-NHK教育放送-


それいけノンタック

NHK教育放送の児童向け番組って、すごくセンスあると思うよ。
たとえば「それいけノンタック」

 

*   *   *

 

ノンタックって知ってるよね?
しらない?

妙に頭でっかちな人形(ノンタック)が、「おでこのメガネでデコデコデコリーン」とかいうと、「ど根性ガエル」のヒロシみたいにおでこにかけたメガネが落ちてきて、いろんなモノと喋れるようになるってヤツなんだけど。

 

*   *   *

 

「手紙って、どうやってみんなの家に届いているのかな?そうだ郵便ポストさんに聞いてみよう!
おでこのメガネで、デコデコデコリーン!」

ほわほわほわほわ…

「(間延びした声で)やぁ〜、のんたっく〜」

「郵便ポストさん、あのね、聞きたいことがあるんだけど…」

 

子供の頃は何の疑いもなく見てたけど、あれってオカシイよね?
だって、想像して見ろよ。

道を歩いていたら、郵便ポストの前にぐるぐるメガネをかけた頭のでかい坊やいるだろ。
その子供が、なにやら必死に郵便ポストとか電信柱とかに語りかけてるわけよ。

「郵便ポストさん、あのね、聞きたいことがあるんだけど…。」

思わず歩道を大きくよけて歩いちゃうオレ
通りすぎた後も

「そうやって手紙は届いていたのか!ありがとう郵便箱さん!」

とか、納得顔でのたまいつづける少年。

おいおい、会話成立してるよ…!

 

*   *   *

 

大体、主題歌からしておかしい。

「僕の隣はだーれ?隣の隣はだーれ?」

という問いかけには、自分の両隣にいる2人と、そのさらに隣(隣の隣)の2人、つまり合計4人しか返事が無いはずだ。

しかし、実際の主題歌中では「はい、はい、はい、ははーい、はい」などと、5.5回(「ははーい」を1.5回とカウント)もの返事。
現実の認識力が相当低いとしか思えない。

もっとも、無機物が動き出す幻覚が見えるというノンタックは、すでに薬物中毒に陥ってるに違いない。

そして、それらの無機物の声が聞こえるという幻聴も重なっている事から、薬物の及ぼしている精神的障害はかなりの重度だとおもう?

あるいは、そのような妄想に取りつかれるのは、「あなたは、メガネを通して物質と会話ができる選ばれた人間なのです」とかいう洗脳を受けてたのかも。

どっちにしても、この事はすべてノンタックの保護者らしい「おばあさん」の差し金だろう。
つまり、「おばあさん」は世界征服をたくらむ秘密結社(※)のボスか、怪しげなカルト教団の教祖なのね。

そして、いたいけな少年であったノンタックをヤク漬けにし、両腕に針金をつけたり、下唇しか動かなくなるような「ギミック改造」を施したわけ。

さらに、「このメガネをかけると、世界が広がりをもち、全ての物質との意思伝達が可能になります」とかなんとか適当な事をいって、法外なほど高額なメガネを売りつけているに違いない!

最高ですかー!とか言いながら。

 

*   *   *

なんと、「それゆけノンタック」の対象学年は「小学校1年」

右も左も分からないようなガキどもに、現代を取り巻く数々の社会問題を、哀れな少年の姿に重ね、現実の厳しさを叩きつける。
まさに「キング・オブ・教育番組」!

やっぱり、NHK教育ってセンスあるよなー。

 

 

コレニテドロン

 

※秘密結社

子供向け人気特撮ヒーロー物「仮面ライダー」において、その存在が明るみにでた団体「ショッカー」や、それに類似する団体の総称。
その大半が世界侵略を旗印にあげている割には、活動の中心が極東の小国“ニッポン”に限定されているのが珠に傷。


ワン・ツー・ドン

初出:1999/05/05
修正:2000/10/01


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