洗浄剤が酸性でなければならない訳ではない

人間の皮膚の表面は弱酸性ですが、弱アルカリ性の石けんで洗っても、洗浄後には石けん成分を洗い流すので問題はありません。 健康な肌には弱酸性にもどる力があるのです。

皮膚を洗う場合には、ホコリや汚れ、細菌などの外部から付着した汚れと、分泌物、汗や脂肪分など内部からの汚れの両方を落とすことが大切です。
皮膚表面の皮脂や汗などは酸性の物質ですから、石けんで洗うと、石けんは界面活性作用を失ってしまいます。
ですから、一般の化粧石けんや刺激の少ない石けんは、皮脂や角質を必要以上に取り去ることがありません。

しかし、弱酸性や中性の洗浄剤の場合、皮膚表面で界面活性作用を失うことなく残ってしまい、皮膚に影響を与える可能性があります。

皮膚の表面(角質層の表面)はpH5.5〜6.2の弱酸性です。
弱アルカリの石けんで洗った後でも、水で洗い流すと、皮膚表面はほぼ中性近くまで戻ります。
健康な肌であれば、その後、徐々に皮脂などが分泌されて弱酸性に戻っていきます。

乾燥肌や皮脂分泌の弱い肌の場合は、石けんを洗い流した後に弱酸性の化粧水を使うとよいでしょう。(ただし、炎症をおこしている皮膚には、石けんをはじめ、洗浄剤の使用には注意が必要です。)

石けんの表示の見方(身体用)

人間の体を洗うための洗浄剤である、シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ、お風呂で使う化粧石けん、歯磨き剤などは薬事法という法律で規制されていて、厚生労働省が管轄しています。
これらのものについては、以前は全ての成分を表示する義務はなく、 アレルギーなどの皮膚障害を起こすおそれのある102種類(香料を含めて103種類)の成分(表示指定成分と呼ばれていました)だけを表示することがメーカーに義務づけられていましたが、 薬事法の改正により、2001年4月以後、全ての成分の表示が義務付けられました。 (ただし、医薬部外品は全成分表示の対象になっていません。)

ただし、2001年3月までに既に発売されていたことのある製品については、 2002年9月末までは全成分表示についての猶予期間が設けられます。 ですから、2001年4月からしばらくの期間、店頭には、 全成分表示の製品と従来の表示指定成分のみが表示された製品が並ぶことになります。 また、猶予期間中に、全成分表示のない製品については、 メーカーは何らかの方法で配合成分についての情報提供をしなければならないことになっています。
情報提供方法はメーカーによって異なりますが、

浴用の固形石けん(化粧石けん)には、石けん素地だけからできている純石けんもあれば、 さまざまな添加物の含まれているものもあります。 添加物も、ハーブエキスやビタミンEのように問題のほとんどないものから、エデト酸塩(金属封鎖剤)やジブチルヒドロキシトルエン(変質防止剤)のように、皮膚トラブルの原因になったり安全性に疑問の持たれているものまで、さまざまです。 JISマークのついているものは、純石けん分93%以上なので石けんといえますが、見た目は石けんのようでも、 合成界面活性剤が主成分で、石けんとはいえないものもあります。 石けん素地(化粧石けんの場合、家庭用品と違って、「脂肪酸ナトリウム」ではなく「石ケン素地」と表示されます)以外の成分をなるべく含まないものを選ぶと安心です。

合成界面活性剤を使った固形の身体用洗浄剤は、日本でも最近増えてきましたが、 アメリカでは以前から多く用いられています。 合成界面活性剤だけを洗浄成分にしたものはsyndet bar(合成化粧石けん)、 石けんと合成界面活性剤を組み合わせたものはcombination bar またはcombo bar(複合化粧石けん) と呼ばれています。 使用されている界面活性剤は、アシルイセチオン酸塩、N-アシル-L-グルタミン酸塩、トリエタノールアミン塩、N-アシルメチルタウリン塩などです。

家庭用品と違って、石けんか合成洗剤かという区別はありません。 成分を確かめて、安心できるものを選びましょう。 成分について良く分からない場合は、信頼できる石けんメーカーの製品を選べば間違いないでしょう