馬 鹿 の 正 論 は 極 論 で も な い
見付けてしまった。別に探してたってわけでもないのに、どうゆうわけだか発見してしまった。まあいるかな程度は思ったけどさ、まさかほんとに居るとは思わなかったわけさ。会いたいとも思ってなかったのに、遭遇してしまったことを、何と言うんでしたっけ。
「爆睡こいてんのー?」
授業たるいし、後のドアからこそこそ抜け出して、適当に校内ぶらぶらして、行きついたプレイス、即ち屋上。鍵が壊れた扉を開けると、目に飛び込んできた白い物体。亜久津が真ん中辺で寝てた。頭を両腕に置いて、仰向けになってすーすー寝てた。超無防備。話しかけても応答ナシ。
垂れる髪も気にせずに、
嗚呼また訳もなくセップンしてしまった。
「うァっチ」
今度は突き飛ばされた。しかも下唇噛まれた。流血してるし、ケツがコンクリに当たって負傷。アザ発生必至。情けないカッコで患部を摩ってると、また例によって見下ろされた。
「・・・本気で殺されてーみたいだな」
怖い顔して、手の甲でぐっと唇を拭う姿がなんか大袈裟で、面白いなあと流石に言わないけど、すっごい心の中で思ったさ。
「据え膳食わぬはってね」
「・・・ざけてんじゃねえよテメェ・・・何の冗談だ」
「・・・冗談じゃないよ」
一瞬、亜久津の顔が変わった。表情が付いた、かな。ちょっと肩震えたってゆうか、揺れたようにも見えたんだけどね。
「・・・亜久津、俺、本気だよ?」
本気っていう意味を知っている。冗談や遊びじゃない、まじめな心ってことだ。だけど、所詮こんなもん言葉で、言葉でしかなくて、何の効力もなくて、言ってから軽さに嫌気がした。
「O型ってさ、ロマンチストとリアリストが混合してて矛盾屋さん〜って見られがちだけどサ、ほんとは違うんだよ。ほんとは現実性を失えない、現実的にしか生きられない人間なんだよ―――ねえ亜久津、知ってた?」
血の味がする下唇を摩ると、もう薄くカサブタが出来ていて、俺はそれを引っかいて剥がした。その指先は、ほんの少しだけ赤くなってて、何か嫌だったから、指でそれを拭った。じわって血が滲んでく唇を舐める。まじい。
自分が駄目になってくのって、
案外分かるもんなのかもしれない。
「オマエ、真性の馬鹿だな」
真性なんてよくそんなむつかしい言葉知ってたね、なんて言わないけどね、うん、俺もその通りだと思う。吐き捨てられた言葉が、酸素とか窒素とかアルゴンとか二酸化炭素の中を浮遊して、余韻を保ってる。亜久津の言う通りだ。馬鹿だね俺、紛れもない馬鹿だと思うよ。だけど、馬鹿なのは俺のせいじゃないって、君知らないっしょ?だから俺のことそんな蔑んだ目で見んでしょ?ちょっとばかし、堪んないかも。
「ズルイよ亜久津は」
だってオレは馬鹿だから、簡単に人のせいにも出来ちゃうんだ。
「ズルイ」
ちょっと子どもを意識して言ってみると、亜久津は黙って言葉を呑み込んだ。
「嫌だって1度も言わないのに、そうやっていつも殴るんだ。だから俺は何度もこうやって馬鹿やってんのに―――ズルイよ亜久津は」
馬鹿な言葉を放り出すと、何かもう、どれでも真実味帯びてきちゃって、自分で自分の言葉に酔ってるかもしんない。分かんない、分かんない。どれでもいいし、でもどれでもないし、でも何だっていいし、でも真実は1つ、なんてどっかのアニメのワードも捨て難いし、どうにもこうにもメンドクサイ。あーもー何だっつーのさ。俺はもう駄目だ、馬鹿以前にガキ過ぎてお話にもなんない。
「知るか馬鹿、テメェがテメェで1人よがってんだろうよ、オレの知ったことじゃねえ」
またまた正しい。その通り。だけど違う、ような気もするんだよ?
「気分悪ィ」
取り付く島も与えずに、亜久津は俺に目もくれず、半開きの扉から出て行ってしまった。また1人、何もない空間に投げ出される。
空がやけに青くて清んでて、
俺のこと嘲笑ってるみたいに見えた。
未だ選べず、1人反芻するボクの未来はどっちだ。方向性は決まったような気がしないでもないけど、前途は未開でどうしようもない。
自問自答の日は果てなく続く。
イイワケ
バカピカ子ここにあり。ユキちゃんからメル貰って「アタシほんとにしょーもないモン書いたなー」と思って珍しく読み直してたら続き書きたくなっちゃって(笑)オマケ☆てゆかキヨに「ズルイ」って言わせたかっただけだ(笑)初恋キヨさんはどーなんでしょね?アタシは書いてて楽しかったです。ザ・自己満足。キヨさんは初恋にも気付いてないんだよきっと。それか気付いてても認めてないんだよきっと!(小声)てゆかおもろい程意味プー過ぎだあね困ったね。
02.04.14