君は僕の安定剤。
僕は本当に、君で保たれている。

その応えてくれる雰囲気と、預けた僕の身体をまるごと受け入れてくれる骨ばったその巨躯。僕は君の肌触りだとか、平坦でない首筋だとか、それからその声だとか、それらがきっと、そうなんだろう。

だけど、処方されたわけじゃないから、正しいお薬かどうかなんて分からなくて。

「僕に、トランキライザーを」

差し伸べた手を、冷たい手が包み込む。

「そんなものはないよ」

僕の希望を無碍するように、眼鏡の奥で君は今笑ってる。
僕は知ってる。

03.12.01