君の眼鏡に僕はかなわない




一心不乱に黄色いそれを打つ姿。
真摯で直向な姿勢。
揺れる髪、呼吸、シューズの摩擦音、たまに零れる声。

その余りの一途さに、ひどく孤高を感じる。

きれいだよ、きれいだよ。
君一人だけが世界にいたって、
何にも変わらないんだろうね。
そのくらい君は、夕焼けの赤を立ち向かってるみたいに、きれいだよ。

君らしさを感じると、
君と僕との隔たりを、身をもって体感する。

自分の存在に嫌気がさす。
だけど、その隔たりが愛しい。
いつだって僕は、こんな矛盾くらい受け入れる。

近付きたい近付けない、
だけど僕は欲求に赴くから。

手塚は僕に気付くと、急にその世界を閉じて、
僕を冷めた目で見下す。

赤くなった頬、伝う汗、漏れる白い息、眼光を忍ばす眼がね。

それ全部、僕のものだったらいい。

手塚は背景に赤を背負いながら、
本当に嫌そうな顔をして僕を見ていた。




イイワケ
眼鏡を題材にした塚不二をちゃんとやりたいなーと思う今日この頃。
純粋に手塚のことを好きなはずなのに、ついつい逸れていっちゃうよ不二の心はという話。
06.02.14