土方さんの顔が歪む。
そんな顔、しないで欲しいのに、多分そうさせているのは僕で。
こういう時、死を享受してしまう。

嗚呼ごめんなさい土方さん、ごめんなさい。
お願いだからそんな顔しないで。
胸の奥から溜飲みたいな嫌なものが込み上げる。

「総司、おまえは」

何かに縋るように揺れる瞳。
所在のない指先が自らの頭髪をいじる。
額に垂れた前髪を除けても、真っ直ぐなその目はなく。

「おまえは本当は」

揺れる瞳は僕を見ず、僕に訴える。

「おまえは」

揺れる声は覚束なく、体重を与えられた振り子のようによく揺れる。

「後悔しているのか」

揺れる目は揺れる心を有しながら、揺れる声を向けて。

あなた写るもの全て、揺れて見えるというのだろうか。
僕が死ぬことで何か変わるのならば。
僕は安々と捧げてしまいたい。



2005.8.9