計量変動は物を揺らすか?

2017/8/17 片山泰男(Yasuo Katayama)
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目次

1. 計量の変動の局所検出は可能か
1) 物差し時計 dx に影響しない計量変動
2) 物差し時計 dx に影響する計量変動
4. フリードマン解の計量と物差し
5. フリードマン解の座標系の選択は正当か
6. アインシュタインの結論は何か


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概略

計量変動を2種に分け、第1種は物差し時計に影響せず、第2種は物差し時計に影響する。重力波がそうであると思われている進行方向に垂直な2方向の伸縮は、 第1種の局所の物差し時計に影響しない計量変動である。全ての計量は伝播する必要があり、上のような重力波に対する限定は不要である。第2種にあたる フリードマン宇宙解の空間計量増加は、物差しである銀河間距離の縮小を必要とする。この意味で、膨張宇宙の計量の認識には誤解がある。 2点を通る測地線を軸とする回転において不変として立てた点対称宇宙構造はそれ自身、膨張又は収縮宇宙を前提し、蓋然性に乏しい。


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1. 計量の変動の局所検出は可能か

物差と時計の進みの変動は、ともにそれぞれ個別には、局所で検出できないものである。むしろそれは、それに影響しないように法則が見出される 固有時、固有長の保存原理である。 特殊相対論において、ある慣性系からみて速度をもった慣性系の全ての速度方向の間隔が均一に短縮し、その中の時計が遅れるという現象は、 その短縮を受ける系の中における時間、長さの測定を全く乱さない。それが座標系に依らない固有時、固有長の意味である。 他の速度をもつ系からみるだけで慣性系が短縮するのは、力学的な作用ではない座標変換であった。慣性系は自分の速度(絶対速度)を知り得ない。

時間と空間は絶対でない。速度をもつ座標系の空間はローレンツ短縮し、時間は遅くなる。時空の変換をローレンツ変換という。慣性系Kに対しx方向の 速度vをもつK'系からみて、

x'= γ(x - v t),
t'= γ(t - v x),
y'= y, z'= z, γ= 1/√(1-v^2)

見る側 K'系の同時刻、t'= 0, t= vx を代入し、x' = 1/γ x "ローレンツ短縮" だが、K系同時刻 t=0では x'= γ x で伸長になる。同様に、 見る側の空間の1点の時計 x'= 0 なら t'= 1/γ t 高速化だが、K系の1点の時計は、x= 0 で逆に t'= γ t "時計の遅れ" である。 このように相対速度をもつ系からみると時空は変化するが、そこには系によらない不変の時空間隔 x'^2 - t'^2 = x^2 - t^2 がある。

時空間隔を微小量にして、見る側 K'系の時空方向で、見られる1点の時空微分は、dt'= 0 から dx'= 1/γ dx と dx'=0 から dt'= 1/γ dt を使い、 dx と dt は、両方同じく伸縮し、dx'^2 - dt'^2 = dx^2 - dt^2 は不変である。速度は x 方向だけでなく、y, z 方向も同様だから、

ds^2= dx^2 + dy^2 + dz^2 - dt^2 ......(1)

が慣性系によらない不変量である。速度をもった観測によって距離や時間が変わるが、そこには不変量が存在する。これは、系内空間 dt= 0 では、3角形の 斜辺の長さのピタゴラスの定理、回転における剛体の法則に還元され、不変量(固有時または固有長)は、系内測定の結果といえる。 ローレンツ変換の不変量は、空間の2乗和のユークリッド距離から時間の2乗を引くから、時間が虚数なら4次元ユークリッド距離保存則、剛体の法則である。

それに対して、一般相対論では、計量(metric) g_ik を使って、系の中の時間経過と物差しを時空の関数にした。遠方からみたある時空点の時間経過と物差し に関係する計量 g_ik は時空の関数、場であり、 計量と不変量の関係は、ある時空点の2つの微分時空 dx^i dx^k の積に計量 g_ik を掛け i,k= 0-3 の総和をして(1)の不変の時空間隔 ds^2 になる。

ds^2= g_ik dx^i dx^k .........(2)

dx^i や dx^k は、その時空点の微分の時空間隔であり、その点を離れて客観的にみて標準値でないと捉える、その場所の、ある方向の物差しの長さや時計の間隔であり、 基準とする遠方の平坦時空又は局所慣性系からみて、その物差しは短縮したり時間経過が違っているのである。ひもを切ったエレベータ内が無重力状態になるように、 系への重力以外の外力をなくせば、時空は局所慣性系へ変換され、無重力のミンコフスキー時空を現わす。そのとき(2)のg_ikは標準値、対角(i==k)だけ(1,1,1,-1)になり、 不変量は式(1)に戻る。微分時空 dx^i や dx^k が g_ikに応じて伸縮し、総和は、g_ik によらず不変である(*)。

重力波は、計量場 g_ikの変動であり時空の計量を媒体として光速で伝播する。しかし、ある局所において計量が変動するなら、何もない空間と剛体も同じように 比例的に伸縮して、局所の観測者にその変動は見えず、変動は十分離れた時空点から初めて知ることができる。局所の硬い物差しは変動せず、軟らかい空間だけが伸縮し、 それが光で計測できるというものではない。時間計量の違いは全ての現象の時間を伸縮させる。空間計量の違いは、物体間隔を変化させるだけでなく、 物体自体の長さも比例的に変化させ、局所の物差しをも変化させる。それゆえ、計量 g_ik の変動は、局所の自己計測では知り得ない。 一般相対論は、重力現象として現れる計量を扱うが、物差しと時計の進み(微分時空)と計量は局所で知り得ないのである。

しかし、計量の変動が局所に何の現象ももたらさないなら、そして、宇宙論での計量はそのように遠方の見えかたと宇宙の一生にしか影響しないものであるが、 計量が単に遠方からみた時空の見え方だけであるなら、それは、計量自体の現実性を失うに十分な根拠である。そのような計量の意味は、十分でない。例えば、 天体の側の時空は、空間計量と時間計量の両方が、無限遠の平坦なミンコフスキー時空、式(1)の標準値との違いをもつが、局所にみえる現象として物体の質量 に比例した力を与える重力加速度として現れる。一般の時空を扱う原理として、どの時空点も外力をなくせば局所慣性系の無重力、ミンコフスキー時空が再現する。 それは局所で実行すれば知り得ることである。重力はニュートン力学のように直接に天体との距離によって現れるのではない。重力の実体は時空の計量 g_ik であり、 質量分布から重力方程式によって与えられる。逆に、計量から質点へは、計量の微分(g_00 の勾配など)から重力があり(**)、計量変動は重力変動として現れ、 物体に振動を与える。それが重力波の検出の意味であると思い返すことができる。

計量は、原理的には局所の周辺を利用して測定が可能であるが、それは「原理的には」と限定のつくほど逆説的なのである。

(*)これは、重力波が空間計量の変動なら、空間計量の変動は、時間計量の変動なしにないことを表すか。いや、g_ik が全く任意なら不変量ds^2の意味はないが、 進行方向に垂直な空間計量の2方向の伸縮が反対なら時間計量の変動なしにでき、それが重力波の解とされる。しかし、そのような時間計量一定の波だけを考える ことに意味はなく重力が伝搬するにはg_00変動も伝搬されないといけない。

(**) 測地線方程式が重力の加速度を扱う。計量の3方向の微分の式 [rs,i] があって、2つの方向rsの速度積によって、別の方向iの加速度を生み出す。 測地線の物理 参照。


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1) 物差し時計 dx に影響しない計量変動

式(2)は、物差し時計の2項積 dx^i dx^k に計量 g_ik を掛けた総和が一定をいう。 g_ik が変化し総和一定は、物差し時計の dx が変化しなくても達成できること がある。例えば、(a) 空間のある方向1に計量 g_11 が大きくなるとき、他の方向2に計量 g_22 が小さくなれば、dx, dy が変わらなくても ds^2 を一定にできる。 時間計量が -1 より絶対値の小さい -0.25 の時間計量(時間経過が半分)に 0.75 増加すれば、それを補償するように空間計量の1つが1から0.25になるか、3つとも 1から0.75になれば、g_ik の4次元和が変わらず、物差し時計の変化なしにds^2不変にできる。dx は単なる時空の微分であり、その変化を考えないならば。

(b) 空間計量 g_ii 3つ全て大きくなるとき、時間計量 g_00 が小さくなれば dx が全て変化しなくてもds^2を不変にできる。空間計量 g_ii(i=1-3)の等方的な 増大を補償する時間計量g_00の減少は、物差し時計 dx が不変であっても、ds^2不変を満たす。

物差し時計 dx に影響を与えずに、ds^2不変を満たすには、空間計量 g_ii(i=1-3)の等方的な増大には、それを補償する時間計量g_00の減少が必要であり、 それなしにg_iiだけが増大するフリードマンの膨張宇宙解は、 物差し時計 dx に影響を与えずに、ds^2不変を満たすことはできない。


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2) 物差し時計 dx に影響する計量変動

ある時点のg_iiが ds^2= g_ii (dx^i)^2 を満たしdsが0でないとき、その後の時点で g_ii が全て比例的に4倍なら、g_ii (dx^i)^2 は以前の不変量の4倍でないのか。 いや、(2)ds^2= g_ik dx^i dx^k はより基本的な式であり、g_ik が増加するとき、dx^i, dx^k は縮小できる。過去のdxと現在のdxが違って、物差し dx^i が 1/2 に なれば ds^2 不変を満たす。膨張宇宙は、計量g_iiに時間的変化を許容し、それによって時空微分(物差し時計)dx^iに時間的な変化を許す。これはまだ式(2)の逸脱ではない。

特殊のローレンツ変換自身は g_ik 一定の変換であり、物差しと時計の dx が変化する。(a)は、系のなかの3次元剛体法則に対応する。座標系の回転で dx が大きく なるとき、dy が小さくなれば、ds^2は変化しない。(b)は、4次元剛体法則であるローレンツ変換 ds^2= dx^2 + dy^2 + dz^2 - dt^2 に対応している。

ローレンツ変換は、空間的距離 dx^2+dy^2+dz^2 から時間的距離 dt^2 を引いたものが系によらずつねに一定になる。一点の物差し dt'= 0 のとき、dx'が速度の方向に 1/γ 倍に短縮するとき、その同じ一点の時間 dt' も 1/γ倍に短縮すれば、ds^2不変 (1) を満たす。しかし、それを満たす dx'= 0 という条件はないと思われるが、 そうではない。ローレンツ変換に従う物差し時計は、つねに(1)を満たす。 dx, dt 両方が同時に dx' が減ると dt' も減るように変化するのである。

1)のように、物差し時計に影響しない計量変化があり得る。2)のように、計量の変動は物差し時計に影響できるが、直にその局所の力学現象となるわけではない。 例えば、ローレンツ変換は物差し時計に影響するが、その系内の力学現象ではない。1), 2) のいずれが局所の物理に影響するかというと、1)の方が影響しないように 思うが、 2)に属するローレンツ変換は局所の現象に影響しない物差し時計の変化である。進行方向に垂直な2つの空間計量の伸縮は 1)に属するが、重力波は 局所現象に影響する計量変動でないといけない。重力波がそのような変動でなく、全ての計量の変動が伝播する必要があるとすれば、1)に限られない。


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4. フリードマン解の計量と物差し

式(2)は、系を変えても成立する不変量の式である。空間計量g_iiの増加に時間計量低下が伴うなら総和は打ち消され、物差しが変化しなくても不変量 ds^2 を一定に保てる。 しかし、フリードマン解のように、時間計量一定で空間計量g_ii増大なら、物差し dx である銀河間距離が縮小しないといけない。 空間計量 g_ii(i=1-3)だけが等方的な増大をし、それを補償する時間計量g_00の減少がない、フリードマンの膨張宇宙解は、 必ず物差し時計に影響を与える計量変動である。 物差し dx の等方的な縮小があるか、dt の増大がなければならない。

問題は、g_ik の時間的増大を宇宙膨張ということである。その空間的な物差しdxは、銀河間距離である。"塵の漂う系" 局所慣性系を空間的に結合した系を共動系という。 銀河は、宇宙の空間の均一な目印、指標とした。空間的な物差しは銀河間の距離である。銀河間の距離を一定とする系からみた g_ii =G^2A^2 として空間関数Aと時間関数G (宇宙のサイズ)の積とし Gが増大する。その系でds^2は不変を保てないかとみえる。しかし、ds^2 は時空間的に不変量、いつでもどこでも成立し、計量とdxの2項積の積が 不変である。

そのなかで、これは膨張宇宙だろうかを検討する。銀河間の距離増大ならまだしも、変化が逆である。Gを"宇宙のサイズ"という。ポアンカレの宇宙でも、アインシュタイン の定常宇宙でも、宇宙の果てでは計量 g_ik が増大するが、それはその場所の物差しを含めた物体の縮小を意味した。その縮小した物差しからみれば宇宙が膨張している のである。膨張宇宙は、時間的に物差しの縮小する宇宙である。

但し、物差しが縮小して天体間隔は慣性によって変化しないと理解する人々が物差しを空間でなく原子など他にとるのは、物理現象の基礎に一般相対論の計量を置かない 理解である。相対論の時空は全物理現象の土台である。天体の間隔も原子のサイズも量子でさえ同じく計量の変化に従う。元々銀河間間隔は物差しである。宇宙論において、 塵(局所慣性系)を結んだ空間をもつ共動系以外の座標系のとり方はない。銀河間距離を物差しにして、空間計量g_iiが増大する、物差しの縮小宇宙が正しい計量の理解である。 宇宙は不変で物差しが無限に縮小する。

しかしそれでは、これは赤方偏移になるだろうか。遠方銀河は接近するからドップラー効果は逆の青方偏移になる。むしろ今の物差しからみて、過去に原子が大きかった ための赤方偏移だろうか。我々は赤方偏移をドップラー効果ともいい、空間膨張のための赤方偏移ともいってきた、空間縮小はその逆である。赤方偏移を空間膨張と ドップラー効果でした説明は、共に全く逆になる。

さらに混乱した理解として、力で結合した物体間や、原子のサイズは変わるものではなく、銀河間だけが変化するという理解があったが、一般相対論の測地線方程式の重力 は力でなく硬軟に関係しない加速度を与える。相対論は、物差しの短縮や時計の変化を力学的理解でなく座標変換として理解する。宇宙膨張し銀河間が膨張するなら惑星 軌道も膨張する。正しくは空間計量 g_ii が縮小して初めて、空間的物差しである銀河間の膨張になり、宇宙膨張に伴う赤方偏移をもたらす。つまり、空間計量 g_ii 又は G は、その逆数を扱うべきであった。現在の空間が膨張すべきなら、密度が臨界密度より小さい場合は空間計量 g_ii の縮小に、密度が臨界密度より大きい場合は、 サイクロイドの後半位相のビッグクランチの空間計量g_iiの縮小に現在はあるという理解をすべきである。

膨張宇宙論は、ハッブルの観測(1929)を説明する目的で観測に合わせて作られた宇宙論であるため、計量の理解に問題があった。特に計量の膨張がその逆数であるはずの 銀河間距離の膨張と解釈することは、最初に塵の漂う系という前提を覆している。銀河間隔は物差しである。宇宙論ではそれ以外に何の空間間隔を考えることができよう。 Gを宇宙のサイズというのは、物差しである銀河間隔からみた宇宙のサイズであり、そうした場合、Gの0である特異点は無限大宇宙への発散であり、Gの無限大への増大は 一点に落ち込む宇宙である。物差しのサイズ膨張が普通にいう宇宙膨張である。


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5. フリードマン解の座標系の選択は正当か

球対称で時間が半径: フリードマン膨張宇宙論の最初の基本的な座標系の選択において、任意の測地線PQを軸にする回転対称を前提にして、4次元直交座標系を 捨て、中心からの点対称座標系にして、半径を時間に、球面を3次元空間にした。 "相対論の意味"の"宇宙論的問題について"の式(2)は、 最初から時間計量を一定に、空間計量を時間の関数にする。これは宇宙を強く限定し、この仮定に蓋然性がない。

特殊相対論の慣性系の速度によるローレンツ変換は、4次元剛体法則であり、半径を不変量にする球体を考え、慣性系の速度によって球の半径方向を選択する。特殊相対論 のこの球の半径は不変量であり、時間は不変量でない。半径を時間軸というのは、宇宙のなかの物質の空間的速度が光速に比較して小さいという仮定によるだろう。 宇宙解にその仮定を置くことは、この球体の半径が、空間に一様に物質が四散する各物質の時間軸のようになる。それはニュートン力学による初速保存の膨張宇宙である。 ある瞬間に物質があらゆる速度で四散するのを4次元空間でみれば、それは時間を半径とする膨張する球面を3次元空間とする構造である。これは、既に、時空の構造に 膨張宇宙を使用している。

膨張宇宙の空間は球面でなく双曲面である。これを満たすか?: 一般相対論は、4次元計量剛体(不変量) の物理で、各時空点で多少の凸凹をもつ多様体である。それを均した宇宙の概略の空間は、局所局時の不変量の球は楕円体となって、 やはり時間は不変量でなく4次元座標のひとつであるべきである。時間を半径にして不変量を時間にすることは相対論と整合しない。最初にその式(2)を使用することは、 相対論を捨てた、宇宙的な "絶対時間" の採用を意味する。膨張宇宙が相対論と相性が悪い理由はそこにある。相対論を採用すれば、遠方には物質の四散の速度の光速制限 からくる宇宙の果てがあり相対論的な時間経過の低下がある。3次元空間のなかの物質の四散は、光速までの光円錐内部に限定される。宇宙的な同時刻の空間は球面でなく、 光円錐に暫近する双曲面である。空間(同時刻)を球面としたとき、その双曲面を含めるか? 含まないように思う。

不変量(測地線の時間)を半径にする4次元空間内の球面の3次元空間という構造は、不変量を半径にしていない。測地線の半径に沿う線は、測地線の経路でなく、測地系の 内部時間、測地系(局所慣性系)の時間であり、そこでは特殊相対論が成立する。しかし、それが成立するのは宇宙でなく局所である。これを宇宙解に最初から導入するのは、 時間計量が一定(ニュートン力学)で、絶対時間に対して絶対空間が膨張するということを先に前提しているようだ。各塵の測地系の時間は同時刻を共有しない。塵の同時刻は、 遠方の塵と同時刻でない。球面をなすのは共有しない空間であり、各塵の勝手な空間でしかない。

4次元宇宙を球対称に限定することは、あり得る全ての宇宙を表現するか: しない。

球対称の半径である半直線時間は、始まり又は終わりのある半無限時間であり、それを前提にし膨張又は収縮宇宙にする。普通の4次元直交座標系は、時間軸が空間軸と直交し、 しかも、時間軸に沿う時間が正のような下限0がない。球対称宇宙で、全方向の球体表面を空間とし、半径を時間とするから、0と負の時間をなくす、これは半分の宇宙である。 少なくとも直交座標系の原点以前の時空から球対称座標系へは 1:1 対応しない。負は正の時空に重なることを期待し、ビッグクランチ宇宙が時間限定宇宙という解釈と、 振動宇宙という解釈が並起する座標選択である。それは時間に偶関数の宇宙で、奇関数との組み合わせによる任意波形を喪失している。

球面の空間(有限無境界空間): 球面空間は、宇宙原理の一様性を満たす。球面空間はどの方向に進んでも同じ場所に逆側から戻る有限無境界である仮定が入り、開放空間を失う。 この有限無境界は、フリードマン宇宙の密度が大きいとき生じる時間限定宇宙と同程度にあり得、絶対的ではない。空間曲率が空間の位置に依らず、半径tと時間関数G(t)に よって決まる。


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6. アインシュタインの結論は何か

フリードマン解は、その逆数 1/G でなく G を解とした、計量の認識が違っているが、それは数学的な問題であり、彼が初めて宇宙項を使用せずに、計量を時間関数にした 解を得たのは確かである。定常を前提にしてはこのような膨張宇宙解は出せなかった。アインシュタインは、それ以前のド・ジッター解に対して、宇宙項を定常を得るため 以外に用いたことを批判していた。彼が彼の宇宙解を定常にするために余計な宇宙項を導入したのは、それより重大な "我が人生最大の誤り"とした。定常性と宇宙項なし との間の原理性の上下を見誤ったとした。しかし、我々にとって最終的な宇宙解は、彼の後悔のままではないと思う。私が理解し難いのは、点対称な局所時間を宇宙解に 採用した膨張宇宙論が、それ以外の宇宙解を消し去ることの妥当性である。局所の点対称時空以外の解、それを含めた一般的な解があるだろうと思うからである。