嗚呼、空は青いね。
  三日振りに水でも浴びよう。
  足音に共鳴して、無造作に揺れる床。
  今日も怒声がいい塩梅に響くね。

  だけど喉から血が出るよ。

  咳が止まらない。
  苦しい。
  声が出ない。
  息ができない。

  ああ、どうして。

  障子の向こうにいるのに、
  声はこんなにも明瞭に聞こえるのに、
  影だけのあなたが遠い遠い遠い遠い、
  手を伸ばしてもなお遠い。
  高らかに笑う声が遠い。

  このままいきたくない。
  このままいきたくない。
  このままいきたくない。

  こんなことなら、こんなことなら、
  後悔ばかりが湧き出でる。

  涙と咳と痰が混じり合う色が、手を伝い、敷布に滲む。

  ああ、どうして。
  どうして。

  嗚呼。
  もう少し、あと少し。


  朝が来るごとに見る悪夢、
  終止符はそろそろやってくる。