-一億総サザエさん化計画-


一億総サザエさん化計画 -第二回-

今回は、エンディングテーマについて。

サザエさんのエンディングと聞くと、誰もがラストシーンで磯野家全員がかけこみ、豪快にゆれる家を思い浮かべるのではないか?

しかし今回は、その点を追及しないので残念でした。
何でかっていうと、ほかの所でそのネタを使うから。

 

*   *   *

 

「サザエさんのエンディングテーマには、トラブルが絶えないのではないか?」

オレがそういう推論を持つに至ったのは、さして不自然なことではなかったように思う。
話は少しばかり過去へとさかのぼる。

オレは、毎週日曜の恒例である「サザエさん」を見ていた。
相変わらずカツオの新しい声にはなじめなかったが、いつも変わらないマンネリ化した話の内容と、オチまで想像のつく使い回しのシナリオは、オレを満足させ且つ安心させるに充分であった。

めくるめく時間(?)はあっという間に過ぎ去り、番組は早くもエンディングに差し掛かっていた。

オレはここである事に気がついた。
毎回オープニングのときは、TVに合わせて一緒に主題歌を歌っているオレだが(ウソ)、エンディングの時は、画面に流れるアニメに気を取られてしまうので、一緒に歌った事が無かったのだ。

エンディングの歌の時に、実際の4コマ漫画のような短い寸劇が流れているのを思い出していただけるだろうか。(下の図を参照)

 

<エンディングのとき流れるアニメの一例 の図>

(※)

 

こんなアニメーションが流れていては、たしかに気を取られても仕方がない!

そう思ったオレは、今回こそはアニメではなく、歌のみに集中して鑑賞しよう!そして、次回からはアニメを見ながら歌えるように、歌詞をメモって練習しよう!と決心した。

紙とペンを用意するオレ。
しかし、決心のみで上のようなアニメの誘惑に到底勝てるとは思えなかったオレは、確実に歌だけに集中するために、アイマスクを装着した。

これで、歌を覚えられる…。

………。

アイマスクをしたら、歌詞が書けないやんけ!と気づいた君!
なかなか見所があるぞ!!
でも、僕らは毎日訓練しているからできるんだ!
よいこのみんなは真似するな!!
後○園遊園地で僕と握手!!

 

*   *   *

 

果たして、紙とペンを用意する必要は無かった。
なぜなら、歌詞があまりにも短く、メモを取る必要など無かったからだ。

 

大きな空を眺めたら

白い雲が飛んでいた

今日は楽しい今日は楽しいハイキング

ほらほらみんなの声がする

サザエさんサザエさん

サザエさんは愉快だな

 

オレはあまりの戦慄におののいた。
要約すれば3行だ。

空に雲。
今日は登山。
サザエは愉快。

おいおいおい! ちょっとラクし過ぎなんじゃないのぉ?作詞家ぁ!?

片や、1分強の曲を真面目に書いた作曲家との労力が違いすぎるんじゃないのぉー!? オレの脳裏をかすめる光景。

 

*   *   *

 

#:おめでとーございます!!
  いつもより余計にまわしております!

*:これだけやってギャラはおんなじ!

…楽屋裏…

*:ふう、ほんとによ、これだけやって、同じギャラかよ…!
  ええ!いい身分だな!!てめえはしゃべってるだけだもんなぁ。あぁ!

#:なんだと、このやろう!傘回すしか芸がねえくせしやがって!
  俺のトークでどれだけ助かってんと思ってるんだぁ!ああこら!

*:なに抜かしてやがんだ!みんな俺の芸を見に着てんだぞ!このハゲっ!

#:ひっ…、人が気にしてることをっ…!新芸もねえくせしやがって!
  堺正明の隠し芸を見ならえってんだ!

オラオラァ、無駄無駄ァ、ゴゴゴゴゴ……

…(以下略)…

 

*   *   *

 

サザエさんのエンディングテーマは、印税に関するトラブルが生じるのは必至である。

こうして人々にいがみ合いを生じさせ、摩擦を引き起こしているのは、実は全て政府の陰謀であるに違いない!

 

 

結論

「これは対人関係で日常に疲弊しきった人間を無気力化、無抵抗化させ、ただ納税するだけの従順な羊へと洗脳せんとする恐ろしい計画なのである!(断定)」

 

 

コレニテドロン

 

※ドデビバー

4コマ目の波平は Toshi-B`s image Factory の「劇画で行こう!サザエさん編」より加工させていただきました。
画像の使用に快諾いただいたToshi-B様に、この場を借りて感謝を申し上げます。


第三回

初出:1999/05/11
修正:2000/10/01


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