「 風 船 の 重 さ 」 以 下 な の よ


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「ねえ、オレのこと好き?」

「嫌いじゃないよ」

「じゃあ好き?」

「うん、好きだよ」


重みのない好きは軽い。風に吹き飛ばされる塵のような儚さ。不二の好きは違う好きだって、オレは知ってる。多分不二も知ってる。でも不二は知らん顔でオレを好きだと言う。


「じゃ、オレたち両思いだ」


なんという言葉の不確かさ。言ってから後悔する。好きだと返答されても、それじゃ満足出来ないのに。同じ好きになって、好きって言ってくれないと。意味がないと思うんですね、オレ。親友なんて、そんな所にいつまでもいたくないっていう本音、届いてるのに届いてない。このもどかしさは何なんだろう。


「不二、暇だね」

「そうだね」

「じゃあシよ」

「バカは休み休みに言おうね」


本気だって分かってるくせに、冗談ととる不二。なんていい性格。中々従順してくれない。もどかしく、じれったく、歯痒い、あとは何?どう形容すればいい?この気持ちは何?決して消化することなんか出来ないのに、絶えず大量生産されるこの気持ちは。消化不良もそりゃするよ。だから最近こんなにだるいんだ。嘔吐感が襲うんだ。でもこのやり取りがね、少しもイヤだと思わなくなってる。これが不二なんだって思い始めてる自分がいる。オレが従順してどうすんのさ。思うけどダメだね、オレって結局不二に弱いから。


「風に吹かれて、飛ばされるしかないんだね」


無条件に思うんだ。重い軽いで推し量るなら、軽傷と重症で比較するなら、断然オレは軽いと思うんだ。軽薄で、軽視で、軽蔑、軽率、軽科、軽挙―――


軽いの文字が重いのは何故だろうね?















イイワケ
「英二さんの苦労話シリーズ」デス☆(一部で好評なんですよ/笑)
02.02.26