呻吟う僕の声は、届かないのでしょうね
レンアイカンジョウ
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僕が呻吟い始めたのは君がいたから。
僕はいつでも呻吟っている。
嗚呼この声が届いてえるか、
もし届いているのなら――
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僕は君が好き。
だって君は凄いんだ。
僕と同じ中1なのに、中3の先輩とだって同等に戦えるんだ。
凄くかっこよくて、頭も良くて、凄いんだ。
みんな君に憧れてる。
そんな君が。
こんなな僕と一緒にいてくれるのが、誇らしく嬉しい。
僕はそんな君に相応しくなろうと、嬉々として努力をした。
君と少しでも話がしたくて。
隣にいたくて。
近付きたくて。
気が付けば「天才」と呼ばれるようになっていた。
安心した。
僕のポジションが君の隣りであると、誰もが認めた瞬間だった。
そしてある日。
僕は気付いた。
君への好きが、唯の好きではないことを。
嘘だ。
これは憧れが少し強くなっただけだ。
尋ねるように繰り返した虚言。
押し込めれば押し込めるほど、虚言はモノへと形を変えた。
そしてどす黒く染まって僕を追い詰めた。
堪らない羞恥心、罪悪感、嫌悪感、擾乱、困惑。
知られたら嫌われる。
僕はただ怖くて泣いた。
それでも僕は君の側にいた。
気付かれたら死んでしまうと怯えながら。
君から離れることを1番恐れていた。
僕は「天才」として、君に相応しい僕で君の隣りにいた。
君を感じながら君の隣りで。
それは時には痛く、時には甘い脅威として常に僕の隣りにあった。
でもこの距離に。
強い欲求に。
呑込まれそうになる。
欲望に支配され、僕がいなくなりそうになる。
叫んで君に言ってしまいたくなる。
でも僕は卑怯者で億秒だから。
そんな大胆なことは出来なかった。
その代り、僕はとても残酷なことが出来た。
己の欲望を。
身代わりとして。
弟で。
発散した。
紛らわさせた。
僕は。
左利きの。
弟の気持ちを知ったうえで。
弟と。
目を閉じて。
彼を思いながら。
寝た。
それから。
弟は僕を求めた。
僕が弟を求めるのと同等なぐらいに。
「好き」
甘い戯事を吐きながら。
僕らは幾度となく愛し合った。
だから満たされた。
堪らなくその左手が愛しかった。
なのに。
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