500ml缶・1

◆体育会系

家から5分くらい歩いた所に自販機があって、僕、そこに良く、コーラを買いに行くんですよ。
いやー、ただの自販機ならもっと近くにいくらでもあるんですけどね。そこには、普段なかなか売ってない、500ml缶のコーラが売ってるんですわ。それ欲しさに、わざわざ5分歩きます。

この前、その自販機に500ml缶コーラを買いに行ったら、先客がいたんですわ。屈強そうな若者二人が、なんかもの凄い勢いで、ガラゴロッ、ガラゴロッとジュースを買ってるんですよ。それも、分担作業で。

一人はボタン押す係。手にもった小銭をどんどん投入しながら、一定のペースでボタンを押しつづける。
もう一人は缶を取り出す係。次々落ちてくる缶を神業のような速さで取り出しては、持参した袋の中に詰め込んでいる。

それがもう、二人の呼吸が完璧に合ってて。なんつーか、餅つき職人みたいな流麗な動きなんですわ。

たぶん、近くにある大学の体育寮に住んでる人たちなんだと思う。ホラ、体育会って上下関係厳しいじゃないですか。
「オイお前ら、ジュース買って来い!」「俺の分も買って来い!」「俺も!」「俺も!」…×20「よし!1分以内で買って来い!」「えー!無理っすよ!」「口ごたえするんじゃな〜い!腕立て100回!」「ヒー!」
(数分後)
「98、99、100!…終わりました!…ゼエゼエ」「よーし、じゃあ40秒で買って来い!」「え!!さっきより短くなってないですか!?」「口ごたえするんじゃな〜い!腕立て二百…!」「行って来ます!」
とか、そういうことから、このテクが生み出されたに違いないですよ。

なんて、アホな事を考えながら、二人の職人芸を眺めていた訳です。
そのときでした。ボタンを押してた方の人が、僕の存在に気付いたのです。

続く

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