M33から距離 10.6+3.2-2.0 を与えた (van den Bergh 1992)。これらの結果は、次のことを示す。(1)個々の銀河の直径は、それらを正確な距離指標に便利にするには余りに広い 範囲に渡っていることを示す。そして、(2) M31 と遠方Sb I-II 銀河との比較は、M33と他の Sc II-III 型遠方銀河との比較と比べて、ずっ と大きな距離を与える。この結果は、M31と同型の遠方銀河の比較だけに基づいた Sandage (1993b)の結論の信用を下げる。

上に提示した結果に基づき、銀河直径は、外部銀河スケールの正確な決定にそれらが適しているとするには、あまりに大きな分散を示すこと は、明らかである。


6. セファイドからの距離スケール

最初の偉大な遠方スケールのディベートは、Hubble (1925)の近傍銀河のなかのセファイドの発見によって決定的に解かれた。ハッブル宇宙 天文台(HST)の使用で現在、古典的なセファイドを遠方銀河のなかに観測することができるようになった。そのようなセファイド距離を使用 して、2番目の偉大な遠方スケールの論争の解決が間近にあることがいま明らかになる。

表3は、乙女座領域の5つの渦巻銀河のセファイド距離をリストしている。この表のなかの最初の4つの天体は、整合した距離を与える一方、 NGC 4639 は、9 Mpc大きい距離を与える。Tully-Fisher 距離 22.3 +-2.2 Mpcという(Yasuda et al. 1996)は、また、NGC 4639 が背景天体 であることを標示している。表3の最初の4つの渦巻は、形式重み付け真の乙女座距離モデュラス(m-M)0= 31.02 +-0.08 を与える。このエラ ーに、HSTの光学系の零点にある可能なエラーから結果する0.1 等級の系統不確かさと、乙女座距離が決定されるのに参照とする大マゼラン 雲の距離モデュラスにある〜0.1等級の不確かさとを加算すべきである^1。

後続する議論において、乙女座クラスタの真の距離モデュラスが、(m-M)0= 31.02 +-0.2 である、それに対応する距離、16.0 +-1.5 Mpc で あることを仮定するだろう。最近、Whitmore et al. (1995) は、乙女座の巨大楕円銀河 M87 のなかの球状星団の光度関数と、M31と天の河 銀河の球状星団のそれとの比較によって、(m-M)0= 31.12 +- 0.26 であることを見出した。この結果は、表3にリストされた渦巻銀河が乙女 座クラスタのコアとして同じ距離にあることを明らかにする。この結論は、異なる決定方法、渦巻と楕円銀河から推定されたΔ(m-M)0 値に 系統誤差を示さない、髪の毛座/乙女座の差異(van den Bergh 1992) からも確認される。

ハッブルフローに相対する乙女座クラスタの固有運動と、乙女座クラスタに向かう局所団の落ちこみ速度とは、まだよく決定されていない。 それゆえ、ハッブルパラメータは、髪の毛座/乙女座の距離比と、マイクロウエーブ背景に相対的な髪の毛座クラスタ速度とから導出するの が最も安全である。12の調和する決定から、van den Bergh (1992) は、乙女座と髪の毛座間の差異モデュライとしてΔ(m-M)0= 3.71 +-0.05 を見出した。(m-M)0 (Virgo) = 31.02 +- 0.2 とΔ(m-M)0= 3.71 +-0.05 から、人は、(m-M)0 (Coma)= 34.73 +-0.21 対応する距離は、 D(Coma) = 88 +-9 Mpc である。Durret et al. (1996) は、平均赤方偏移 = 6901 +-72 km s^-1 を髪の毛座クラスタに見出した。宇宙 的マイクロウエーブ背景座標のなかの髪の毛座をおく +258 +-10 km s^-1 の較正とともに、これは、髪の毛座の真の速度 V(Coma)= 7159 +- 73 km s^-1 を与える。これらの値から、人は、H0= V(Coma)/D(Coma)= 81 +-8 km s^-1 Mpc^-1 である。この値とt0≧ 16.8 +-2.1 Gyr を (2)式に代入し、f(Ω, Λ)≧ 1.39 +- 0.22 を得る。これは、Ω= Λ= 0 のアインシュタイン・ド・ジッター宇宙の f= 1.0 値とはぎりぎ り共存できる。セファイド距離スケールから、Ω= 1 Λ= 0 のアインシュタイン・ド・ジッター宇宙の f= 2/3 値とは、セファイド距離か ら 3σ レベルでルールアウトされたということになった。値、H0= 81 +- 8 km s^-1 Mpc^-1 は、乙女座クラスタのなかのセファイドから 導かれた値は、表 1 にリストされた 19 の H0 値全てのメディアン、H0(median)= 72 km s^-1 Mpc^-1 よりも大きい。それから、f(Ω,Λ) ≧ 1.24 になる。

私は、深く Abi Saha に恩がある。乙女座領域のなかの渦巻の彼の距離を、出版よりも先んじて引用することの許諾について、そして、 Brad Schaefer には、Ia 型の個々の超新星の距離について議論について。私は、また、Dave Burstein, Bruno Binggeli, Robin Ciardullo, Mike Hudson, George Jacoby, そして Mike Pierce にその助けになった議論に、感謝する。


1. LMCクラスタの中の RR Lyrae 等級(Walker 1992) は、大マゼラン雲への距離は、過大推定されていることを標示してるのかもしれない。 もし、これが実際なら、低く導かれた H0 の値は、増加させる必要がある。