「何で君がいるの」
「何で君がいるの」
自分に向けられた慕情を知るや否や、募らせた情操を発露させた声は、
驚くほど透き通っていて、本当に綺麗で。
「君なんて欲しくないよ」
「君なんていらないのに」
「死んじゃえばいいのに」
「記憶ごと、なくなればいいのに」
「何で君がいるの」
「何で君がいるの」
「僕は君なんかいらないのに」
「ねえ、答えてよ」
「ねえどうして」
「どうして」
強かに涙する様は、いっそ美しくて、
「何で君は僕を好きなの」
「何で君が僕を好きなの」
「違うのに、違うのに、違うのに」
「僕は欲しいのに」
「君じゃないのに」
「なのに、どうして君が」
「お願い、いなくなって」
叶えてあげられないことが、悔しいと思うと同時に、
誰かが俺を殺してくれればいいのにと、薄ぼんやりと描いた。
05.02.09