助けて。

助けて、助けて、助けて、沈んでしまう。
水の底にへばりついて、もう戻れなくなる。
そんなのは嫌だ。


嫌だ、縋りたい。
その腕に縋って、
その後に、その足にしがみ付いて。


息をしたい、息をしたい、
息をしていたい。

この痰を生む喉で、息をしていたい。

苦しいけれど、
目尻には決まって涙が滲むけど、

この痰を生む喉で、息をしていたい。

まだ僕は、しがみついていたい。

今まで幾度となく奪っておきながら、
自分となると話は別。
身勝手、そうかもしれない。
けれどそんなものはどうでもよくて。

ただ僕は、
ねえ僕は、

底へ沈んでいくことが、怖い。
見ない振りしていたものの冷たさに、
今になって足踏みしている。

そんなとこに行きたくない。
死にたくないよ土方さん。



天に手を伸ばすと、
困った顔をした貴方がいて。

僕の思いは終ぞ潰えたのだと深く感じた。



2005.8.26