北の国から

◆北海道はでっかいどう

北海道の方に進学した高校の頃の友達が久々に地元に帰ってくるということで、飲み会があったんですよ。そしたらやっぱ、彼の北海道ライフに話題は集中するじゃないですか。

少年のように瞳を輝かせながら、彼はこう言いました。
「オレ、やっと牧場にいる30頭の羊の区別がつくようになったよ」

え? なんですか、それ? キミはムツゴロウさんですか? それってアノ、下界に暮らす僕らにはイマイチ伝わってこないって言うか。比較するものが無いじゃないですか。例えば「オレは5頭見分けるのが限界なのに、30頭ってすごいな」とか、そういうレべルじゃないから。つーか多分、2頭でもムリだから。

ホロ酔い加減で頬を赤らめ、彼は熱弁しはじめました。
「やっぱ北海道は食べ物が美味しいよ。向こうに慣れたらこっちの料理は食べられないよ」

え? なんていったんですか、今? じゃあ、キミが今猛然と食ってる和民のコーンバターはなんですか? コーンもバターも北海道って名産地じゃないんですか? しかも、お代わりまでしたんじゃないんですか?

すっかり出来上がった様子で、彼は捲くし立てました。
「大自然に囲まれた山奥に湧き出る秘境の温泉に行ったら、野犬に襲われそうになったよ」

え、だれですか、キミは? C.W.ニコルさんですか? つーか、それは北海道の“良い所”なのですか? 別に“身近にある意外なものを使って超簡単に野犬を追っ払う裏技!(伊東家)”なんて教えてくれなくて良いから。

そんな彼に、北海道のダメな所を聞いてみました。
「う〜ん、交通事故が多い事かな?」

あーなるほど、確かに北海道って交通事故多いって聞くよね。ひき逃げ事故も多いんだって。実際、ひき逃げ事故の瞬間を目の前で見た事もあるんだって。それを目撃した夜は、怖くて気持ち悪くて眠れなかったんだって。そいつも事故りそうになった事あったんだって。

・・・鹿と。

いや、鹿らしいんですよ、事故る対象って言うのが。人じゃなくて。
「鹿にも自動車保険が適用されるようになりさえすれば、北海道は完璧なんだけどなぁ・・・」
保険会社の皆さん。北海道は、“鹿保険”があれば完璧だそうです。・・・あくまで彼の意見ですが。

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