電車内にて・前
◆おいおい
僕の使ってる路線の沿線には、小学校がたくさんあって。おかげで小学生が結構電車に乗ってくるんですよ。
しかし、アレですね。小学校に電車で通学するなんて、なんか、かっこいいですね。僕なんか小学校低学年の頃には、まだ一人で電車に乗れなかったしね。
大体、小学校は徒歩でしたよ、徒歩。 スクールゾーン。電車に乗って学校に行ったことなんて無いです。代わりに“道路の白線の上”に乗って学校に行ったことなら、何度も有ります。
で、ある日、小学校低学年くらいと思われる女の子3人組が乗ってきたんですわ。おしゃべりしながら乗ってきたモンで、車内の音圧は急上昇。たぶん、下校途中なのだと思われ。
その会話の内容がメチャメチャ面白かった。なにやら、「自分がいかにモテるか」を自慢しあってるんですよ。
「○○君が私の事、好きだって言ってた!」とか、「私も△△君に好きだって言われたもん!」とか、「私だって××君に…!」とか言い争ってて、なんか僕は「小さくても女なんだなぁ」と妙に感心してしまった。周囲の客も、困ったような微笑ましいような様子でその言い争いを見守ってた。
…しかしこの後、この小学生3人組が、車内を阿鼻叫喚の地獄絵図に変えようとは、誰が想像できたであろうか。
言い争いもエスカレートして、いよいよテンションも最高潮に達しようとしたその時!
「私、○○先生に好きだって言われた事あるもん!」
えッ!? それまで車内に流れていたまどろんだ雰囲気が、大きく色を変えはじめた。
「私だって、○○先生にギュッって抱っこされた事あるもん!」
ええッ!? 車内の気温が一気に低下していくのが分かる。夏だというのに、寒さすら感じる!
「私なんか、○○先生にチューしてもらった事あるもん!!」
おいおい!! 言い知れぬ焦燥感が車内を支配していく。周りには寝たフリを決め込む人が続出。寝たらアカン!死んでまうぞ!
続く
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