カラテカ-礼に始まり礼に終わる-
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カラテカってゲーム知ってる?
影の伝説よりは有名だよね?というわけで今回は、カラテカのお話し。
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このゲームと出会ったのもやはり、友達の家でだった。
カラテカはその当時でも古いゲームだったので、わざわざ金を出してまで買おうとは思わなかったからだ。
早速スイッチオン。
昔ゲーにありがちの、シンプルなタイトル画面。
良く見ると、製作年が入ってる。1984。
1984年製って事は、オレまだ小学校入ってないじゃん!
そうやって考えると、ずいぶん昔のソフトなんだな、カラテカって。
そしてゲーム開始。
場面は何の前振りも無く、崖のうえに主人公らしき人物が立っているところから始まる。
一歩でも後退しようものなら、確実に崖から転落できそうな場所に立っている主人公。
否応無く前に進むしかないので、とりあえず進む。すると、前方に怪しげな兜(マスク?)を被った奴がおもむろに立っている。
…て、敵かっ!?
相手は動く気配を見せないが、こちらの油断を誘う作戦かも知れない。
ここは少し遠距離から、牽制をかけておくか?「よっしゃ!正拳突きだ!ポチっとな(←ボタンを押す音byボヤッキー)」
ペコリ…。
…。
……お、お辞儀ぃ〜〜〜!?
なんでそこでお辞儀やね〜〜〜ん!!
ゲーム画面の中の主人公が正拳突きを繰り出す!という行動を期待したオレの熱い魂は一体どうなるんだ!
しかも、敵もお辞儀仕返してくれてるし…!
カラテ道に則ってるなー。
まあ、後から思えば、説明書を良く読まなかったオレがわるいのだが、どうやら主人公には、タダ立ってるだけの状態と、戦う時の”構え”ている状態があるのだ。
そして、立ってる状態でボタンを押すと、カラテ魂(スピリット)に則って、お辞儀をするのだ。
パンチやキック(カラテだから、”突き”や”蹴り”か)は”構え”ている状態でないと、繰り出せないのであった。このオレを翻弄するとは、奥深し!カラテカ!
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習得した突きと蹴りで出てくる敵を次々倒しながら前に進むと、変な建物の中に入る事になる。
建物に入ると、突然ある部屋に画面が変わり、壁際でアンニュイに座っている女性(タダの白い塊の様にもみえる)の様子が写る。
どうやら、このゲームの目的は、この憂鬱そうな女性を助け出す事らしい。(仮定)
だから主人公は、「ロビンマスク」ライクな、へんてこ兜をかぶった面々を、カラテを駆使してぶちのめしつつ、建物内に閉じ込められた女性のもとへ向かっているのであろう。で、画面真ん中の奴が、敵のボスだろうな、きっと。
ロビンマスクの強いバージョンらしい、ダースベイダーちっくな奴にえらそうに「行けっ!」ってな具合に命令してるんじゃないかと思う。
やはりここでもお辞儀している。
ダースベイダーがお辞儀してる図。
こりゃまためずらしいねぇ。
そして、手下に紫の胴着と、青の兜を装備させて、恥ずかしげもなく「行けっ!」の指示をだすボス。
ところで、なんで昔ゲーってこんなサイケデリックなカラーリングなんだろう?さらに後ろの壁には、怪しげなお面のオブジェがあるし。
趣味悪いとしか言いようが無い。こんな奴には死んでも師事したくないね。
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難易度が高すぎるのも、さすがは昔ゲー!
ボスキャラがめちゃくちゃ強いのは当たり前なのだが、途中に出てくる大型の鳥が凶悪に強い。
はっきり言ってボスより強い!
サイズのせいか、こちらの攻撃がめったに当たらない上に、その特徴を存分に生かした「ヒットアンドアウェイ」をしかけてくる鳥!
そしてやはり目を引くのが、ドラクエVの「ごくらくちょう」を彷彿とさせる色彩!
そして、ゲーム中最難関と思われるトラップ。
くぐろうとしたとたん、目にもとまらぬ速さで落ちてくる殺人柵!
ダッシュで突破を図っても、抜き足差し足で慎重にくぐっても、無常にも、落ちてくる殺人柵!当時のオレが、何度このトラップで断念した事か!
友達に攻略法を聞いても、
「カラテカ?…ああ、あの柵から先に進めないゲームだろ?」
という返答しか帰ってこないと言う始末。一時は、「クリア不能ゲーム」とのうわさも流れるほどの、ゲーム史上、最凶最難関の名を欲しいままにしたトラップである。(実際には突破方法があるのだが…)
でも、不思議なのが、なんでわざわざ柵の下を通るのか、という事だ。
いやオレだって、昔ゲーに対してこう言う事を言っては行けない、ということは知ってはいる。
でも、どう考えても、廊下の柵より手前(こっち側)に人が十分通れるだけのスペースがあるような気がしてならない。
そこを通れば良いだけなんじゃないのか?
まあ、カラテカをやった事ある人なら、誰でも考えるネタって奴だけどネッ!!
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カラテカやった事ある人なら誰でも考える、もうひとつのネタ。
そう、それはスタート直後の断崖絶壁…。
やっぱさ、こう言うシチュエーションだと、考えるよね。
前は海!後ろはハトヤの海底温泉!
気分はまさしく「Dive to Blue」!
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そして、話しはなぜかもう、ボスを倒した後のエンディングまで飛ぶ。
ボスを倒した所の奥の部屋に、先ほど出てきたアンニュイ嬢ちゃんがいる。
やっぱり先ほどの仮定は正しかったといえよう。
次々襲い来るマスクマンを蹴散らし、ついに囚われのヒロインの救出に成功!
めでたしめでたし。
…いや、まだ待て!
もしかしたら、こいつはヒロインと見せかけた、黒幕かも知れない。
さっきまでボスづらしてたヤツは、実はこいつの部下で実行隊長的なヤツなのかも。
妙に高慢な態度をとって部下に指図していたのも、中間管理職というストレスのたまる立場にあり、いらいらしていたのだ、と納得できる。
さらに、部下の胴着がいかに変な色であろうとも、直属の上司の決定に逆らう事は出来ず、しかも、その服を決定した張本人は奥の部屋でアンニュイっぽい役作りを決め込んでる、となれば、彼の心労がいかばかりであったかは、想像するに難くない。
というわけで、目の前に立っている女性が敵の黒幕に違いない!
巧妙に変装したつもりだろうが、オレの目はあざむけないぜ!
中段蹴りをくらえ!あたたたたたたた、ほあたぁ!!
アレ?キックが当たってるはずなのに、全然動じないぞ?
いや、ちがう!?こいつには当たり判定が無い!!つまり、この女性は敵の黒幕でも何でも無く、本物の囚われのヒロインだったのか!?
ってことは、助けに来てくれた!と思ってるヒロインに、蹴りの嵐を浴びせていたって事かい?
まずいぞー!
このままでは「愛する二人、別れる二人」に投書されて、「壮絶!囚われの妻に浴びせ蹴りを食らわす夫」とかいう、再現ドラマを作られてしまう!
そして、みのもんたに「あーた」という二人称で呼ばながら、”モザイク&変な声”で「横柄な態度の夫」の役を(ヤラセで)演じなければならないのか?
そんなのはイヤだ!
うーん、どーしよう!
そうだこう言う時は、とりあえず謝っておけ!
「ペコリ…。」
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カラテカ…。
カラテ道に生きる漢(おとこ)。
その精神は、
「礼に始まり、礼に終わる」
コレニテドロン
初出:1999/11/28
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