オオサンショウウオMegalobatrachus japonicus
[両棲綱平滑両棲亜綱具尾下綱有尾目サンショウウオ亜目オオサンショウウオ科]
胸鰭と地面の摩擦を前への推力にしたのは、トビハゼやムツゴロウのような類に今日観られるような移動であり、魚類から両棲類が分化する。胸鰭は、大きく前へ突き出され地面に固定し、体を前に押し出す。次第に、貧弱で副前進運動器に過ぎなかった胸鰭が前肢として進化してゆく。骨は丈夫になり、それ自体が伸びて独立屈曲し、それとともに腹鰭も後肢として伸び体重移動を担った。だから両棲類の四肢はまだ短く、体軸より直角に出ていて(体肢の側方型)、移動に最適とは言いづらい。引きずるようであるし、まだ体幹や尾自体の揺さぶりを必要としていたりもする。
その姿から察するに、潰れたという感がする。魚は紡錘型だが、それも水中で自身の体重の負担がないからではないか。デボン紀後期の最初の両棲類といわれるイクチオステガの骨格を観ると、まだ魚に四肢という感じだが、オオサンショウウオが何か平坦なのは、だんだん重力を感じてはいつくばることになったのではないか。目も側面にあったのがほぼ平面に並んだ。移動はあくまで四肢によるが、その短さから、体幹と尾の副前進運動器を必要としている。そのぬべぬべした皮膚は、粘液腺と顆粒腺との分布による。粘液腺は分泌液による層を皮膚上に作り、皮膚呼吸を円滑にするとともに、水中では体内への水の侵食を防ぐ。顆粒腺は有毒な液体を分泌するための腺である。毒は、移動の遅い、つまり逃げるのが遅い、両棲類にとっては重要である。後肢の筋力を発達させ跳躍するカエルの類もいる。