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江古田文学 第68号
The EKODA BUNGAKU Vol.28 No.1 2008 Summer


特集 長澤延子

─夭折の天才詩人─

平成20年8月15日発行
編集人 中村文昭
編集発行 日本大学藝術学部 江古田文学会
発売 星雲社
定価980円+税・A5判370頁


◎表紙画 「鏡の中の延子像」中村文昭 


-中村文昭の編集後記-

 梅雨が明け、猛暑の夏が幕をあけた。中国四川省の大地震と大災害に息をのんで間もなく、日本でも岩手宮城内陸大地震が起こってしまった。最近は、当たり前のように人々は口にしている──地球温暖化、CO2問題、国内外を問わない為す術のない格差社会の肥大。果ては秋葉原無差別殺人事件の無残な若者像や家庭崩壊の惨劇といった暗いニュースが後を絶たない…。
 今回の長澤延子特集は、女性詩人研究家クリハラ冉さんの長年の情熱の賜物で、多くの心ある人々に支えられて発刊の日を迎えた。また、これは江古田という〈地霊〉が組ませてくれたのではないかと想っている。というのは、今は故人である日芸放送学科教授長澤秀郎氏は延子の弟さんで、私が文芸学科資料室で手に取った長澤延子遺稿集『海』との出会いを陰ながら運命の手配してくれたのではないか?と想っている。(中村)




●江古田文学第68号目次
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 特集 長澤延子──夭折の天才詩人──

  《長澤延子・肉筆原稿》「寄港日誌」
  《特別講座》佐々木安美「夭折の天才詩人 長澤延子の詩の魅力」
        佐々木安美セレクション・長澤延子詩集『海』より
  《学生による長澤小論集》
   勝部真理子、梅谷孝之、谷島京子、高橋正人、
   福島健人、久野茜、岡島早希、鈴木麻里
  《批評》
   新井豊美「長澤延子について」
   石川逸子「長澤延子の詩に寄せて」
   井坂洋子「苦い算段」
   鯉渕史子「長澤延子と吉原幸子 ─肉体と〈死〉」
   高橋文「生きるために死ぬということ──誇らしげに白旗を振る詩人 長澤延子──」
   大串三和子「私のノコさん」
   城戸朱理「生と死の論理──ある秘蹟」
   チョルモン「イデオロギーと詩人─長澤延子を例として─」
   岸田将幸「確実な肉体、その短命の罪について」
   松下育男「詩にとっての読者とは何か─長澤延子を読みながら」
   新井淳一「長澤延子の生まれた桐生 その風土と私たちのかかわり」
  《インタビュー》
    I 延子のこと──延子の兄・長澤弘夫さんに聞く
   II ノコさんの“遺書”──大串三和子さんに聞く
  《再録》
   埴谷雄高 「長澤延子遺稿集『海』によせて」
   村野四郎 「最近の詩集から──衝撃的な二少女の遺稿」
   真壁仁 「長澤延子──歴史への信頼と厭世」
   黒田喜夫「奪い返すべき〈詩〉と〈死〉─長澤延子遺稿集『海』に」
   松永伍一「海は凍っていた」
   日沼倫太郎「孤独の流星の詩学」
   大島渚「私たちは天使じゃない──自殺と「表現の魔」について」
  《座談会》
   中村文昭の文学空間 女性見者 長澤延子の詩 II
   中村文昭の文学空間 女性見者 長澤延子の詩 I
  《エピローグ》
   福島泰樹「ランルの旗──詩人長澤延子へ──」
   手塚敦史「アモルファスへの夢」
   中村文昭「詠唱 アリアii」

  長澤延子略年譜・アルバム
  長澤延子資料

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《豹の目》五井輝 追悼──鋼鉄の『神
カムイ居』 小笠原隆夫

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中村文昭の詩空間 自画像集・肖像画集・変奏曲集等
 田村一行、高橋文、佐々木陽介、うちのりみ、
 チョルモン、林花子、中右史子

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〈小特集〉走る、ものがたり
 この子らにイラッときたらご用心 川島誠『800』 川島ドリアン
 再生へのエール 川島誠『もういちど走り出そう』 谷村順一
 走りぬけた先には… 羽海野チカ『ハチミツとクローバー』羽田圭介『走ル』伊藤氏貴

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文化考現論(5)─メディア・リテラシーの刃を研ぐ─阿久澤騰
検証・宮沢賢治文献(23)山下聖美
〈連句〉時雨忌脇起三十六韻『しぐれよ』鮎 捌
〈連句への誘い〉承け継ぎ承け渡す 万波鮎

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〈若き世代の「掌編小説」集 vol.7〉「夢」
  木堂椎「確か去年の8月下旬」、白岩魚砂漠「魚の見る夢」
  齋藤由貴「ゆめのしま」、川辺さやか「無花果」、川上静香「揺籃」
  儀保佑輔「どでかい夢」、黒川寒咲「たまゆらの花」

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