消せない痣が疼くので、
 僕はそれを強く押して、
 殊更ずっと消えなければいいと思う。

 ほんとそのくらい、盲目的なんだよ。

 焦がれるという感情に、憧憬していた記憶がある。
 けれど今の僕に、欲しいものはたくさんある。
 でもどれも現実味はなく、
 僕は切望すらしないけど。

 僕を子どもと称して撫でる骨ばった指だけは、
 譲れないと心から思う。