「君がもし、命を賭していたなら」
「こんなことにはならなかったのに」

僕は横たわる長身に跨った。
脇には眼鏡が転がっていた。
容易くこんなことしないで欲しい。

「死を賜ろう、さあ死を致せ」
「死を決せよ」
「ああでも、死一等を減じようか」

聞こえてきた、憂いのない声。

「そんなに俺を殺したいのか?」

一切の躊躇いもなく、僕は乾が大好きだ。

03.11.15