2001年 9月の有意義な日々

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9月21日(金)    

 二巻の反響にドキドキしながらも、とりあえず三巻を書き進めなければならない今日この頃。とにかく週明けまでにプロローグを書き上げるのが目標。本来ならば書かない筈だったエピソードが、三分冊になったおかげで書けるようになったのは(怪我の功名とはいえ)少し嬉しいかも。


●昨日は新宿でカラミティナイトのイラストを書いて下さっている西村博之さんにお会いして来ました。まずは原稿が遅れてご迷惑をおかけしてしまったことを謝罪し、その後は西村さんのお仕事について色々とお話を伺ったり。イラストレーターさんの側から小説の挿し絵を書くことについてのお話をお伺いしたのは初めてだったので、色々と参考になりました。どうもありがとうございました、これからもよろしくお願いします、今度こそ原稿が揃った状態でイラストが発注できるように致しますので……>西村さん

●二巻が発売されたことで前巻もちらほら売れ出したのか、少し前までes!booksで「在庫あり」だった「カラミティナイト」が、お取り寄せになっていました。一般の書店ではもうほとんど一巻が売ってない状態なので、二巻が出たとはいえ、新規読者はなかなかつかないだろうなあ……と、少し気になっていた状況だけに、嬉しさもひとしおです。買って下さった皆様、本当にありがとうございました。自分の本が売れてるという実感を得られると、やはり励みになりますです。


 それでは、そんな喜びを噛みしめつつ、また原稿書きに戻りまする〜。



9月16日(日)    

 今日は都内の大型書店を巡り歩いて、「カラミティナイトII」の売れ行きをチェックしてみることに。本の山が順調に減っていますように……と祈りつつ、秋葉原→神保町→渋谷というルートで行って参りました。
 さて、最初に立ち寄った秋葉原の書泉ブックタワーではそこそこ減っていた様子だったのですが、かといってホッと一安心出来るほど減っているようにも見えないという感じでして、何とも微妙な気分になったりしたんですが、とりあえず売れてない訳でもなさそうなので、気を取り直して次の店、秋葉原デパートの三階へ。嬉しいことにこの店ではわりと売れているようで、十冊くらい積まれている平積みのスペースで、残り三冊にまで減っていました。あんまり嬉しかったので、しばらくその光景をしみじみと眺めてしまったり。

 と、その時でした。

 私が見ている目の前で、一人のお客さんが私の本を手に取ったじゃありませんか! うわ、マジで!? それ! それ書いたの、オレ!――などと、お客さんの様子を背後からこっそり窺いながらも内心むちゃくちゃ焦りまくりのワタクシ、いきなり どきどきタイムに突入です。は、果たして買ってもらえるんでしょうか……?

 固唾を飲んで見守る私の目の前で、そのお客さんはまず、表紙見返しに記載されている私のプロフィールに目を通しました。
(私の内心:あ! そのプロフィールには誤植が! 私は8月生まれじゃなくて7月生まれなんです!)

 次に、そのお客さんはキャラクター紹介のページを開きました。
(私の内心:あ! そこを書いたのは担当編集氏です! ちゃんと読まれてますよ!>担当氏)

 次に、そのお客さんは裏表紙に書かれた二巻のあらすじをチェックしていました。
(私の内心:あ! そこにはいきなり「私は……人殺しの、怪物なんだ」などというヒロインの激ウツなセリフが記載されてますけど、どうか引かないで下さい!

 次に、そのお客さんはページをぱらぱらとめくって挿し絵をチェックし始めました。
(私の内心:あ! あんまりイラストを見るとネタバレになっちゃうかも……! でも、今回も西村さんのイラストはいいですよね!? ね!?)

 次に、そのお客さんは手に取っていた本を平台に戻しました。
(この時の内心はあまりにショックが大きすぎて言語化することが出来ません

 次に、そのお客さんはさっきまで手にとっていた本ではなくて、その下にあった本を抜き出してレジの方へ持っていかれました。
(私の内心:あ! 一番上に積まれた本を買わない主義の人だったのか! 潔癖性なのですね! うわー! お買い上げありがとうございます! ありがとうございます……!)

 ……という感じで、思いがけず自分の本が売れるところを目撃してしまいました。本日午後二時半頃、秋葉原デパートで拙著をお買い上げ頂いた、ノースリーブの黒のシャツを着ていた方、あの時近くにいた不審なヤツがその本の作者です。

 そんな体験を挟みつつ、その後もあちこちの書店を見て回ったんですが、さすがに一巻は刊行から一年が経過しているせいか、店頭からはほとんど姿を消してますね……。ざっと見た感じではいまのところ二巻きはそこそこ売れているみたいなんですが、一巻を読んでないと理解出来ない内容なだけに、最終的な売り上げでは苦戦するかも……。筆が遅いっていうのは、そういう面でも自分の首を絞めることになるんだなぁ……。あちこちの書店を見て歩きながら、その事を痛感させられました。

 そう考えると、せめて三巻は二巻が店頭に置かれているうちに出せるようにしないといけないですね。
 頑張って続きを書かないと。



9月14日(金)    

 世間はアメリカの同時多発テロの話題でもちきりですが、個人的には自分の本が店頭に並んだことの方がよっぽど重要なことだったりする今日この頃。
 というか、日本みたいなアメリカべったりの国の市民にまで大きな動揺を与えたと知ったらテロの首謀者は大喜びに違いないと思うのです。首謀者が何を企んでいるにせよ、目的のひとつには市民が動揺し、嘆き、混乱することを狙ってる部分が含まれているに違いありません。だから一般人を巻き込んで、だから多くの人々にとって象徴的な建物を破壊したのだと、私は思います。我々が「悔しい」「哀しい」という類の言葉を発することを、喜んでるヤツが、いるんです。

 そんな思惑に、わざわざ乗ってやるのは悔しいですし、幸いにしてこの事件はまだ、私の日常には大きな影響を及ぼしていないので、私は私の日常を普通に過ごして行こうと思ってます。

 いや、むしろこんな時だからこそ「エイケン」(秋田書店/松山せいじ)などを購入したりすることでテロに屈しない&動じない精神をアピールしていきたいと思います!……本当は、何だかこの漫画、入手困難らしいので「ネタになるかなー」とか思って冗談半分に買ったんですよ。だけど、まさかこれほどまでとは思いませんでした。>エイケン 絵柄を抜きにしても、物語自体がかなりキツイというか、いったい何を楽しみに読めばいい漫画なんだこれ?って感じです……。これに萌える人、いるの……?


 ……印税が入ったら、義捐金送ろうと思ってます。とりあえず、それが私に出来る精一杯の行動だと思いますし、行動の伴わない発言を積み重ねて何かが出来ると思うほど、無邪気でもないですから。



9月11日(火)    

 日曜からずっと台風で凄い雨と風。通勤通学という単語と無縁の生活であることの喜びを噛みしめる数少ない瞬間。


●角川春樹事務所から「カラミティナイトII」が届きました。うわー、やっぱり実物だとイラストの美しさが段違いです。西村博之さま、本当にありがとうございました。ちなみに、当HPをご覧の皆様は、西村さんのトップページに飾られている画像のうち、2番の女の子を要チェックかも。
 ともあれ、二巻を手に取りながら、「本当に本になってるよ……」などとしみじみ思ってしまったり。

●あ、そういえば、7月からハルキ文庫の「新世紀SF」シリーズはリニューアル創刊されていて表紙デザインが変更されてるんですよね。それに併せて「カラミティナイト」の一巻も新しいカバー(注:イラスト自体はそのままで、デザインのみ変更)で店頭に並ぶような話があった気が……。そこのところを担当氏に電話して確認してみましょう。

わたくし:「というわけで お電話したんですけど、日記に『一巻が新しいカバーで出ます』って書いちゃって大丈夫なんでしょうか?」
担当氏:「うーん、それなんですけど、出す方向で話を 進めているところなんで、『出ます』じゃなくて『出るかも』くらいの感じでお願いできますか?」
わたくし:「分かりましたー、じゃあそんな感じで書いておきますー」

 という訳で、「カラミティナイト」一巻が、新しいカバーで出るかも!


 ……出なかった場合には、あれやこれやとその事情を想像してお楽しみ下さい。<ヤメロ



9月8日(土)    

ひかわきょうこ ファンの皆さん、こんばんは!

 私は高瀬彼方っていいます! 講談社ノベルスやハルキ文庫で小説を書いたりしてます! ひかわきょうこさんの漫画だと、「荒野の天使ども」「時間を止めて待っていて」なんかが好きです! ヒロインのミリアム・トッドが可愛いんですよね〜! 私の中では聖戦士ダンバインに登場したトッド・ギネスと並んで「トッドと言えばこのキャラ」的な存在です!

 ……あ、いえ、別に妙な電波を受信してるわけじゃありません、心配しないで下さい、まだ正気です。クスリも必要ありません。いまのところは。たぶん。
 えーと、じゃあ何で唐突にひかわきょうこ作品の話題を持ち出したかと言いますと――ていうか以前にも似たような日記を書いてるんでカンのいい人にはバレバレだとは思いますが、実はいま、インフォシークでひかわきょうこの代表作である「彼方から」を検索すると、私のサイトが一番上に表示されるんですね。熱心なファンサイトが沢山ある中で、よりによって全然関係ない私のHPがトップに。
 正直な話、アクセス解析をチェックしてみると週に1〜2名は必ず「彼方から」ファンの方々がいらっしゃるようなんで、トップに「当HPはひかわきょうこファンサイトではありません」と記載するかどうか本気で検討中。あ、でもそれだと、「ひかわきょうこ」でもヒットするようになっちゃうのか、うーむ……。

 まあ、そんな訳で当HPには「彼方から」関連情報はないんですが、せっかくなのでGoogle「ひかわきょうこ ファンサイト」という組み合わせで検索をかけた結果をリンクしておきますね。どうか 参考になさって下さい。>ひかわきょうこファンの皆様

 しかし、「彼方から」って随分昔に少しだけ読んだことがあるんですが、この日記を書きながら情報を集めているうちに、まだ未完らしいと知って軽いショックを受けております。ノリコとイザークは結局どうなるんでしょうか……。



9月4日(火)    修羅場の思い出

 先月も下旬に差し掛かった頃 というかズバリ先週、私は9/14日刊行の「カラミティナイトII」の校正作業をしておりました。「それっていったいどういう進行スケジュールだよ?」という疑問を抱かれる方々もいらっしゃるかもしれませんが、それを説明しようとすると鬱になりそうなので取り敢えずいまは触れないでおいて下さい。すみませんすみませんすみません……。>関係各位

 いきなり脱線してしまいましたが、とにかく先月、私は校正作業をしておりました。
 一応、念のために説明しておきますと、校正作業というのは原稿の誤字・脱字や、作中での矛盾や分かりづらい箇所などを修正する作業のことです。校正担当の方に私の原稿を入念にチェックをして頂いた上で、私が指摘されたミスを修正し、それを再度校正の方に読んで頂き、それをまた私がチェックする――という作業を経て、原稿になるべくミスのない状態で出版できるようにする訳なんですね。

 そして、私はこの校正作業が割と好きだったりします。

 何と申しますか、「これが終われば本になる」という達成感と、本になる前にミスを指摘してもらえる事で感じる安心感が、修羅場でささくれだった神経をちょっぴり癒してくれるような気がするんですよね。特に今回はアホなミスを連発しておりまして、「もしもこのミスに気づかないまま本が印刷されてたら……」と思うとマジで背筋が凍るというか、酒を飲まずにはいられないという感じなだけに、校正を担当して下さった方には感謝の気持ちで一杯です。脱力必至なポカミスの数々が、読者の目に触れる前に修正できてよかった……。こんな状態の原稿を見られたら、どんなに熱烈な読者にだって幻滅されちゃいますよ。さ、今の内に、修正修正――


担当氏:「あ、ところで高瀬さん」
わたくし:「はい?」
担当氏:「この『カラミティII』の校正を担当して下さった方なんですけどね、今回の校正を依頼される前から前巻を読んでいて、続編を楽しみにして下さっていたそうです
わたくし:「えっ!?」
担当氏:「2巻の校正を依頼したら『わー、続編出るんですかー』って、喜んで引き受けて下さいました」
わたくし:「そ、そうですか……」


 ……ということは……。
 私は前巻の読者から数々の誤字を指摘された挙げ句に、「出席番号順に並んでる筈の場面で、優子と智美の席順が間違ってます」、「雪村が事件の起きた日を間違えてます」、「『三十人衆』の面々が仲間の数を間違えてます」などといった作者のくせに間違えんなって感じのミスまで指摘されたのですか……。そうですか……。

 これからはミスをしないようにしようと、ひざをかかえて おほしさまをみあげながらおもいました。

 注:指摘されたミスは修正しましたので、店頭で買われる皆様はご安心を……。


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