シュラバ

◆S君からの電話

友人の使徒沢君(以下S君、仮名)からの電話。

僕「もしもし」
S「おー、Masaton。今どこにいる?」
僕「家だよー」
S「なんだよー。学校来てないのかよー」
僕「だって、雨降ってるじゃん。 雨が降ったらお休みなんだ、オレは」
S「ハメハメハかお前は」
僕「ところで何よ?」
S「あーそうそう、いま学食にいるんだけどさー」
僕「うん」
S「なんか、すげー修羅場繰り広げてる奴らがいるんだよ!」
僕「まじで? 学食で? 晒し者じゃん」
S「男1人と女2人で、女の方は二人とも号泣してんだけどねー」
僕「結構すごい状況だね。何があったの?」
S「それがなんか、男が二股かけてたのがバレちゃったらしいんだわー」
僕「あちゃー、そりゃ確かに修羅場だー」
S「うん。 それがまたサイコーに面白くてよー」
僕「面白いってなにが?」
S「いや、その二股かけてた男ってのが、すげー不細工なんだわ!グフフッ!」
僕「うわー。お前って、トコトン人の不幸を喜ぶ奴だなー」
S「それに、男が言ってる言い訳がまたカッコよくてさー」
僕「なんて言ってたの?」
S「『オレはお前達の事二人とも愛してるんだよ!』ってさー」
僕「何だそれ! ドラマの見過ぎー!」
S「しかも言ってるヤツが不細工だからね!まるっきりギャグだよ!グフフ!」
僕「ヒドいこと言うなー、お前」
S「つーわけで、修羅場は現在も進行形なんだけどさ」
僕「今はどんな状況なのよ?」
S「今は三人とも無言だね。女の方は2人とも泣き止んで膠着状態」
僕「ああー、一番辛い時間帯だねー」
S「それが、今は今で、これまた面白い状況なんだわ。グフフ!」
僕「ん? 今度は何があったんだ?」
S「なんか、隣のテーブルに座ってるやつがいるんだけどさー」
僕「え! その修羅場の隣のテーブルに座ってる奴がいるの?」
S「うんそう。スゲー神経してるだろ? グフフ!」
僕「スゲー。オレなら、頼まれたってそんなとこ座らないけどね」
S「でもそいつ、隣の事なんかお構いなしに電話とかしてんだわ」
僕「うわ!超絶に場の空気が読めてないヤツだな」
S「だよねー。修羅場の3人組も、そいつが気になって話が進まないみたい」
僕「そりゃ気まずいよー」
S「あ!いま女が、電話してる奴のことスゲー睨み付けてるよ!グフフ!」
僕「マジで!」
S「あーでも、全く効果なし!笑いながら電話続けてるよーそいつ!」
僕「うわー。ある意味、勇者だな、そいつ!」
S「うん、まあ、その勇者ってのは、実はオレなんだけどな!」
僕「……は?」
S「だからー。修羅場の隣で電話してるのは、このオレだって言ったの!」
僕「……は?」
S「つまりー。オレの隣のテーブルに、修羅場の3人組が座ってんの!」
僕「……冗談だろ?」
S「ホントだよ!だから、今までの電話も全部隣に丸聞こえだったよ」
僕「アホかお前はー!」
S「突然どなるなよ。さっきまで面白がって聞いてたじゃん、Masaton!」
僕「だ、だまれー!オレの名前を出すんじゃなーい!」
S「いやーMasatonにも見せたかったよー。Masatonも見たかっただろ?」
僕「名前を連呼すなー!オレまで共犯にする気かー!」
S「なんだよー。今さら自分だけイイ子ちゃんになろうと思うなよなー、Masaton!グフフ!」
僕「違うー!断じて違うー!オレはやってない!オレは悪くなーい!」

コレニテドロン
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