「ごめんもう、ほんとに嫌い」

僕は悲しくって、涙を垂らした。







やめてと言った、僕を見るなと言った、 無理だからと言った、ちゃんと教えた、説いた。

なのに何で?
何で?


「不二を好きだよ」


何で笑いながら、そんなことが言えるの。


「不二が笑ってれば、それでいいから」


だって知ってるでしょ、僕が誰を好きなのか。


「不二」


だって知ってるでしょ、僕が君をどう思ってるか。


「好きな人いるのことも、知ってるから」


だって知ってるでしょ、報われない恋を僕がしていること。


「それでも俺、不二が好きだから」


英二は笑う、悲しそうに。
たぶん僕も、こんな顔をいつもしている。


「どうしようもないよね」


(ああ、鏡だ)


僕によく似た英二。
せめて君だけは、解放されて。


「ごめんもう、ほんとに嫌い」


僕は悲しくって、涙を垂らした。







イイワケ
手塚←不二←菊。報われなくても、それでいいと思う人たちのお話。
二年振りの菊不二がこれか…!
04.10.02