「土方さん」
 「何だ総司」

 草原は、しゃりりと露を含んで冷たく凪ぐ。
 足首に水滴が付く。

 「僕が死んだら、骨を拾って下さいね」

 きっとこの人は、誰よりも弱いから。
 だからせめて準備をしなくてはいけないね。

 「あほらしい」

 土方さんは停止していた歩調を戻し、つまらなさそうに嘯いた。

 「おまえのが長生きするとも限らねえだろ」

 土方さんの声は低くて、僕の口元は不謹慎に緩む。

 「そうですね」

 袂の露なんて、あなたらしくないって、
 彼方から言ってあげるから。

 僕は今から仮定をつくることに専念してるよ。

 僕が儚くなったら、
 貴方は涙を零すのでしょうね。