「ウメ」の薬効解説のページ
ウメ
- Prunus mume Sieb.et Zucc(Rosaceae) -
生薬名:  烏梅、白梅花
ウメ

中国原産の落葉小高木で、かなり古い時代に日本に渡来しています。
未熟果実(青梅)を燻製にしたものが「烏梅」で、漢方では解熱・鎮咳・去痰・止瀉・駆虫の効果があるとされています。
強い酸味のあるコハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などを含み、未熟種子にはアミグダリンを含みます。
ベニバナの色素抽出や媒染剤として利用されました。
和名は、そもそも漢薬「烏梅」の中国語の発音「wumei」に由来すると思われます。
古来より食に関して、「塩梅(アンバイ)」という言葉がありますが、料理の中で大切な役割を持つ塩と組み合わされる梅は「梅は媒であって、衆味を媒合する」ものとしてとらえられ、五臓の働きを調整・融和する薬として理解されます。
醍醐天皇の頃、右大臣であった菅原道真が大宰府に流される時、自庭の紅梅をおしんで「東風吹かば、匂い起こせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」と詠んだのは有名です。
その後、庭の梅が大宰府に飛んで根付いたという「飛梅伝説」が生まれ、以後ウメは天満宮や天神様の象徴となりました。
梅干の歴史は古く、平安時代には「息切れ」の薬として貴重品扱いされました。
その後、戦場用の食品や解毒剤として重要な役割を果たし、梅干が庶民のものとなったのは江戸時代に入ってからのです。


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