江古田文学 第67号
The EKODA BUNGAKU Vol.27 No.3 2008 Winter
特集
名無しの才能
ニコニコ動画に集うクリエイティブ

平成20年3月15日発行
編集人 中村文昭
編集発行 日本大学藝術学部 江古田文学会
発売 星雲社
定価980円+税・A5判280頁



「中村文昭の詩空間」連載中!


田村一行・高橋文・高橋侑里・佐々木陽介・
内野里美・チョルモン・中右史子
の詩作品がご覧になれます。

クリハラ冉「白いゆるしの詩──
日塔貞子遺稿詩集『私の墓は』」も掲載。

桜桃花会(代表・奥平玲子の手で
50年ぶりに
再版された詩人・日塔貞子の
遺稿詩集
私の墓はにまつわる論考です。

このほか、チョルモン「言語学者ソシュールと文学者吉本隆明から
考える──言語・歌・詩・個人について」などなど、
えこし会の面々も誌面を賑わせています!


◎表紙画 中村文昭 


-中村文昭の編集後記-

農薬入り中国餃子のことが話題になっている。なかでも日本人として驚いたことは我が国の食糧自給率の低さ。金さえあれば食糧は自由に手に入るといった安易な考えが通用しない今の時代において深く考えさせられる。農薬入り餃子の問題は複雑怪奇な面を多々含んでいる。国と国のあり方が一筋縄でいかないということ。中国人労働者の劣悪な環境、日本の資本家たちが安易に安い賃金を求めて海外に進出しているという現状(今注目されているのはベトナムの安い労働力だという…)。裏返せば日本の最大の問題の一つであるワーキングプアの肥大はこの問題と深く関係していることをあらためて思い知った気がする。また最先端のイージス艦が小さな漁船を傍若無人に真っ二つにした。この事件には国家=国民のためという安易な図式を信じられないことを皆が憤りをもって感じた。つらつら想うことは新世紀に入って人類は一つの理想を持てなくなっているという深い失望感だ。さて、「江古田文学」では、この地・江古田と深い因縁がある金子みすゞ、左川ちかの特集を組んできましたが、次号は、やはり江古田の地霊と縁をもつ夭折の天才詩人・長澤延子特集を組みます。(中村)


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