不平等な世の中だけど


「カッコ、いいよね」

「藪から棒に何言うてんの」


別に今思ったことってわけじゃないんだけどね、だって君はカッコイイ。いつだってカッコイイ。今だってカッコイイ。ただ僕の部屋で寝転がってるだけなのに、それだけでカッコイイとか思ってしまう。彼の長い手足が狭そうに広がってる僕の部屋。床でそんなカッコして冷たくない?って聞いても、


「かまへん」


の一言。クール。とってもクール。やっぱりカッコイイ。最近気付いたけど、いつだってこの人は冷静で沈着。2人でいても、この姿勢は崩したことがない。僕はいつだって君の前じゃそんなふうにいれないのに、君は落ち着いてる。なんか、こうゆうのってフェアじゃない。僕だけ1人、君のこと好きみたいでなんか拗ねたくなる。


「不機嫌やんなあ」

「そんなことないよ」

「あるて」

「機嫌悪くないもん、別に」


まるで僕だけ本当に子どもで、あやされてるような、対等じゃないような、そんな気になる。だって僕だけだもん、こんな気持ち。やっぱりズルイ、ような気がスル。


チュ


不意打ち。俯いてたら唇を奪われた。触れるだけの、ただのキス。眼鏡はちゃんと外してた。でも僕の唇から離れると、すぐさま眼鏡を着用して、カチリと眼鏡を鳴らす。そして僕だけ赤面して、本当に子ども扱いされていて、こんなんで宥められて、落ち着いてしまった。フェアじゃない、全くもってフェアじゃない。


「照れるな」


だけど少しはにかんだその顔見ちゃったら、ストンと胸の詰まりが降りていっちゃったよ。もう、ほんとにフェアじゃない、フェアじゃない。だけどそんな君すらカッコイイって思うから、別にどうでもいいんだけどね。