「――――総司?」

  見られた、駄目だ、誤魔化せない。
  白い布団の中の、鮮やかな赤。

  「おまえ、治ってやしなかったんじゃねえか!」

  バアン

  壁に突き飛ばされ、僕の背はすごい音を立てた。
  背中、痛い。
  咽る。

  土方さんは目の前にいた。
  胸倉を掴むと、目の前で手が大きく振りかざした。

  パ ア ン ・ ・

  軽快な音が室内に響くと同時に、畳に血が飛んだ。
  頬、痛い。
  咽る。

  口の端から、ドロリとした液状がこぼれる。
  手で抑えても、指の合間からすり抜ける。
  生ぬるい感触。
  畳に染み込んでいく、赤。

  「おまえ、おまえはっ…!」

  覚えのない、震えた声。

  「総司」

  勿体ないから閉まっておいてよ。

  「咳してるのに、殴らないで下さいよ」

  土方さんの顔は、くしゃりと苦しそうに歪んだ。

  「俺のせいで咳してるわけじゃねえだろう」

  震える握りこぶしが、歪んだ顔で広がって、その顔を覆う。

  「俺のせいじゃ…」

  その隙間から、嗚咽みたいな絞りかすがこぼれた。

  僕、患ってるんだ、血を吐く病理。
  僕、死んじゃうんだ、あなたを置いて。

  「ふざけるんじゃねえ…!」

  ごめん、土方さん。